第10話 美味しいは正義!
「だ、だれぇ…?」
もう疲れたから人と話したくない。のんびりしたい。頼むから刺激しないでくれといった絶望的な表情でマリーが聞く。
「モグモグ…あ、すみません!私ですか???」
「あなた以外誰がいるのぉ…?」
疲れてる。反応したくない。でも目の前で他人のクッキーを貪る奇人に、思わずツッコミが出てしまう。
「クッキー美味しいですね!!ハーブ…カモミールですか?」
「質問に答えてぇ…?」
こんな変な人は初めて見た。怖い。
「そう!カモミールのクッキーだよー!!」
と、新しいドライカモミールとお湯を入れたティーポットを手にみくるが登場。いないと思ったらこの準備をしていたのかぁ…。
この子はなんでこんなに準備が早いんだろう…。さっき食べられたクッキーもいつの間にか補充されてる。怖い。
「カモミールはね、いいよ〜!カモミールだけでも香りがすごく楽しめるし、食べ物と組み合わせるともっともっと美味しくなるの!」
おぉ…!と目を輝かせる変な人に、カモミールを勧める変な人。変な空間だなぁ。怖いなぁ…。
「例えばりんご!レモン!牛乳!クッキーもいいし、パウンドケーキとか、カモミールミルクティーも美味しいんだよ〜!」
…なんか前にローズマリーで似たような説明をした気がする。その影響か、営業トークがすごく似てる。
でも、そんな話し方が効果抜群だったみたい。
「……!全部食べてみたいです…!!!」
「もちろん!これから作ってこうね!!」
なんか、知らん間に変人たちが仲良くなって、これからのスイーツ作りに混じって来そう。ヤベーヤツらに挟まれるのかぁ…。
「しかもカモミールってね!身体の調子を整えてくれる効果もあるって言われてるの!今日みたいなドキドキして緊張してる時に、香りの成分が心を落ち着けてくれるんだよ〜!」
そんな説明をしながら、どこからか取り出したドライハーブを嗅がせている。乾燥した花の香りを嗅がせている姿は、まじで危ない薬の売人にしか見えない。
「わぁ…!良い香りですねー!」
「ふふん、でしょでしょー!」
カモミールの良さが伝わり、みくるは満足気だ。…この熱意で面接も押し切ったのかなぁ…?
そんなこんなで話が進んでいると、カモミールティーが飲み頃になっていた。
「あ!もう飲めるよー!はい!マリーちゃんの!」
「ん、ありがとぉ〜みくる〜」
「はい!えーと…、、、」
「…!えーと…!みくるさん!ありがとうございます!」
2人揃って…あほなのかなぁ…?よしよし、助け舟を出してあげよう。
「…自己紹介が必要そうだねぇ…私は芦頭真理衣、ろずでもマリーでも好きな方で呼んでねぇ」
「私は加茂未来!みくるでいいよー!」
「えと、私は秋鹿牡丹です!さっきは勝手に食べちゃってごめんなさい!」
ごめんなさい!と手を合わせて謝るぼたん。なんだっけ?と首を傾げるみくる。それを見て、まぁいいんじゃないかなぁと勝手に許すマリー。
まともなの私しかいないかもなぁ…。
「ぼたんちゃんはどうしてこの大学に来たのー?」
「私はどうしても美味しいものが食べたくって!美味しいもの大好きで!もっともっと美味しいものを食べるには自分で作るしかない!って思ったんですー!!」
「おぉー!立派な志望動機…!!」
みくるが拍手する。お二人は?とぼたん。
「私はね!カモミールを!色んなハーブをもっと育てたいんだよー!!だから色々育てられそうなここに誘われたの!」
「私は実家が農業資材店でねぇ、そういうのを販売する家業を継ぐなら、使うところである農業も、経営スキルも学べるここがいいかなって思ったんだぁ」
「えぇ…!立派…!!」
「なんでみくるが知らないんだよぅ…」
そんな二人の漫才にけらけらと笑うぼたん。すごいなー!立派だなー!と聞こえてきてちょっと満更でもない。
「そういえば、2人は元々お友達だったんですかー?」
だんだん砕けた話し方になってきた。
「そうそう、ハーブの育て方教えてぇって突然お店に来たんだよねぇ」
「え…?元々種とか買ってくれるお客さんだったんですか…?」
お、この子もしかしたら案外まともかもしれない。
「いやぁ、他のお店で買った種が育たないーって泣きついてきたんだよね」
「とんでもねぇモンスター客じゃないですか…!?」
てへへと頭をかくモンスター、みくる。
「お茶会してる所に無断で潜り込んでクッキー食べてたぼたんも相当だよぉ…?」
てへへと頭をかくモンスター、ぼたん。
こいつら似てるなぁ…だから名前も知らない間に仲良くなったんだろうなぁ。
「ところで、さっきからなんで敬語なのー?同級生だよね?」
「あっすみません!癖と反省の印で…!」
「「癖…?」」
「元々のおじいちゃんおばあちゃんばっかりな所に住んでたから、どうしても敬語になっちゃうんですよねぇ…小中も年下がいなくってぇ…」
「あらら、そーなのか!」
「それは仕方ないなぁ…」
「でも!気を使ってるわけじゃないんであんま気にしないでください!」
「ちょっとずつ砕いていってやる〜」
食べるの大好きぼたんちゃんと仲良くなれた!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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食は全ての源泉…!




