ルナリアンズ戦 その3 第3クォーター
ハーフタイム。
「なんかいい試合になってきたねー。想定外だけど」
監督の本條莉奈が戻ってきたメンバーを迎える。
67対65、2点差まで詰められた状況は、確かにふつうならいい試合といえる。
「くそっ!」
中山が悪態をつく。
「結構うまいよね、おっさんたち」
永江がつぶやく。
「感心してる場合か!」
不機嫌な中山がいう。まあ不機嫌になるのは無理もない。この試合は大差で勝つ必要があるのだ。
「結局、若手もベテランもシュートを打つ。シュートスタイルは違うからこの点を突くしかない」
コーチの藍崎華瑠奈がいう。
「成功率の高い若手の攻撃がメインで、これがだめならベテランに切り替えてる。切り替えるところでインターセプトを狙っていく」
脚力の違いからか、若手とおっさんではプレイスタイルが違う。おっさんがシュートが打ち始めたのは、ぼくらが若手のシュートを防いでいるからだ。
「俺がおっさんに向かうパスを取る。若いやつのマークは任せた」
これは中山。若手は脚力がある分、マークする側もそれなりに体力がいる。中山は交代なしで出続けるから、おっさんのマークに回るのは良い手だ。
「じゃあ、インターセプトは恵ちゃんに任せるとして、攻撃面でも積極的にいこうか」
監督がメンバーを見回す。
「第3クォーターは、開始からミカちゃん出て」
「え? 最初から?」
驚くミカ・コルホネン。
「うん。3分で交代するから。第2クォーターは出てないからいけるでしょ。第4のラスト3分もよろしくね」
彼の、低空飛行を駆使するムーンステップで出だしから点を取る戦略か。
ハーフタイムが終わり第3クォーター開始。まず速攻が決まる。出だしは良い。
相手チームの若手をマークし、若手へのパスを諦めたところでおっさんをマークしていた中山がパスをインターセプト。それを見た浅井は速攻を狙いゴールに向かう。中山からパスを受けたミカ・コルホネンが低空飛行でボールを運ぶ。浅井はスリーポイントラインのあたりで思い切り床を踏んでジャンプ、コルホネンからのパスを受けダンクシュートを決める。
攻撃ではコルホネンを中心にして低空でボールを運ぶ。相手チームのおっさんはジャンプ力が弱いが、地上での瞬発力も弱い。コルホネンの素早い方向転換についていけず、彼を中継するパス回しで相手をほんろうし高空層にジャンプした浅井、永江にパスを通してシュートを決める、というやり方が連続して決まった。
2点差に迫られていたが、このクォーターは調子を取り戻し98対88で終えることができた。10点差にはできたが、31点しか取れなかった。最終の第4クォーターで30点差以上にできるのか。ちょっと不安な展開だ。




