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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編前期!
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第15話 ミカンパン

15話 ミカンパン

 ——私たち、サークルを作りたいんです!


 と、全く反省せずさっき柿本先生の所でやった話をもう一度した。


「…もしかしたら、ハーブの圃場なら準備出来るかもしれないな」


「ほじょ…う?」

「あぁ、畑や農地のことをそう言うんだ。専門用語になっちゃうけど、これから慣れてこうね。」


 おぉ…!専門用語!かっこいー!他にもっと無いんですかー?と催促する。 


「んんー、あとはねー、種まきのことを播種(はしゅ)って言ったり、水やりのことを灌水(かんすい)って言ったりもするよ」


 もっともっと!と子犬のように催促するみくるを静止し、マリーが聞く。


「ほ場…?が準備できそうっていうのはどういうことですかぁ…?」

「この前まであった、ハウスで色んな植物を育ててたサークルがなくなっちゃったんだよ」

「それでその後を使えるかもって話なんですね!」

「これならいけそうだね」


 わいわいとしはじめる4人。しかし、

 

「でも俺にサークルの顧問はできないかなぁ…」


 どうやら、講師、准教授、教授って括りがあり、准教授以上なら顧問ができるが、講師の大畑先生では無理とのことだ。


「でも、圃場ならなんとかしてみせる!あとは上山先生にお話を伺ってみるといいよ!」

「「「「はーい!」」」」


「あ、そーだ!さっき驚かせちゃったお詫びに…」


 と、最初に持っていたコンテナからイチゴを2パック取り出した。


「4人で分けて食べてね」「えっ!!ありがとうございます!!!」

 ぼたんが食い気味に返事した。

 失礼しますと退室した時、先生がまたきてねーと手を振ってくれていた。



「そーいえば、柿本先生からさっきみかん貰ったんだよぉ」

「みかんにいちご!!最高ですね!!」

「なぜこんなに…?」

「田舎のおじいちゃんおばあちゃんみたいだねー!」

「ちょっと…いやだいぶ…?失礼かもぉ…?」


 ん…?とぼたんが鼻をすんすん。果物腐ってた?と聞かれたけどそれを無視して、

 

「美味しそうな匂いがします!!!」


 目指すはA棟…のはずが、C棟とA棟の間にあるB棟ってところに吸い込まれて行った。



「ぼたん!?待ってぇ…!!」

 B棟の中に入ってみると、確かに美味しそうな香りを感じる。少し酸味と、パンのような柔らかな甘味を感じる香り。


 調理実習室と書かれたその部屋には、実験室のような白衣を纏った人が二人いた。


 ぼたんが無遠慮に扉を開けると、中にいた人が優しく声をかけてくれた。

  

「あら!あなたたち!新入生の子達よね?」

「はい!そうです!!美味しそうな香りを嗅ぎつけて来ちゃいました!」

「すみません…すぐ帰りますのでぇ… 」

「いいのよ〜!お話しましょ! 」


 気前の良さが大阪のおばちゃんみたい。調理実習の先生だけど、ザ・家庭科の先生!って感じじゃなく、お母さん食堂でもやってそうな、そんな優しい人だった。


「お喋りって言っても何か食べるもの欲しいわよね!ちょっと待ってて!」


 そういうと、ガサゴソと冷蔵庫や戸棚を探し始めたと思ったら、はい!はい!はい!と、チョコやせんべい、クッキーを出してくれた。


「わぁ!美味しそう!!」

「どれも見たことないお菓子です…!」

「神様ですか…!?」


 知らないお菓子が多くてひのきが戸惑う。もしかして高いやつ…?って思ったけど、やっぱり口には出せない。


「どーぞどーぞ!食べて食べて!」

「「「「いただきまーす!」」」」


「こんなに貰っちゃっていいんですかぁ…?私たち…というか、ぼたんが匂いに釣られてきただけなんですけどぉ…」

「匂い…あ!もしかしてこのパンのことかしら?」


 と、ミトンをつけて奥にあるオーブンからパンを取り出す。パンとみかんの香りがさらに強くなった。


「それですー!それの美味しい香りー!!」


 ぼたんがテンション爆上げ。先生に対して失礼では…!?と思ったけど、当の先生が何も気にして無さそう。むしろ嬉しそうなので言えない。


「これね、明日粉物サークルって子達が作りたい!って言ってたミカンパンなの!」


 そういって見せてくれた天板の上には、みかんをくり抜いた皮の中に、こんがり焼かれたパン生地が入っていた。


「ミカンの香りって、精油成分っていう…ハーブみたいなやつなの。」

「ハーブ!!」

「焼く時に包むことで、揮発する精油成分がパンに付いて、良い香りにならないかなー?って実験したいみたい。私としては、ペクチンで水が閉じ込められて、ふわふわもちもちのパンになるんじゃないかなぁと思っているのだけれども…」


 美味しそう…といかにも食べたそうな表情を見せるぼたんに、良かったら味見してくれる?と、聞いてくれる。


「いいんですか!いただきたいです!!」

「遠慮ないなぁ!?」

「もちろんいいのよー!ほら、3人もぜひぜひ!」


 いつの間にか4人の手の中にミカンパンがあった。


 みかんの酸っぱい、フレッシュな香りのついたパンをパクリと食べると、口の中にみかんの香りが広がる。

 同時に、そのパンのもちもちさに気が付く。普通のパンよりもふわふわ、もちもちで、


「すっごくおいしーです!!」

「美味しい!美味しい!!」

「美味し…すごぉ…」

「ほぉ…こんなに…おいし…」


 おいしー!と体全体でハッピー!な感じのみくる、ぼたん。噛み締めてしんみりと美味しさを楽しむマリー、ひのき。反応の違いが面白い子達だな。


「そんなに美味しいのー!嬉しいわ!」


「そういえば、明日作るならなんで前日にも作ってるんです?」

「あれ?たしかに!」


 そう聞くひのきに、先生が答える。


「いやぁ…もし美味しくなかったら可哀想かなって思って、自費だけど試しちゃった!」


 先生神様かな…!?


「それに、美味しそうだなって思ったら早く食べたくって…」


 先生かわいいな!?

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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ミカンに入ったパン!!食べたくない?食べたいよね??

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