行方不明になった学生たちの探索
寮たちの浄化活動の後、一之瀬先輩たちの捜索グループは行方不明になった大学のカオルトサークルの捜査に向けて準備を行っていた。
拠点に戻った寮たち浄化チームは、一之瀬先輩に報告し早めに休む事にした。
一之瀬さんの探索チームが深夜の見張りを行う事にしていた。
寮は浄化チームのテントの中で地図を広げながら、翌日の進行ルートを確認していた。
美紀が隣でお茶を準備しながら口を開いた。
「寮さん、今日の石碑の封印…少し気になることがありました。石碑の浄化と封印は成功しましたが、あの林周囲の霊気は普通では、ありませんでした。」
「どういうことだ?」
「うまく説明できませんが、浄化と封印を行ったはずなのに、何かがまだ封じられていない存在がいる感じがしました」
寮はその言葉を胸に刻みながら、静かに地図の確認を続けた。
霊山全体に漂う異様な空気は、何か大きな異変の前触れであるかもしれない。
それを聞いた陽菜が春香と話し合った。「確かに、私が霊光弾で次々と黒い影を浄化して行ったけど、途中で引いて行った感じがあった」春香も頷き「私もお経で悪霊を清めて行きましたが何か途中で急に抵抗が弱まった感じです」
鈴木が「以前、この近くにある祠の浄化と封印は大変でしたが、今回は、軽い感じでしたね。僕の判断では、以前、訪れた霊能者たちが浄化を行った影響だと思っています」
國府田「もし、これが罠だったとしたら明日の調査は、慎重に行った方が良いかも知れませんね」と、付け加えた。寮は、話を聞いた後「ひとまず、僕たちは捜索チームの援護の為にも予定通り先に進もう。その地点で遭遇する悪霊を浄化して、捜索チームが妨害されないようにする事が目的だ」
***捜索チームのミーティング***
一之瀬先輩の指示で、捜索チームのミーティングが続けられていた。佐山が現在地とルートを示す地図をテーブルに広げ、マーカーで捜索範囲を示していく。
「この地点までが、明日1日で到達できる最遠地点だと考えています。以前、浄化に向かった仲間たちが行方不明になって連絡が取れなくなっただが、そこを越えて行方不明者がいる可能性もあります。だから、捜索範囲を慎重に広げて行くのが望ましいです」
由香が手を挙げた。
「一之瀬さん、この霊山には、普通に迷子になったようなものじゃなくて、霊的な力が絡んでいる可能性も高いですよね?もしそうなら、地図通りに行動しても見つからない可能性は、ありませんか?」
「確かに、その可能性もある」一之瀬先輩がうなずき、慎重に言葉を選んだ。
「だが、僕たちが霊山に入る理由は、まず彼らを探し出すことだ。そのためには、地図を基にした基本的な捜索方法が重要だ。もし霊的な異変が起きた場合には、その都度判断して対応するしかない」
田中が口を開く。
「僕は由香さんに賛成です。今日、寮さんたちが見つけた石碑や祠の近くには、霊的な力が強く残っていたと聞きました。そういった場所を中心に探したほうが、行方不明者を見つける手がかりになるかもしれません」
千代がその意見に加えた。
「私たちが以前、この霊山を訪れたときも、祠や石碑の近くで霊的な反応が強かったと思います。明日は、そうした場所も重点的に調査したほうがいいかもしれませんね」
一之瀬先輩は全員の意見を聞きながら、小さくうなずいた。
「分かった。明日は霊的な反応が強いと思われる場所を中心に捜査を進めよう。ただ、明日は林のエリアを重点的に捜索しよう。そして、そのエリアの中でも地図で進める場所を慎重に確認して行こう。無理は絶対に禁物だ」
***夜中の異変***
ミーティングが終わり、捜索チームもそれぞれのテントで休息を取る準備を始めていた。そのとき、瑞希が突然テントの外を見つめて硬直した。
「……誰かいる?」
全員が緊張した面持ちで外を確認する。霧が薄く立ち込める中、暗闇の向こうにうっすらと人影のようなものが見えた。
「まさか、行方不明になった学生かも?」山田が声をひそめてつぶやく。
一之瀬先輩が冷静な声で指示を出した。
「全員、動くな。その場で待機してくれ。」
