第4話 育った!育ってた!育ててた!
——発芽から10日後
モコモコと増えていくカモミールに、少し怖さを感じていた。芽が出てすぐはピンセットの先みたいに小さな葉っぱ、しかも丸っこい葉っぱしかなかった。
今では3cmくらい葉っぱを広げて、植木鉢の土がほとんど埋め尽くされている。
——発芽から30日後
水をあげるのに慣れてきた。朝起きた時と学校から帰ってきた時。コップで優しく水を注ぐ。そう言えば朝と夜で鉢の場所が変わってた時があった…ついにお母さんにバレたか…。
だんだんと大きくなり、8cmくらい縦に伸びた。のっぺり横に3cmくらいだったのが、縦に8cm伸びて、大きくなったなぁと実感する。
ふふ、早くお花が咲いてくれないかな。
——発芽から60日後
おかしいな。なんか、おかしいな。大きすぎる。この1ヶ月でさらに20cmくらい伸びた気がする。鉢の上がモッサモッサになり、やばい!と思って相談しに行ったら、間引け間引け〜!と言われた。間引くって言うのは、多すぎるカモミールの1部を抜いて、残ったカモミールに栄養をいっぱい与えて大きく強くする!ってことらしい。
泣く泣く3本抜いて、残り4本になった。
——発芽から75日後
大きすぎるカモミールも見慣れた。朝起きた時と、学校から帰ってきた時にお水をあげるのが完全なルーティンになっていた。
でも、なんか先端が違和感…。丸っこいつぶつぶが連なってる…?カモミールの実かなぁ…?
——発芽から89日後
お花が咲いた…!ついに咲いた!!!
カモミールが一輪咲き、ほんのり良い香りが漂っている。家に帰り、部屋の扉を開けた時、すぐにその香りに気付いた。大興奮で確認してみたら、ついに咲いていた。
早速、マリーに見せようとスマホのカメラを構える。
この3ヶ月で(とは言っても2週間くらいで)連絡先の交換に成功し、チャットで色々教えてもらう日々を送っていた。
毎日見せに来られるのも大変なんだよぅ…というか来るの大変じゃないの…?とマリーが言っていたが、心配してくれるなんて優しいなぁ。
「ようやく咲いたよー!!」
と、チャットを送る。もちろん写真も。
「お、やったじゃーん」
「ね!ね!かわいいでしょ!めっちゃかわいいよね!!」
「かわいいかわいい笑」
自慢の子が褒められてにんまりしているみくるに、子供みたいでかわいいなぁと思うマリー。
「ところで、今から店来れる〜?」
!?
今までマリーの店に押しかけることはあっても、誘われたのは初めてだった。行くー!と即返信し、準備を整えて即ダッシュ!ついでにシュバッてかわいいクマノミスタンプも添えてみた。
もちろんカモミールも忘れない。優しく運ばなきゃね!
この3ヶ月で見慣れた扉を開ける。いつも通りの重さ、いつも通りの音、その中に入ると、いつもとは違う香り…さっきまでみくるの部屋でしていた香りがした。
「え!?なんでマリーちゃんの家でカモミールの香りがするの!?」
なんでかなぁ?とマリー。ヒッヒッヒと怪しげに笑っている。
マリーがカウンターの下に見をかがめうんしょ、よいしょと持ち上げて、ババーンと見せたものは、みくるのよりも少し大きい植木鉢に植わったカモミールだった。
みくるのよりも沢山お花が咲いている。
「えー!同じの育ってるー!!私の盗んだの…?」
「いや、店にいっぱいあるしぃ…。」
全く、この子はいつまで疑ってくるんだ…。と思いながら、話を続ける。
「みくるが育ててるの見て、私も育てたくなっちゃったんだよぅ」
と、立派に育ったカモミールをなでなで。葉がふぁさふぁさと揺れる。
「えーへへ!そーなの!なんかうれしい!!」
この子達も自分の子と同じように育ってきたんだなぁ…と、立派な子供の成長に涙がほろりと零れそうになる。
みくるもついでにカモミールをなでなでしてみた。自分のよりもお花がいっぱい咲いていて、すごく綺麗。揺らすともっと香りが強くなった。
写真を送ったあの時、報告してたあの時、学校に行っている間もずっと一緒にすくすく育ってたんだなぁとこの3ヶ月を思い出す。
「なんか、こんな風に一緒に育つのってちょっと感動だね…!」
「植物は大抵こんなもんだよぅ」
冷たい。悲しい。ぐすん。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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成長を見守るのって楽しいよね




