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薪と、ハーブと、ジビエご飯!  作者: 不月風音
大学2年生編!前期!
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第86話 サークル演説!


 スライドはみんなが作ってくれた。今までに撮った写真を並べたものだけど、楽しさがいっぱい伝わるようにできた。


 あとは私。


 私が発表を頑張るだけ。


 でも、何を話せばいいのかな。


 相手は新1年生。普通にお話して、紹介して。


 それで印象に残るのかな?


 新1年生は、何を求めてるんだろう。


 1年前の私は、何なら興味を持ったんだろう。


 私はあのとき、どんなことを思ってた?


 サークルを作ろうとした理由。


 なんだっけ。


 みんなを誘った理由。


 なんだっけ。


 私がやりたいこと。


 なんだっけ。



 答えが出る前に、みくるの、ハーフ&ハーブの順番が来ちゃった。


 マイクを渡される。緊張が一気に高まる感じがした。

 

 呼吸。呼吸。深呼吸だ。


 この部屋で1番注目が集まる場所に、登壇する。


 注目が集まる。


 色んな人と目が合う。


 スゥとお腹の底まで息を吸い込んで、お腹の底から声を出す。


「新1年生のみなさん!こんにちは!ハーフ&ハーブのサークル長の、加茂みくるです!」


「新しい大学生活が始まって。今、どんな気持ちですか?」


 問いかける。身体の動きを使って問いかける。


「私は1年前、ドキドキ不安だったけど、ワクワク楽しみな気持ちもありました。」


 気持ちを、手で、動きで伝える。


「というか、1年前は入学式の学長先生の挨拶とか長くてつまんないなぁって思ってました!」


 えぇ…と悲しそうな声と共に、ふふ…と少し笑い声が聞こえた。悲しそうな声の方向を見ると、学長先生!?


「あれ!?学長先生!?もちろん冗談ですよ!!?」


 サークル説明会中、今日1番の笑い声が起きる。掴みは成功だ。退屈させないことはできたみたい。


「え、えーと…学長先生の圧力で消される可能性が出てきましたが…私達のサークル、ハーフ&ハーブの紹介を始めます!」


「サークルの名前を聞いて、どんな活動をするのか分かる人!手を挙げてくださーい!」


 シーン…。誰も手を挙げない。狙い通りだ。むしろ挙げられたら困ってた。


「そうですよね!サークルのメンバーにも、名前が分かりずらいって怒られました!しかも昨日!」


 また笑いが起きる。いい調子だ。


「私達のサークル。実は3つの目的があったんです。」


「1つはサークル名のハーブを育てること!」


「こんな風に色んなハーブを大学内のほ場で育てています!ほ場って言うのは畑のことです!」


 1年前に得た知識。1年生は多分知らないだろう。


「ここで栽培したハーブ、どんなことに使うのかと言うと…」


 次に出したスライドは、生きているイノシシのスライド。罠にかかっている。


「こちらの可愛いイノシシさん!これがこうなります!」


 次のスライドでは完全なお肉になったイノシシ。そしてさらに次のスライドでは、ローズマリーやセージを使って香草焼きにしている写真。


 美味しそう!という声がヒソヒソ聞こえる。


 楽しくなってきた!マイクを置いて、声を張り上げる。


「そして最後!ちょっと先にネタばらししちゃいましたけど、お料理です!」


チキンステーキや、カモミールクッキーなどハーブを使ったお料理やスイーツ!クリスマスではハーブ×ジビエのクリスマスパーティ!色んな活動があります!」


 ここまでで一旦活動紹介は終わり。締めに入る。


「私たちのサークルは、まだ創設1年。ちょうどそろそろ1年です。」


「だからこそ、活動に制限がないとも言えます。」


「ハーブを育ててみたい人!狩猟で森を守りたい人!お料理いっぱいしたい人!どんな人でも大歓迎!」


 バッと腕を広げて、今日1番の大きな声で問いかける。


「やりたいことがある人!ひとりじゃ出来ないと不安な人!私たちと一緒にサークル活動!やりませんか!!」


 少し間を持って、終わりの挨拶。


「それでは!サークル紹介は以上になります!ここまでのご清聴ありがとうございました!」


 ペコリ。とお辞儀をすると、発表時間終了を告げるベルが鳴る。


 それと共に拍手が鳴り響く。これならきっと入ってくれる人もいる!そんな確信の持てるような大きな拍手だった。


 発表後、教室から出てしばらく歩いていると、3人が向かってきた。


「すごいじゃないかみくるー!」

「なんかゾクゾクしちゃいました!!」

「前で話す才能あったのぉ…!?」


 すごいすごい!と褒められてみくるはご満悦。えへへ!と声を漏らす。


「…ところでぇ、最後の方なにを話してたのぉ…?」

「…具体的にはクリスマスパーティの説明が終わった直後からだな…。」

「マイクを置いたところからです…」

「えっ!?あれ届いてないの…!?」


 マリー達はゆっくり部屋で休んでるものだと思ってた。確かになんで聞こえてるのか不思議ではあった。


「サークルメンバーの待機所とかがあるの…?」


 恐る恐る聞いてみる。流石にサークルメンバーたちのためだけにそんな部屋を作るとは思えなかったけど。


「えーとな…それはだな…」

「なんと言いますか…」

「短大生達が聞いてる部屋があったんだよぉ。」

「…ほんとに?」 


 うんうんと頷く3人。


「えーと…ってことは…そっちの部屋ではスライド見せながら口パクパクしてる変な人になってた…ってこと…!?」

「それに加えて、色々なんか変な動きをしてる人になってたねぇ」


 ガーン!!!ちょっと恥ずかしくなる。


「だから…もしかしたら短大生は来ないかもしれません…」

「大学と違って短大は一学年100人いるしな…」

「大幅な集客ロスだねぇ…」

「上手くできたと思ったのにー!!!」


 やだよー!悲しいよー!と喚くみくる。でも、と一言添える。

 

「演説はほんとに上手だったよぉ!びっくりしちゃったぁ!」

「ほんとにな!あんなに引き込まれたのは初めてかも!」

「カリスマ…ってやつなのかも知れませんね!」


 ふふーん!!とドヤ顔になったみくる。先生とか、クラスのみんなの真似っこなのは内緒にしとく。


 マリーがもう1回落ち込ませて楽しもうかと思ったけど、今回は頑張りに免じて許してやることにした。


 がんばったね。

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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