一之瀬はゆっくりとライトを持って人影に近づこうとした。だが、ライトの光が届くと同時に、人影はふっと霧の中に消えた。
「今の……本当に人だったのか?」田中が震えた声で尋ねる。
葵が慎重に言葉を選ぶ。
「人じゃなかった気がします……霊山が、私たちを試しているのかも」
***次の日の計画***
夜の異変を心に残しながらも、一之瀬先輩たちは翌朝の行動計画を再確認した。彼らが目指すのは、寮たち浄化チームが到達した地点の林のエリア内の捜索だった。
寮たち浄化チームは、
全日より先の地点を目指して進む事になり、捜索チームより1時間早く出発した。
一之瀬先輩が、寮に向かって「今日は、無理をしないで進んでくれ。今回の目的は林を中心に操作する為の援護が目的だ」寮が「一之瀬先輩、分かっています。いくらか浄化が完了した後、捜索チームと合流する予定です」と、答え出発した。
***捜索チームの調査***
一之瀬先輩たちの捜索チームは、
前日、寮たちが浄化と封印を行った林に向かい捜査を開始した。
林のエリアに到着後、3つのチームに分かれて捜索する事になった。
一之瀬先輩、由香、田中のグループ
葵、瑞希、山田のグループ
佐山、千代、江山のグループ
それぞれ別れて林の中の捜索を開始した。
一之瀬先輩「僕たちは、林の奥に向かってみる。葵さんたちは石碑周辺を。佐山さん達は林エリアのルート沿いの捜索を頼みます」こうして3つに分かれ捜査を開始した。
一之瀬先輩たちは、由香のペンデュラムを頼りに
学生たちが進んだ可能性のある方位に向かって進む。
葵たちは、石碑を中心に霊的なエネルギーを強く感じられる方向に進んで行った。
佐山たちは林沿いの登山ルートの道に向かった。
「気をつけて進もう。これから先、どんな現象が待ち受けているか分からない。」
一之瀬先輩の言葉に全員が深くうなずき、捜索を開始する準備を整えた。
***山小屋にて***
霧の中を進む一之瀬先輩、由香、田中のグループは、由香のペンデュラムが強く反応を示した方向へ慎重に進んでいた。やがて、木々の隙間から薄暗い建物の輪郭が見えてくる。
「……あれは、山小屋?」田中が不安げに呟く。
「慎重に調べよう。何か手がかりがあるかもしれない。」
一之瀬先輩が指示を出し、三人は小屋に近づいた。
小屋は古びており、窓はひび割れ、扉は軋む音を立てた。
しかし、内部からはかすかに人の話し声のような音が聞こえる。扉をゆっくり開けると、
中には疲れ切った様子の若者たちが数名うずくまっていた。
「君たちは大学のオカルトサークルのメンバーなのかい?」
一之瀬先輩が声をかけると、一人の青年がゆっくり顔を上げた。彼は20代前半くらいで、目の下には大きなクマができており、衣服は汚れていた。
「そうです……僕たち、大学のオカルトサークルのメンバーです。」彼の声は震えていた。「霊山の探索をしていて……途中で仲間が次々といなくなって……それで、ここに逃げ込んだんです。」
「仲間がいなくなった?」田中が眉をひそめて尋ねる。
青年は小刻みにうなずいた。「最初は普通に進んでいたんです。でも、突然霧が濃くなって……それから、何か黒い影が僕たちを追いかけ始めて……。逃げる途中で、一緒にいた仲間が一人、また一人といなくなって……」
由香が慎重に尋ねる。「ここには何人いるの?」
青年が手で指し示した先には、彼を含めて3人の若者がいた。彼らは怯えきった様子で、口数も少なく震えていた。
***現場の調査***
一之瀬先輩は冷静に周囲を観察しながら、由香に小屋の霊的な気配を確認させる。
ペンデュラムは落ち着きを見せず、小刻みに揺れ続けていた。
「この場所、霊的なエネルギーが非常に不安定だわ」由香が警告する。
「霧が濃いだけじゃなくて、何か別の力が働いてる。」
田中は壁にかけられた古びた木の札に気づく。それには奇妙な文字が彫られていた。「これ、何かの結界の一部……?でも、かなり弱っているみたいだ」
「この小屋が彼らを守っている可能性もあるが、もう長くは持たないかもしれないな。」一之瀬先輩が札を調べながら呟いた。
