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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学2年生編!前期!
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第94話 餌がなければ魚も釣れない


「さっき精米機見つけたし、行ってくるよ!」


 ひのきが颯爽と飛び出して、精米機の米ぬかを取りに行った。


「米ぬかってそんなに良いんですか?」

「—そーねー、安いし匂い強いし、しかも粉だからいくら食べても味がするっぽい!」


 この前なんて私が姿を見せても地面舐めてたよ〜!と、その効果の強さを語ってくれる。


「そんなに強いなら安心だね!」

 


 

 ありがとうと感謝を言って電話を切ると、程なくしてバイクのエンジン音が聞こえてきた。


「ただいま〜!貰ってきたよ!」

「おつかれぇ」

「早速罠の中に入れましょー!」


 ひのきが袋を開けて、罠の中に放り込む。すると、


「わわ!?全部流れてっちゃうよ!?」


 川の流れに合わせて米ぬかがどんどん流れ出して行った。


「…もうちょい早く気付くべきだったな」

「大学生4人もいて…情けないですね…」



 一旦帰って仕切り直すことにした。


「なんの餌になら食いつくか…ですよね」

「固めた米ぬかとか?」

「固くて食べられないんじゃないか…?」

「それに、接着剤とかを川に流すの良くなさそうだよねぇ」

「あー…確かにそっか…」

 

 環境を守るためにやってることでそれ以上に環境破壊したら意味が無い。4人の中で取り決めた訳じゃないけど、なんとなくできてる共通認識だった。


「と、そんなこと話してたら授業の時間だ!早く行こう!」


 今日はコースそれぞれに分かれて実習。みくるとマリーは野菜の収穫。ぼたんは畜産の見学。ひのきはチェンソーの練習らしい。


 朝から着ていた実習着のまま部屋を飛び出す。


「鍵は締めとくね!」

「まかせたぁ!」


 急いでる時は元気なみくるが鍵を閉めて、走っていくのがルーティン。


 何故かいつもみくるの方が早く着く。


「ギリギリだったね…!」

「もっと早く来ないとねぇ…」


 息を切らしながら席につく2人。今日の実習はキャベツの収穫らしい。


 包丁を使って、根元からバサッと切り取る。よく見てみると、キャベツの芯の部分からちゃんと根っこが生えていて、これも1つの植物であることが分かる。


「1個1個が重たいね…!」

「立派なキャベツだねぇ」


 サクサクと収穫を進めて、次は調整作業!収穫した野菜を出荷できる形にする作業だ。


 キャベツは外側の大きな葉っぱを取り払うらしい。言われたままに取ってみると、確かにいつもスーパーで見るキャベツの形になった。


「キャベツだキャベツ!キャベツになったねー!」

「最初からキャベツだったよぉ…?形も匂いもなにもかもぉ…」


 匂い!?と、同時にハッと気付く。考えてる事は同じみたい。


「先生!キャベツの切れ端貰ってもいいですか!?」

「残渣をですか…?大丈夫ですけど…食べるんですか…?」


 大畑先生にドン引きされちゃった。悲しい。


「違うよー!?確かに美味しそうな匂いはするけど…」

「ヌートリアの罠に仕掛けようと思ってぇ」

「そういうことでしたか!もちろん大丈夫ですよ!」


 キャベツの切れ端…残渣を袋に詰めて持って帰る。部屋に置いて、お昼ご飯を食べて、また部屋に戻る。


 ここまでキャベツについてはぼたんとひのきには内緒のまま。何も言わずに部屋に入れてみる。


「作戦会議の続きしよっ!」

「そうですね!良さげな餌見つけましょう!」


 なんの疑いもなく2人が部屋に入ると…


「えっ!?キャベツ臭っ!?」

「なんでですか!?今日キャベツの収穫だったんですか…?」


 2人が大困惑。その間みくるとマリーは、


「キャベツ臭いね!?」

「キャベツの匂い染み付いちゃったかなぁ…」


 キャベツの匂いの強さに困惑していた。


「なんでだよ!置いといた側だろ!?」

「いやぁ…こんなに匂い強くなるとは思わなかったんだよぉ…」

「袋よく縛ったのにね…」


 どうやって消臭しよう…頭の中がその事でいっぱいだった。


 

「でも、こんなに匂い強いのなら…使えそうですね!」

「事情知らない私たちでも匂いに気付けたもんな!」


 意外と強いキャベツの匂い。そこに4人とも可能性を感じて、早速仕掛けに行く。



 川辺にたどり着くと、やっぱりまだ何も入ってないみたい。


「明日こそ絶対捕まえようね!」

「いや、私たちは帰るんだから、土日はロックしておくよぉ」 

「そうだった!?」 


 罠の見回りは毎日自分でやるのが大前提。代わりにやってくれるから大丈夫、といったものではない。

 法律は代行を、例外を許さない。


 仕方なく今日のところは罠のロックをして、捕まえられないようにしてから帰る。


「うぅ…法律め〜…!許さん…許さんぞー…!!」


 ラスボスは法律かなぁ…。



 

 貰ったキャベツ残渣の余りを共有の冷蔵庫の野菜室に放り込み、保存餌とする。


「絶対食べちゃダメ!とか書いといた方がいいかな?」

「流石に他人の食べ物勝手に食べる人はいないでしょう!」


 えぇ…?ぼたんが言うの…!?って思った。思っただけだよぉ。


 …顔には出てたかも。



「じゃあ土日も見回り頑張ってね!」

「ひのきー、駅まで送ってってぇ」

「え!ずるい!?私もー!」

「2往復する事になるじゃねぇか!?」


 2人の家までは70km以上もある。バイク乗って2週間でそんな長距離はちょっと怖い。


 バスと電車。二人でのんびり帰った。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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