第38話 それぞれのバイク教習
じゃあまずは私から話しますねー!と、ぼたんが話し始めた。
ぼたんは先に車の練習から始まった。ATの車の教習から始まり、最後にMTを少しやるって新制度の教習を受けた。みくる以外の2人も同じ。
ぼたんはアクセルを踏む勢いがちょっと良すぎた。
教官さんのゆっくり踏んでね〜の言葉を裏切るかのように思いっきり踏んじゃって、いきなり超補助ブレーキ発動。
冷や汗ダラッダラの教官と、なんで止められたのか分からないぼたん。
スピード早かったですか…?と聞いてみたら早いなんてもんじゃないですよ!?と返された。
スピードが早すぎるとどれだけ怖いか体験しましょうね。
その言葉で教官が運転手に交代、からのロケットスタート。
唸るエンジン。即過ぎ去っていく他の車。そして、
「超速S字クランクですよ!!!」
キキーッとぼたんの身体を激しく横に揺さぶりながら、一瞬でクランクを通過。
「急なアクセル、ブレーキ、ハンドル操作は乗ってる人にびっくりされちゃいます。柔らかい運転を心掛けましょうね。」
「は…はい…。」
そのありがたい指導の結果、その後のぼたんの運転はとても柔らかい、優しいものになった。結果、
「とても柔らかい、お手本のような止まり方でしたね!」
「ありがとうございます!」
「違う!そうじゃない!!」
くっ!と顔をしかめる教官。そう、これは二輪車の急制動の練習。
つまり突然目の前に誰かが飛び出してきたから一気にブレーキを掛けて転ばず止まりましょうねの練習。
そこでゆったり優しいブレーキをしてしまう。急制動が出来るようになってくると、今度は車のブレーキを強く踏みすぎてしまう。
厳しい戦いでした…。
けらけらと笑うみんな。じゃあ次は私ねぇ、とマリーが話し始めた。
マリーは単純に力と身長が足りなかった。
バイクの教習は、最初に倒れたバイクを引き起こすところから始まる。
その後、円形に回ってみたり、8の字にぐるぐる回ってみたり…のはずが、ちょっと身長低めのマリーには厳しく、むしろバイクに振り回されていた。
ぐぇ…お…重いぃ…
ただ、取り回しのコツ、乗り方のコツを教えて貰ってからは早かった。
厚底ブーツを履いて、お尻を片側にずらして、足が付くように頑張って調整。
取り回しや引き起こしも、腰を近づけて、てこの原理やらの色々なコツを頑張って使って、なんとかクリアすることができた。
むしろ乗ってから困ることはなかったかなぁ。バイクも、車も。
「マリーちゃん流石だね…!」
ふふん、すごいだろぉ。
みくるはどうだったのぉ?と話を振られたので次はみくるの番!
私はねー、スラローム?と、バイク乗りながら8の字回るやつが大変だったんだよー!
スラロームは、置かれたパイロンに触れないように左右に振れながら避けていく、スキーのスラロームみたいなやつ。
8の字はバイクを運転しながら8の字のエリアをぐるぐるして出てくるやつ。
みくるはバイクを倒すのがとにかく苦手だった。倒れちゃうんじゃないかな?バイクが壊れちゃわないかな?そんな不安でいっぱいだった。
だから、カーブの練習をいっぱいした。前を走る先生を追いかけながら、ここまでなら倒しても大丈夫、これ以上は危ないって傾け方を感覚で覚えるようにした。
すると、
「すいすい曲がるー!たのしー!!」
逆に曲がることが大好きになった。
ただ逆に今度は、曲がることに集中?熱中?楽しくなっちゃって、8の字の出口がどこだか分からなくなっちゃう。
8の字が∞の字になっちゃってた。
ここまで3人が話して、最後4人目。ひのきに注目が集まる。唯一高校卒業直後に車とバイクの免許を取ったひのき。
どんなストーリーがあるんだろう…!と期待に胸を膨らませる。
私はクランクと一本橋が苦手だったな…。
クランクは、ゆっくりとバイクを進めながら、丸みのないカクカクのS字を通過するような科目。
一本橋は、幅30cm、長さ15mの橋を落ちずに、7秒以上かけて渡る科目。
ひのきはゆっくりゆっくりバイクを進めながら曲がったり、バランスをとったりする操作が特段苦手だった。
しかも、バランスを取りながらエンストを防ぐため、アクセルとクラッチもやらなきゃいけない。
バイク乗りは腕が6本くらいある…と愚痴っていた。
「しかも、何故か発進直後にギアを上げる癖があって、セカンドで一本橋やっててー…」
「そりゃエンストしますよ!?」
その癖を直してから、とにかくクランクと一本橋をやりまくってなんとかクリアできた。
「そういえば、アクセルとかブレーキは分かるけど、クラッチってなんなんだろうね?車の運転の時はエンストもクラッチもなかったし!」
突然の爆弾発言に、これは突っ込むべきなのか!?と一瞬固まる。
「なんでバイクの免許取れたんだ貴様ー!」
「感覚派ここに極まれりってことでしょうか…!?」
マリーがふぅと溜息をつき、あのね…と説明を始める。
「MTのバイクや車にはクラッチって言うのがあるんだけどぉ、車ならクラッチペダル、バイクならクラッチレバーを踏む、引くと、歯車と歯車が離れた状態になるのぉ。」
「え!離れちゃうの!?なんでー!?」
「片方の歯車はエンジンと、片方の歯車は車輪と繋がってるのぉ。でも、いきなりくっ付けたままスタートすると、エンジンがびっくりしちゃって止まっちゃう、これがエンストねぇ。自転車を重たいギアからスタートすると大変だけどぉ、軽いギアから漕ぎ始めて上げてけば簡単でしょ?」
分かりやすいなぁと2人。みくるはふむふむと聞き続ける。
「なるほどー!ってことは、びっくりさせないようにゆっくり歯車を近付けて、今から早くなるよって教えてあげるのが大事なんだね!」
「そう、それが半クラッチ、半クラねぇ」
なんか聞いた気がする!とみくるの言葉に、感覚派ってやつは…と呆れたマリーたちだった。
「ちなみに、みんなはバイクは何にするんだ?」
「全然決めてないよぉ」
「お金もないです!」
「バイクのこと全然知らないよー!」
なんでやねん。
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MTの免許って最近取れるとこ減ってきましたよね…。