青年が急に慌てて話し出した。「ここも安全じゃないんです!時々、外から不気味な音が聞こえて……僕たちももう動けなくて……どうしたらいいのか……」
「落ち着け」一之瀬先輩が静かに声をかける。「今から僕たちが君たちを安全な場所に連れていく。ただし、この小屋を出るには十分な準備が必要だ。まずは、腹ごしらえだ」と、所持していた携帯食と飲み物を学生たちに分け与えた。
***決断と行動***
「由香さん、ペンデュラムで最適なルートを確認してください。田中くん、霊的な防御ができるお守りと結界の準備だ。この小屋に一時的な結界を張る」
「分かりました!」田中が手早く霊札や浄化スプレー、エネルギーグッズを準備し
小屋の入口や窓に貼り付けて行った。
「由香、ルートはどうだ?」
「東側のルートが比較的安全そうです。でも、少し進むと霊気が強まりそう……そこから急ぎましょう。」
一之瀬先輩が青年たちに目を向ける「君たち、自力で歩けるか?」
「……はい。何とか、ついていきます。」青年たちは疲労で足元がおぼつかないが、それでも歩く決意を見せた。
「よし。すぐに出発するぞ。この小屋に長居はできない。」一之瀬先輩が結界の札を最後に確認し、一行は東のルートへと進み始めた。
***帰路での試練***
霧がさらに濃くなる中、一行が進むたびに、耳元で不気味な囁き声が聞こえるようになる。青年たちは怯えきっており、何度も振り返ってしまう。
「振り返るな!」一之瀬先輩が声を張り上げる。「霊山では、振り返ると霊に取り込まれる危険がある!」突然、道の先に黒い影が現れた。それは人型をしており、動きが異様にぎこちない。まるで「失踪した仲間」を模しているかのようだった。
由香が震える声で叫ぶ。「これ……普通の霊体じゃない!もっと危険な存在みたい」
「全員、身を固めろ!」一之瀬先輩が影に向かって浄化の霊府を放った。影は一時的に動けなくなるが、しばらくすると、また近寄って来た。
田中が緊急対応として浄化スプレーを撒くと、一時的に影が後退した「これ以上は限界です。一之瀬さん、援護を呼びましょう!」
「分かった。田中君、通信機で葵さんと佐山くんに連絡を。それに寮くんたち浄化チームにも連絡を取って下さい!」一之瀬先輩の声に応じ、田中が通信機を手に取った。また、一之瀬先輩が信号弾を放ち現在位置を知らせた。
***緊急連絡***
田中の声が霧の中に響く。「葵さん、佐山さん、寮さん、こちら田中です!緊急です!捜索中に強力な霊的存在に遭遇しました。支援を要請します!現在地は……」
そのとき、通信機が霊気に干渉されるかのようにノイズでかき消された。
「これ以上は進めないかもしれない……救援が来るまで、ここで耐えるしかない」一之瀬先輩が言い、青年たちを守るため防御の結界を急いで張り巡らせた。「持ちこたえるんだ。救援が来るまで、この場を絶対に守る!」影が再び霧の中から迫る中、一行の試練はまだ続いていた。
***葵、瑞希、山田の捜索***
葵、瑞希、山田のグループは、前日に寮たち浄化チームが封印を行った石碑の周囲を中心に捜索を進めていた。霊的エネルギーが強く漂う中、瑞希は立ち止まり、何かを感じ取ろうとしていた。
「瑞希、どうしたの?」葵が少し緊張した声で尋ねる。
瑞希は目を閉じ、手を石碑にかざしながら答えた。「まだ何かが残っている……封印はされているけど、完全には浄化されていない気がする。周囲に何かいる。」
その瞬間、周囲の空気が急に冷たくなった。風もないのに、木々がざわつくように揺れ始める。山田が警戒して霊札を取り出した。
「嫌な予感がするな……気をつけろ、何か来る!」
石碑の影から、ねじれた人型の霊的存在が現れた。それはうなり声を上げながら、3人にじりじりと近づいてくる。
「まずいわ……普通の影とは違う!」葵が手に霊力を込めながら話す。
瑞希がすかさず指示を出した。「山田くん、結界を張って足止めを!葵さん私が術を完成させるまで時間稼ぎを」
山田が素早く札を地面に置くと、霊的な結界が発動し、それと同時に悪霊に向かって封印の術を施す。霊体の動きが一瞬鈍くなった。その隙を突き、葵が手に込めた霊力を放つ。しかし霊体は完全に消えることなく、再び向かってくる。
