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リーラ・エブレサック 6

 目の前のぽかんとした顔のカイエンを見て、なんだか嬉しかった。

 私の言葉が普段冷静なカイエンをこんな風に動揺させることが出来るんだって嬉しかった。

 私はカイエンが好き。ううん、大好き。

 「私、カイエンが大好き。重いって言われるかもしれないけど、本当に愛しているの。だからね、私カイエンが他の人に笑いかけているとか、そういうのでも嫉妬しちゃうの。重いよね、ごめんね。でも本心なの。カイエンがノーヴィスさんを追いかけているのを見てて、嫌だったの。カイエンはただでさえ私より年上で、私とカイエンは同じクラスにはなれない。私はカイエンのクラスメイトにも嫉妬しちゃうぐらいなの。カイエンがね、女の子に沢山好かれてて、告白されているの見ているのも嫌で。カイエンがどこかに行ってしまうんじゃないかって、それを考えるだけで本当にやだった」

 本当に、本当に心の底からそう思っている。引かれているかもしれない。私の気持ちは、重いから。そう思うけれど、一度口に出した気持ちを、中断する事なんて私には出来なかった。

 すき、なんだ。大好きなんだ。欲しいって、叫んでいるんだ。

 「カイエンがね、私のモノになってくれたらいいなってずっと思っていたの。カイエンが私を見てくれれば、私だけを映してくれればいいのになぁってそんな風に」

 そう、ずっとそんな風に思ってた。自分で行動を起こさない癖に。今までの、幼馴染としての関係も心地よくて。あえて、それをぶち壊すことが怖くて。

 だって気持ちを伝えるっていう事は、今までの関係を壊して、壊れたままになるか、新しい関係を構築するかっていうその二択だったから。二つの道しか、思い浮かばなかったから。

 「ずっとね、昔から大好きなの。カイエンがね、他の人と付き合ったり、結婚したりしたら正気でいられないぐらいに、私はカイエンが好きなの。考えただけで胸が裂かれそうな気持ちになるの。ずっとずっと、カイエンの事でいっぱいなの、私。でもこんな気持ち言ったら引かれちゃうかなとか、考えてた。私はね、カイエン。カイエンが隣から消えちゃうことが一番怖かった。だから、ずっと逃げてた。言ってしまったらカイエンは私の傍から消えてしまうかなって思って」

 止まらない。私の口からどんどん気持ちが溢れていく。これだけでは足りないぐらいの、重い思いが私の心の中にはある。

 私は、カイエンが、カイエンの事だけが―---。

 「大好きだよ。カイエン。カイエンは私の事どう思っている?」

 私は笑顔でそう告げて、カイエンを見た。私の話を聞いて、黙り込んでいたカイエン。カイエンの耳は、心なしか赤くなっている気がする。

 「……リーラ」

 驚いたような戸惑ったような声。

 やっぱり、カイエンは私にそういう恋愛感情は持っていなかったんだなって恐ろしくなる。カイエンはこれからどういうんだろう。カイエンは、私の傍から――ってそんな風に考えてどうしようもなく怖くなった。

 拳を握る。握る拳が、恐怖で震える。

 「俺は、リーラの事、そんな風には考えてなかった」

 「……うん、知っている」

 怖い、カイエンは、私の気持ちに引いただろうか。私のカイエン。大好きな人。

 「でも、リーラの事は大切だ」

 「……うん」

 「妹のように感じていたんだと思う」

 「……うん」

 「でも、リーラに好意を持たれているというのは別に悪い気はしなかった。嬉しいとさえ思った」

 「え?」

 「俺がリーラに、リーラと同じ気持ちを返せるかなんてわからない。でも、リーラがそんな真剣に俺を思ってくれているっていうなら、いつ答えが出るかはわからないけれど、これから真剣に考えようと思う」

 カイエンは、そういって私の事を見ている。カイエンに見つめられるのが好きだ。

 「……それで、リーラと同じ思いを俺は返せないかもしれない。でも、考えるから。だから、待っててくれるか?」

 カイエンは私の事をちゃんと考えてくれている。

 私の重い気持ちも受け止めてくれている。

 それだけで嬉しかった。気持ちを伝えたから可能性が出たというのならば、言ってよかったと思えた。

 「うん!!」

 だから私はそれに頷いた。











 そして、その数年後。

 私はカイエンの傍で、幸せを手にして笑っていた。













 end




そんなわけでリーラ編こんな感じになりました。

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