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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編前期!
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第32話 ジビエBBQ!!

 手を洗って戻ってくると、もうお肉の焼けた美味しそうな香りが漂っていた。


 網から脂が垂れる、ジュゥゥ…という食欲を唆る音に、炭と焼いたお肉の香りが合わさり、もう我慢できない!と椅子に座った。


「元気な奴らだなぁ!ほれ食え食え!」

「いただきまーす!!」


 パクリ。食べてみると、とても柔らかくサッパリした味。でも旨みが詰まっていて、高い牛ヒレ肉みたいな味と食感だ。


「美味しいです!!」

「オウ!そりゃ良がった!!」


 嬉しそうに次のお肉を焼き始めている。

 

「でもこんな高級そうなお肉頂いちゃっていいんですか…?」


 狩猟体験もさせてもらったのに…とぼたんが話す。


「高級?いやいや、そこらにぎょうさんいるシカ共だぞ?害獣処理の一環ってやつさ」


 これがシカのお肉!?想像していたのはもっとこう…臭みのあるお肉。高級な牛肉と比較しても遜色ない…むしろ旨みだけで言ったらこっちの方が美味しいんじゃないかというくらいのお肉に驚く。


「まああれなんじゃねーか?動き続けて体力使ってっからうめぇのが詰まってんだろ」


 一同が納得する。確かにあの山の中を一生走り続けるんだもんね…。

 

「これ、醤油とか付けたら美味しそうです…!」

「ワサビ醤油とかうめぇぞ!今度やってみぃ!」

「辛いの苦手なんです…」

「おぅ…そうかぁ…」


 しょぼんとしながら焼いてくれたのは豚肉っぽいお肉。とりあえず一口食べてみる。


 ちょっと臭みを感じる。その中にずっと濃い旨みと深いコクを感じる。コリコリと硬く噛みきるのが難しいけど、噛む度に甘い脂が、うまみを抱えて飛び出してくる。


「おいしー!!」

「へへ、ここらのイノシシはドングリやら果物やらいいもん食ってっからな!脂甘ぇだろ?」


 うんうん!と全力で頷くみくるに気を良くしたのか、ほれ次!とどんどん出してくれる。


 

 次のお肉はなんだろう…?小さなお肉で、鳥っぽい感じがする。鴨とかかなぁ…?

 パクリと食べると、今度はちょっと臭みがワンランク多い。最初はうっ…と顔をしかめたが、噛むとやっぱりうまみが溢れてくる。鶏もも肉みたいな食感と、さらに濃い肉感。そして少しフルーティーさを感じる脂の甘み。


「これも美味しいな」

「ねー!なんか前に食べたもも肉みたいだよ〜!」

「もも肉…あとでローズマリーと焼いてみよぉ?」

「いいですねそれ!!やりましょう!!」


 マリーはローズマリー大好き人間になっていた。

 

「つぎぁ今日捕まえた新鮮なアナグマだ!お前ら若ぇし1番うめぇと思うぞ!」


 ぽんと置かれたお肉は、脂たっぷりで、大人は見ただけでちょっと胃もたれしそう…。まだ若いんじゃ…!と意を決して口に入れると瞬間、圧倒的に甘い脂が口の中を満たしてくれる。クルミやカシューナッツを思わせるような甘みの強い脂に、驚きを隠せない。

 美味しいものは基本的にバクバク食べるぼたんとみくるも、これには少し手が止まる。

 一口の満足感が今までに食べたどんな肉をも上回っている。そんな感じがした。

 

「すごい美味しい…!」

「これがさっきまで生きてたと思うと不思議ですね…」

「それを考えるとなんかちょっと気持ち悪さもある気がするぅ…」


 その言葉を聞いてがっはっは!と笑うと、


「そうか!気持ち悪いか!」

「あ、いぇ…すみません…」

「いやいや、俺も昔はそう思ったしな。でもよ、今考えると思うところもあんだ」

「思うところ…?」


 含蓄のある言葉が飛び出しそう。その言葉を待つ。


「例えば、お前らが動かなけりゃ俺ぁカッター一本でこれと同じようにお前らを捌ける。」


 チャキ。と刃を出して見せる薮一さんに、もみじがヒッと怯える。それにひっひっ、すまんな。と謝り、話を続ける。


「でもな、それと同じことをおめぇらもさっきこいつにやったのよ。」


 確かに、直接殺したのはかおりさん。でも、殺したあとの解体は私達もやっていた。

 目の前の肉が、ほんの数時間前までは生きていた。その事実を思い出す。


「気持ち悪く感じちまうのは仕方ねぇ。でもな、それが命ってことだと俺ぁ思うんだ。」


「ウン十年生きてきたけど、俺もまだ死んだことはねぇ。でもこの小っちぇえアナグマは、そんな俺より先に逝っちまった。すげぇよな。」


「でも、それを殺して食うのは自然では当たり前だ。むしろ、どこかで殺された肉をスーパーで買って来て食う俺らの方がこいつらからしたら異常だろ?」


「こんな気持ち悪ぃもん、感じる人間なんてのぁほとんど居なくなっちまってもいい。ほとんどは感じなくっていい。でもな、人間全員が忘れちゃだめだと思う。」


「おめぇらは、そんことを忘れんでくれよ。」 


 湿っぽい話しちまったな。と話を締める。

 

 命…か。あんまり考えたことなかった。でも、私たちは命を消費して生きている。

 自分の命の時間を使いながら、今日を生きている。

 他の命で、動物でも、野菜でも。命を使って生きている。


 自分たちも同じ動物だ。カッターで捌ける、同じ動物だ。


 マリーは思い出す。中学の時、植物を育てている自分をバカにしてきたクラスメイトを。あの子たちは、この話を聞いてどう思うんだろう。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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最近題名と内容の剥離がすごい。命っていうと仕方ないね。

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