第88話 対ヌートリア作戦会議!
「バイクでとりあえず川周辺走ってみたけど…罠仕掛けられそうな場所はあったか?」
大学に戻って早速作戦会議が始まった。
「んー、正直あんまり見つけられてないねぇ…」
「見回りしやすそう!ってところはあったけど…なんでかな?」
罠を設置したら、罠の設置者が毎日見回るルール…というより法律で決まっている。
だから、見回りしやすい場所に設置する。これは悪くない方法だ。しかし。
「罠に入ってくれるような場所ってなると分かりませんね…」
今までの狩猟体験は全て山の中。かおりについて行った時に、けもの道の見つけ方や、罠に引っかかりやすくする工夫なんかを教えてもらった。
「木の棒を置いて動物に跨いでもらう!って工夫も、箱罠じゃ使えないもんな…」
くくり罠。足で踏んでもらえばいいものだから、直前に木の棒を置いておくと罠にかかる確率が上がる!気がする!というかおりから聞いたコツがあった。
「檻の前に木の棒なんて置いたら入口が塞がれちゃいますもんね…」
「大きめサイズならヌートリアと見間違えちゃうかもねぇ」
「掛かってる!と思って近付いたら流木だった時の絶望感嫌だな!?」
ってこで木の棒作戦は使えない。
「けもの道…って、実はあるのかな?」
「そうかなぁ?草生い茂ってたし、あったとしても見えないんじゃ…?」
「それじゃない!?」
「どれぇ…?」
みくるがはっと思いつく。
「草で隠れてるから見つけられないんじゃないかなって!」
「あぁ確かに!川って大体草で覆われてるから気付かなかったけど…草が無くなれば…!」
いけるんじゃない!?そんな雰囲気になってきた。でも次に気になるのは安全性と作業時間。
「うーん…でも難しいんじゃないかなぁ…」
「なんで!?」
「遠くから見てるから面積が少なく見えるけど、多分ちょっとの範囲でも大きめのスーパーくらいの広さはあると思うよぉ。」
「この前の耕作放棄地でも17人でやったのに…スーパーの広さを4人はしんどいですね…」
確かに川幅を考えると、一区画だけでも大変な作業量になりそう。
「それにぃ、ヌートリアが住んでそうなところの草を刈ろうとしてるんだよぉ?反撃されるんじゃないかなぁ…」
「あー…噛み付き被害もあるって言ってたもんな…」
家を減らされる。それは人間にとってもヌートリアにとってもきっと嫌なことだろう。獣の目線になって考える。これもかおりのアドバイスだ。
「じゃあ草を刈るのはだめかな〜…」
「いい作戦だとは思うんだけどねぇ…」
「チェンソーなら反撃されても大丈夫じゃないか!?」
「どんなスプラッター映画ですか!?」
ひのきがチェンソーをふかしながら迫ってくる。…うーん、恐ろしいシチュエーションだ。
「あ…草刈機ってどうなのかなぁ?」
「おじいちゃんがよく道端で使ってるやつですね!」
「それはそうだけど怖いな!?」
「川辺でチェーンソー振り回すより普通じゃないですか…?」
「うん。確かに。」
そんな漫才の間に、うちにあった気がするよぉと、とりあえずネットで価格を調べてみる。
「3万…かぁ…」
「うわーん!!私には無理だー…!!」
「個人で買う意味もないですしね…」
「…てか、大学にあるんじゃないか?」
たしかに!!!となったので、先生に聞いてみることにした。
明日ね。
翌日。
「せんせーい!大畑せんせーい!!!」
「草刈機って大学にありますかぁ?」
突然の訪問で驚きながらも、さすが先生優しく教えてくれる。
「もちろんありますけど…何に使うんですか?」
「ヌートリア捕まえたいの!」
「ヌートリア…?」
一通りの説明を始める。
「害獣駆除の事業っていうのがあって…」
「ヌートリアは美味しいの!!」
「草刈機がないとひのきさんがチェーンソー振り回すことになっちゃうんです…!」
「罠にかけるには草を無くしたらいいんじゃないかって」
「でも川辺は広いんです…」
「先生はどんなハーブが合うと思う?」
「上山先生が請け負ってる先輩の研究で…」
と、上山先生の名を聞いて先生が納得する。マリーは静観していた。
おいなんかハーブと合わせたくて仕方ないやついるぞぉ…!?
「なるほど!つまり、先輩の研究に協力するため、ヌートリアを狩りたい。そのために、川辺に大量発生している草を刈り倒したい。広範囲になってしまうので、刈払機を使って少しでも楽にしたいってことでいいですか?」
一同がうん!と頷く。先生ってすごい。
しかし、先生がうーんと悩み始める。
「実は草刈機って扱うには安全講習が必要ということになっていて…あと1ヶ月くらいすると授業内で受けられるんですが…」
と、悩むフリをしながらチラリと4人を見る。すると、少し不満そうな4人の顔が見える。特にみくる。
チェンソーと同じなのか…とひのきが心の中で納得する。
「講習早く受けたーい!!」
「一刻も早くヌートリアのお肉食べたいんです…!」
「害獣駆除隊の目的はぁ…!?」
その圧に押されて、仕方ないですね…。と先生が代案を持ち出す。
「授業外の時間に講習をやりましょう。座学が5時間。実習1時間です。」
「え!?いいの!?」
「害獣駆除は県の農作物を守ることに繋がりますからね。特例です。」
特例…!ありがとうございます!とお礼をする。しかし、マリーが少し不安に思う。
「でも…講師の先生を呼ぶことになりますよねぇ…?大丈夫なんですかぁ…?」
すると、大畑先生がなにやら部屋の奥の方を探して、1枚のプラカードを持ってきた。
「講師は私なのでご心配なく!」
おぉ…!と神を崇める。
「ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ないですぅ…」
「いえいえ!それに、むしろ杉木さんと秋鹿さんには丁度いいかもしれません!」
「丁度いい…ですか?」
「はい、刈払機の講習は栽培コースのみの実習なので、畜産と林業の学生は受けられないんですよ…。」
ということで、草刈機の特別講習が決定した!
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