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おイネ先生の診立て帖~幕末長崎、コロリより厄介な女医がおります~

作者:桜見
最新エピソード掲載日:2026/06/03
令和五年、東京の大学病院に勤める外科医・篠崎遥(三十二歳)は、三日間連続の手術のあと廊下で倒れ、そのまま死んだ。
目が覚めると、そこは幕末の長崎だった。
遥が転生した先は、楠本イネ。蘭方医シーボルトの血を引く、十五歳の少女——のちに「日本初の女性西洋医」と呼ばれることになる、その人物の身体。
現代医学の知識を持ったまま、異人の娘として生きることになった遥は、すぐに思い知る。この時代の死の、多さを。防げたはずの命が今この瞬間にも消えていくことを。
「女には診せられぬ」と背を向けられながら、それでも手は薬匙を手放さない。
死因不明の連続変死、奉行所が押し隠す疫病の影、蘭方と漢方の間で揺れる命——そして令和の知識と江戸の現実の、途方もない断絶のなかで、遥は静かに処方箋を書き続ける。
誰ひとり、死なせたくないから。
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