↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/125

第3話 カモミールかも

さてさて、転んでないといいですね。


  ふんふんふふふん♪

 

 種が揃い、道具が揃い、これからハーブのことを教えてくれる先生までできた。


 そのことに、みくるは浮かれていた。

 

「ぶべっ!!!!」

 

 派手にすっ転んだ。いやほんと、植木鉢はリュックで背負っててよかったね。

 

 しかし、どこかの誰かの呪いの言葉か、それとも知り合いがフラグでも建てたのか。見事綺麗にカモミール種の袋を放り出し、その中身は無惨にも近くの公園の茂みに散らばってしまった。

 

 あぁ…やっちゃった…ようやく育てられると思ったのに…。

 

 目が潤む。何も分からないみくるのために一生懸命教えてくれたマリーの顔が浮かび、申し訳なさでいっぱいになる。

 

 いや!落ち込んでちゃだめ!袋の端っこにまだ何個か引っかかってるかもしれない!


 悲しむのは後にして、きっと袋を放ってしまった方向を見る。

 

 最初に袋を開けた時、多分袋の端に引っかかった種がいくつかあった。


 今回もまだ落ちてないなら、もしかしたらまだすこし残っているかもしれない。その思いで種の入っているはずの袋を拾い上げた。


 丁寧に、手のひらの上で寝ているゼリーを起こさないくらい超丁寧にそーっと拾い上げると、優しく振ってみる。


 その袋の中ではまだ数粒の種から若干パラパラと音がした。


 よかったぁぁぁぁぁ。


 数粒の貴重になった種を手に、他に散らばった種を探そうと、転んだ先の方向に目を向ける。

 もしかしたら拾い集められるかもしれない。


 ……無理だ。帰ろう。


 即諦め、貴重な貴重な残った種を慎重に持ち帰ることにした。


 砂粒と種を見分けて拾い集めるのは流石に無理だと思った。さらになんと散らばったのはシロツメクサの絨毯の上。もうなにがなんだかわかりゃしない。諦めよう。


 慎重に慎重に、もう絶対に転ばないようにゆーっくり家まで帰った。




 家に到着すると、早速荷物から今日買ったものたちを取り出し、机の上にポンポンと置いていく。

 

 種に、植木鉢とそのお皿、そして万能の土!


 三種の神器のように並べ、この植木鉢にカモミールが育った様子を想像する。

 窓際の机の上に置いて、眺めながら勉強したり、毎朝お水をあげて、優雅な朝を過ごせたら絶対楽しいな!


 そんな想像を本当にするため、早速準備開始!

 マリーが言っていたのは、まず植木鉢に土を入れる。それから水を入れて、水が抜け切るのを待つ。また土を入れて何回かそれをやって、水がよく通るようになったら種をパラパラと土の上に撒く。


 言われたことを思い出し、とりあえずサーッと土を入れてみる。


 ……サーッと植木鉢の底から土が出てきた。


「え!?なんで!!?」


 土を入れるって言ってたし、とりあえず間違ってないはず。買ってきたものはこれだけなのに…。


 うーん…。と、記憶を遡って、マリーが話していた事を思い出す。


「石を底に入れるんだよぉ」

「石?買わなきゃだめ?」

「買って欲しいけど〜…普通の道端とか、お家のお庭に落ちてる意思で大丈夫。帰りに探してみてねぇ」


 そういえばそんなこと言ってたなぁと思い出し、家の脇に落ちてる大きめの石を拾い集め、植木鉢の底に敷き詰める。


 カランカランと甲高い音が鳴り響き、鉢が割れちゃうんじゃないかと思った。意外と頑丈だ。


 よし、今度こそ!と意気込み土を入れる。わっさわっさと入れ込み、満杯になった。


 次は水だー!と、水道へ直行。土が跳ねないよう、コップで優しく流し込む。すると、


「水が溜まってる…?」


 すぐに染み込むと思ったら、予想外にも吸収されずにかなり溜まった。それも段々染み込んでいって、今度は鉢の底から流れ落ちてきた。


「おぉ!流れてきたー!」 


 ちゃんと染み込んで、流れてきて、それだけでなんか感動しちゃう。


 でも、なんか…土が減ったなぁ!?

 

 半分…とまではいかないが、20cmくらいの鉢の3分の1くらいの量の土が減っていた。


 なるほど〜!これが何回もやらなきゃだめな理由か!


 土入れて、水入れて、土入れて、水入れて。4回くらい繰り返したら、土で鉢がいっぱいになった。


 そしたらついに!種を植える時が来たー!!


 今回は最初みたいに、ゴソッと全部入れるようなことはしない。…ていうかほとんど落としちゃったからできない。


 慎重に持って帰ってきた宝箱のような袋を開封。まずはパラパラと手のひらの上に出して、何粒あるか数えてみる。

 1…2…3………14粒!


 あの大災害を乗り越えた、選ばれしエリートたちは14粒だったのだ。

 壮絶な戦いだったな…。と生き残った戦士たちを称え、半分の7粒を新たな戦地、土へと送り込む。


 パラパラ〜ばいばい〜!と別れを告げ、残った半分は万が一先行隊がやられた場合に備えて待機していてもらう。


 ……というか、マリーに多くても7粒までだよってめちゃくちゃ諭された。あんなにゴソッて入れちゃだめなんだって。

 袋に説明書いといて欲しいねって言ったら、裏に書いてあるよって指摘された。完敗だ。ぐすん。


 と、完璧な種まきをして、とりあえず今日の作業は完了する。

 さて、あとは待つだけだー!


 ——1日後

 芽が……!!

 出て!!!!

 ない!!!!!!!!

 

 ——2日後

 芽が出てない!!!


 ——3日後

 芽が出!!!


 ——4日後

 ない!!!!

 あれ…?前回はこのくらいで出てたよね…?もしかしてこれカモミールじゃないかも…?クレームか…?


 ——5日後

 芽が出たー!!!!

 良かった!ちゃんと芽が出た!!ハーブアドバイザーは嘘つきじゃなかった!!


 早速マリーに見せに行こうとお店に向かう。

 

 またも慎重にたどり着け、扉を開けると、マリーは5日前に来た時と同じようにカウンターに座っていた。


  久しぶりぃ、と笑うマリーに、ついに育ったんだよー!とマリーに伝える。

 

 ふんっ!と差し出し、早速立派に育ったカモミールを見てもらう。

 

「……まだ発芽しただけだよぉ…?」 


 5日しか経ってない。育ってるわけないと分かってはいたけど、あまりの勢いに困惑してしまう。なんでそんな目をキラキラさせてるんだよぅ…。


 でも、初めてちゃんと芽が出た時って嬉しいよなぁと思い、ふふと笑う。

 

「良かったねぇ、これから頑張って育てようねぇ」

 

「うん!育てかたいっぱい教えてね!」


 可愛い弟子ができちまったぜと思いつつ、このテンション感なら何か買ってくれそうだなぁと思ったのでお店の売上に貢献してもらうことにする。


「ねぇねぇ、カモミールがもっと元気に育つように、栄養になる肥料買う〜?」

「あっ!!お財布持ってきてない!!」

「ちくしょう。冷やかしなら帰んなぁー!」

「ひぃー!ごめんなさーい!!」


 心の声が漏れちゃったぁ。てへ。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

面白いと思ったらいいね&フォローで応援お願いします!


 マリーの商売魂恐ろしいですね…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。