瑞希は集中し、浄化の儀式を始めた。「これで……浄化する!」
瑞希の手から放たれた浄化の光が霊体を包み込み、やがてそれは完全に浄化され消えていった。しかし、周囲にはまだ重い霊気が漂っていた。
「これじゃキリがない……。この場所自体が呪われているのかも。」葵が疲れた声で呟く。
瑞希が石碑をもう一度調べた。「石碑そのものは封印されてるけど……何か別の所から力が働いているのかも」
山田が険しい表情で言った。「何かが封印を解こうとしてる……そんな気がするな」
3人は再び周囲を警戒しながら
次の探索ポイントへと向かう事にし再び進み始めていると、一之瀬先輩たちからの救援メッセージが届いた。「葵さ・・・佐・・・さ・・・寮・・・ん、こちら田・・・です!緊急・・・・捜・・・に強力。。。霊的存在・・・支援を・・・・要請・・・・現在地・・・」
遠くで信号弾の音が聞こえる。
葵は、音のする方向に向きを変え「急ぎましょう。みんな!」と、声を掛け急いで向かった。
***佐山、千代、江山の捜索***
佐山、千代、江山のグループは、林沿いの登山ルートを探索していた。道は細くなり、足元には落ち葉が積もり、ところどころで苔むした石が顔を出している。霧が濃く、視界が悪いため、慎重に進んでいた。
しばらく進んでいると「ここ、足跡があるわ……」千代が道端を指差す。
佐山が足跡を調べる。「確かに。学生の靴跡だとすれば、失踪したメンバーのものかもしれない」
江山が周囲を警戒しながら付け加えた。「でも、これ……途中で消えてるみたいだな。どこに行ったんだ?」
そのとき、千代が小声で囁いた。「……待って。あれ、見て。」
3人が目を向けると、少し離れた木の根元に、古い布切れのようなものが絡みついているのが見えた。近づいてみると、それは服の一部のようだった。
「これ……明らかに誰かがここにいた証拠だ。」佐山が布を慎重に拾い上げた。
しかし、その瞬間、周囲の霧が急に濃くなり、木々の間から不気味な囁き声が聞こえ始めた。
***霊的な妨害***
「何だ、この音……?」江山が震えた声で言う。
霧の中から、いくつかの黒い影が姿を現した。それらは人型のようでもあり、獣のような形にも見える不定形な存在だった。「気をつけろ!動きを止めるぞ!」佐山が叫び、護符を取り出して影に向かって投げつける。護符が影に触れると影は浄化されたが、次々と黒い影が現れて来る。
千代が冷静に浄化スプレーを黒い影に向かって撒くと浄化されて行った。「早くここを離れましょう。う!」
江山が道を確認しながら叫ぶ。「こっちだ!足跡の方向に進めば抜けられるはずだ!」
3人は黒い影をかわしながら、必死に道を進んだ。途中で何度も影が迫ってきたが、護符やスプレーでなんとか凌ぎ、安全なエリアまでたどり着いた。
***さらなる証拠品の発見***
影が消え、周囲が静寂を取り戻したころ、3人は道端にぽつんと置かれたメモのような紙を発見した。湿気で破れかけているが、何かが書かれていた。
「これ……学生の残したものかしら?」千代がメモを拾い上げ、慎重に読む。
そこには、乱れた文字でこう書かれていた。
「影に気をつけろ。石碑の向こうに何かが……」
佐山が紙を見てつぶやく。「石碑の向こう……に何かあるってことか。」
一行が先を見ると10メートルほど先に石碑が建てられていた。
江山が「これ以上深入りするのは危険だ。一度、一之瀬さんたちに報告しよう」3人は、緊張感を保ちながら集合地点に戻ることを決めて引き返していると、一之瀬先輩達からの緊急連絡が入った。声が変質して、時々途切れたりもしていた。その後、照明弾の音が遠くから響いて来る。
佐山は「急ごう!」と、声を掛け、一之瀬先輩たちの方に向かった。
彼らは、さらなる試練が待ち受けていることを予感していた。
購読、ありがとうございました。霊山シリーズは、思っていたより長くなりそうな気もしています。
色々と忙しくなる時期なので、サクッと終わらせたかったのですが、続きを書いて行くと深みに嵌っている感じもあります^^;




