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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学1年生編前期!
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第13話 カモミールの化け物

 心臓がバクバク脈打っている。せっかくバイクで気持ちよく疲れてきたのに…なんなんだこのドッキリは…!眠れないじゃないか…!


 キッと睨みつけると、あ、ごめんねぇ!と謝られた。まさかこんなにビックリされるとは…って言ってるけど、絶対わざとじゃん…!!

 

 よいしょと降りて、入っていい?と聞かれる。これ置くために入ってんだろーがと思ったけど言わないでおく。


「ん、いいよ。」

「わーい!ありがと!」


 とてとてと入ってくると、よろしくね!みくるって呼んでね!と自己紹介を始めた。

 

「ひのきって呼んでいいよ。眠れないって言ったからこれ準備してくれたの?」


 その言葉に、みくるはふんふんと頷く。


「私も、受験の時とか、昨日とか、緊張しててよく眠れなさそうだなって時に飲んだの!そしたら、ふわぁってリラックスできたから、ひのきちゃんにも教えてあげたいなって!」

「そっか、ありがとね」


 どうやら悪意はなさそう。さっきの化け物認定を改め、違法薬物を作ってる判定も少し緩めてやろう。


「是非!!飲んでみて!!!」


 全力で勧めてくるみくるに、まだ疑念が残る…でも悪い人じゃなさそうだし…。


「じゃあ、一緒に飲んでもいい?」

「もちろんいいよ!」


 と応えるとすぐにティーポットには温かい牛乳が注がれていた。いつの間に!?大学の七不思議2つ目だ。


「牛乳入れて、5分から7分くらい蒸らすとよく香りが出るんだよ!蒸らしすぎると薬っぽい苦味が出ちゃうんだけど…今回は成分多めの7分!よく蒸らしてみよっか!」


 ふんふん♪と楽しげに準備をすすめるみくる。楽しそうだし、本当にハーブが好きなんだなと感じる。

 あれ…?クッキー?なんか蜂蜜も用意されてる。早くない?え、早くない…??

 いつの間にか2人分のテーブルも用意されてるし…私でも見逃しちゃったね…。


「よし!大体7分経ったね!飲もー!」

「ありがと、いただきます。」


 手を合わせて飲もうとすると、スッと手が伸びてきて止められる。


「まずは香りをよく楽しむんじゃよう…」

「香り…?」


 みくるがカップに鼻を近付け、香りを嗅ぐ。それを真似してひのきもやってみる。


「あ…良い香り。」

「ふふ、でしょー!私が育てたんだよ!」

「え、すごいね、みくる印のカモミールじゃん」

「印はついてないよ…?」


 ミルクの甘い香りとさっき部屋に入った時に香った、カモミール…?のリンゴのような香りが混ざった、確かに良い香りだ。


 一口飲んでみていい?と聞くと、いいよー!と返された。啜ってみると、ミルクの中にほんのりカモミールの香り、少し苦味を感じるけど、美味しい…としんみりする。


「ふふふ、ここに蜂蜜も入れてみよ〜!」


 と、ティースプーンに蜂蜜を入れ、くるくるとかき混ぜ始める。ひのきもそれを真似してやってみる。


 優しい甘み、香りのするホットミルクの完成。身体の中から温まるだけじゃなく、心までホッと温まる。自然に呼吸が深くなって、なんか心地いい。


 ふふ、とちょっと笑みが溢れる。それを見てみくるがニマニマしている。

 

「なーによー!ニマニマしてー!」

「気に入って貰えたみたいで良かったよ〜!」

「むぅ…美味しいよ」

「へへ、そうだよね〜!」


 ちょっと悔しいけど、落ち着いてよく眠れそうだから仕方ない。


「ねーねー、あれってバイクのヘルメット?」


 みくるがピッと指を指す。


「そう、お父さんがバイクに乗っててそれで」

「なるほど!遺伝だね!」


 遺伝…なのかな?と思いながらクッキーをぱくり。さらに甘くなった口の中をカモミールミルクで流し込む。んー、美味しい。


「へへ、うとうとしてきちゃったー?」


 眠たそうにしてたのかな、うーん…確かに眠たい…。

 ふわぁとあくびをすると、全身がぽかぽかしてるような気がする。


「お片付けはしとくから、今日はもう寝ちゃっていいよ!」

「うん…ごめんね、そうさせて」


 お風呂は…入ってないけど汗かくことしてないし明日の朝でいっか…。

 お着替えだけして…寝よう…。


 21時半くらい。ベッドに吸い寄せられた。



 

 パチリと目を覚ます。カーテンから光が差し込んできて、部屋の中が少し明るい。時間を見るためにスマホをつけてみると、ちょうど朝7時。朝ごはんが始まる時間だ。

 と同時に、9時間半もぐっすりだったんだ…と衝撃を覚える。


「昨日は食べられなかったけど、食べに行こっかな」


 うーんと伸びをして、活動を始める。なんか、身体が軽い気がする。

 顔を洗って、鏡を見る。あれ?クマが薄い。最近緊張のせいかよく眠れなくって、濃いクマができてたのに。


「これもカモミールのおかげかな。」


 ふっと呟くと、ニッコニコのみくるが立っていた。


「ピッ…!!」


 朝だから寝てる人もいる!自制心を最大限に働かせて、涙をぐっと堪える。


「ごめんごめん!起きたらカモミールが褒められる気配がして〜!」

「カモミールの化け物じゃねーか!?」

「ふふふ、でもよく眠れたでしょー?」

「まぁそれは…うん。そのおかげで朝ごはんも食べられそうだし 」

「えー!朝ごはん行くのー!一緒に食べよー!」


 カモミールの化け物&麻薬栽培者改め、カモミールのお化け改め、睡眠の恩人改め、カモミールの化け物と、その仲間たちと朝ごはんを食べることになった。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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よく眠れてよかったね!

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