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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編前期!
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第25話 ローズマリーが枯れちゃう…!

 6月上旬。

 

 4月に入学した頃から、かなり大学の生活に慣れてきた。寮での暮らしや、灌水当番の朝早い生活、日々の講義にもかなり慣れてきた。


「でも講義って、広ーい範囲のやつとか、農業と関係ないやつも多いから、ちょっと退屈だよね〜」


 圃場に定植(植えて)して大きくなってきたハーブを眺めながらみくるが話す。


「そうだなー、経済学とか心理学、村の文化論とか、色んなところで農業経営するのに使える講義って感じ」

「でも、農業とか畜産とか林業とか、色んな分野を勉強できるやつ楽しくないですか?色んな美味しいものが見られて!あと実習!美味しいものが貰える!!」

「食べたいだけじゃねーか!?」

「私は簿記とか、社長学みたいな経営系の講義好きぃ」

 

 村の文化が出来てきた理由を民族誌ってやつから辿って学んでく農山村学。村の地域の伝統、お祭りとかを繋いでいく授業。

 先生がとっても元気なおばちゃん。火渡りのお祭りに参加したら服が燃えちゃって、海まで300mダッシュしたのが今までで1番早く走れたんだって。

 

 社長学は、2週間に一回くらい、ほんとに社長やってる人がお話に来て、どんな経営してるか教えてくれる。怖い人が来たり、面白い人が来たり、全然社長っぽくない人が来たり、先生を見てるだけでもちょっと楽しめる。

 講義中に社員っぽい人から鬼着信&連投チャットが入ってた先生元気かなぁ。


 どれも大事な授業だとは思うけど、農業を目指して来たみくるにはちょっと退屈なものも多い。毎週1回ある、実習が楽しみになっていた。


 


「あれ!?ローズマリー…枯れてない!?」


 ここ数週間の実習と、水やりの時に見ていたことで、ハーブや野菜の異常を見抜く観察力が身についていた。


「ほんとだ。葉の先…少し枯れてるな…。」

「何があったんでしょうか…?」


 なんだなんだ?と、原因を探し始める3人。それを見ていたマリーは…。


「こ、これ…私のローズマリーが枯れた時と一緒だぁ…!?」

 

 枯れた辛い記憶を思い出して少し泣きそうになっていた。

 中学生の頃、自分で育てていたローズマリー。毎日眺めて楽しんでいたけど、ある日突然一部の葉が茶色く枯れ始めた。

 その後、日に日に葉が茶色く弱り、お父さんお母さんに泣きついても原因が分からなくて、結局枯れちゃった。

 それが嫌で、家でローズマリーを育てなくなった。でも、ここなら大丈夫って思っていたのに…。


 マリーの悲しそう、悔しそうな顔を見て、みくるが考える。


「大丈夫だよ!きっと!ここには農業の専門家がいっぱいいるんだよ!」


 マリーの手を取って歩き始める。絶対に治してあげようね!

 


 呼んできたのは畑の先生大畑先生。こうがで畑のことならなんでも聞いとけば大丈夫!ってくらい自信満々に話してたから呼んでみた。


「なるほど…犯人が大体分かりましたよ。」

「はやっ!?」


 そんなに早く解決するの!?と、歓声が上がる。


「これ…誰が悪いんですかぁ…?」


 ついに犯人がわかる。でもその前に…。と、先生が確認をし始めた。


「皆さんはたしかここで、バジル、マジョラム、レモンバームも育てていましたよね。それも診察させてください。」


 と、定植が終わってかなり大きくなった3つを観察し始めた。


「ここと、ここと、ここと…ここも食べられてますね。あと、ここに住処と糞が。」

「え!?そっちもですかぁ!?」


 4人とも全然気付かなかった。ちょっと欠けてるなぁと思ってたところに何かが潜んでるだなんて。


 と、葉裏をチラチラ探していると、おっ、いた!と先生が手を伸ばす


「こいつが今回の犯人です!」


 と、指でつまんで見せてくれたのは。


「いもむし…?」


 ギャッ!気持ち悪い!とかの反応を期待してたのに、やっぱりこの大学に来る子は虫が嫌いじゃないんだなぁと先生が感心する。 


「ベニフキノメイガって種類のガの幼虫です。ハーブに多い、シソ科の植物をよく食害する害虫ですね。」


 食害は、食べて害を及ぼすってことですよ、と補足してくれる。


「ベニフキノメイガ…先生!倒すにはどうしたらいいのー?」

「駆逐してやる…! この世から…一匹残らず…!!」

「芦頭さんそれは流石に生態系壊れちゃうのでやめましょうね!?」


 その日、マリーは思い出した 奴らに食害されていた恐怖を・・・温室の中に囚われていた屈辱を・・・。


「ちなみに、さっきの倒し方についての答えですが、農薬を使います。」


 農薬!?と一同が固まる。使うのが少し難しそう、ちょっと怖い。そんな気持ちがあったから。


「…そうですね、まだ農薬について勉強できていない皆さんに、殺虫ができる農薬を使わせるのは少し不安があります。なので、今回はその中でも特に安全性が高い農薬を2つ使いましょうか。」


 一応、農薬には安全基準があって、今は72項目もクリアしなきゃいけないことを解説してくれた。(2026年7月28日時点)

 人間への影響だけじゃなくて、人間以外の魚や蜂への毒性、残留しないかの検査や、遺伝子への影響をチェックするみたい。


 安全性の高い…?でも虫を殺すんだよね…?と、若干疑いつつ、先生の話の続きを聞いた。


 説明の途中で見えないようにプチッて幼虫を潰してた先生。ちょっと怖かった。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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農業やってると虫に慣れて殺意が湧く。あるあるです。

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