第84話 初の!4人ツーリング!フォーリング!?
バイク納車の翌日。4月最初の日曜日10時半頃。
「さあさあ行くぞー!4人でのツーリング!略してフォーリングの始まりだー!!」
「納車翌日の私たちよりテンション高いのはなんでですか…!?」
いつもよりも一段と、いや、4段くらいテンションの高いひのきが呼びかける。
「今日はどこ行くのー?」
「そうそう、教えられてないよねぇ」
それそれ!と言わんばかりのジェスチャーでひのきがアピールしてくる。
「今チャットに送った!ここを目指すよ!」
送られてきたのは、海沿いの公園。
「おぉー!いいですね!」
「ここなら往復40分くらいだし、ちょうど良さそうだと思ってな!」
「道わかるかなぁ」
「そんなあなたにっ!!!」
ひのきが取り出したのは、なんかよく分かんない機械の箱×3。
「こんなものをご用意いたしましたー!!」
やっぱりひのきのテンションが異様に高い。いつものみくるくらい高い。
…みくるやばいなぁ。
「これなーにー?」
「私から皆へのプレゼント!納車祝い!」
「えっ!?いいの!?」
みくるの言葉にニヒッと笑いながら頷いて応えると、謎の機械の説明を始めた。
「これはインカムってやつな。まあ通信機って考えてくれればいいかな!バイクに乗りながらお話ができる!」
「おおおぉー!!!すごいすごい!!」
「え…高かったんじゃない…!?大丈夫ぅ…?」
「みんなと一緒に貯金してたし大丈夫だよ!前にかおりとツーリングに行った時、地図の共有とか通話ができなくて苦労したんだよ…」
ありがとうございます!!!師匠!!!と一同が土下座感謝。
早速ヘルメットに装着。スマホにも接続して、地図の音声が聞けるようになった!
「わー!すごいねすごいね!!!これで迷わず行けちゃうね!!」
みくるが大声でひのきを褒め称える。
「みくるー!うるさぁい!」
「あ、ごめん」
テンション上がっても大声厳禁。こってり怒られた。
ということで、色々準備が終わって、ようやくレッツゴー!
エンジンをかけると、順調な滑り出し。みんなエンストはさせないスタートが上手だ。
—200m先を左折します。
「分かりやすいねー!」
「声もちゃんと聞こえるよぅ」
「次の信号多分通り切る前に赤になるから止まろう」
「了解です!」
4人ズラっと並んで、若干千鳥走行みたいにジグザグに並んで。でもちょっと怖いから真っ直ぐに車間いっぱい取ってみたり。車通りの少ない道をゆっくりゆっくり進んで行った。
走ってる最中にも海が見えたり、直進の時に田んぼが見えたりして、すごく綺麗な景色だった。
緑に癒されるってよく言うけど、私たちは特にその傾向が強い気がする。
まあ、景色を最大限楽しめたのは私だけっぽいんだけど。
道中、急ブレーキ気味になっちゃったり、逆に急発進気味になっちゃったり。エンストはなかったけど、ちょっとずつミスがあって、その度、わっとかぎゃっとか、何かしらの声が聞こえてきた。
でも
「へへ…!緊張した〜!」
「楽しかったです!」
「だねぇ!なんか空気も美味しく感じる気がするよぅ」
呼吸が深くなった。楽にできるようになった。そんな気がするのは気のせいかな。
目の前には海が広がる。そのすぐ近くには灯台。大学のこんな近くにこんな景色があっただなんて、バイクに乗らなきゃ知らなかっただろう。
「いいとこ見つけるじゃん」
「へへ!そうだろ!」
マリーの言葉に鼻を鳴らす。素直に褒められてちょっと照れる。
「あっち歩けるみたいだよー!行こー!!」
「1周長そうですよ…!?」
「まあいいんじゃないかなぁ」
「散策もツーリングの楽しみだからなー!」
緑が綺麗。反対には海が見える。
「綺麗ですね…!」
「灯台近くまで行けるよ!!登ろ!!」
「あらら、灯台は登れないみたいだねぇ」
「よじ登ってやる〜…!!」
「だめだめやめろー!??」
首をガッと掴まれて、そのまま灯台近くまで登った階段の下まで引きずり下ろされた。
「流石に本気じゃないよー!」
「いや、みくるはやるだろ」
「あれは本気の目でした」
うんうんとマリーも頷く。この1年でみんながみくるの扱い方を学習してくれて嬉しい。
そんな風にバタバタとはしゃぎながら、40分の散策コースが終了した。写真もいっぱい撮って、楽しい思い出の1つになった!
「お腹空いたし、なんか食べてく?」
「たべまーす!!」
駐車場まで戻ってくると、今の時間は11時40分。お昼にはほんのちょっと早いくらいで、ぼたんにはちょうど良い時間。ついでにみくるにも。
カレーに、しらす丼、海老芋のコロッケとか、名産品がいっぱい使われたご飯が美味しかった!
「こんな近くでも旅行に来たみたいだねぇ」
「お散歩もご飯も良かったよー!」
「喜んでもらえて嬉しいよ!まだもうちょっと遊ぶ?」
「いや、帰るぅ…」
「なんか疲れちゃいましたもんね…」
心地いい疲労感を身体に感じる。ひのきが、あ!そっか!となにか思い出したように納得する。
「最初のうちは慣れない筋肉を使ったり、風に耐えたり、この時期だと寒さに耐えたりで疲れちゃうんだよな…」
なるほど…それでか〜!
「でも!楽しい疲れだね!!」
言葉はなく、でも、笑顔で応え、みんな同じ思いなんだとわかる。
「よーし!帰りも安全運転で帰るぞー!」
初めてのツーリングは、何事もなく無事に楽しんで帰ってこられた!
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