第2戦に向けて
予選リーグ、最初の試合が終わった。
我がセレニティ・ラビッツは勝利。公式戦初ゲーム、初勝利だ。チームの雰囲気もいい。
グループは4チームなので、各チームの試合は3戦。試合は1日おきに行われ、予選リーグは5日間で終わる。
試合の翌日、ラビッツが属するグループDの試合はないが、交互に試合が行われている他グループの試合はある。ということで、高校の体育館で行われている予選リーグの試合を観戦、その後、体育館で明日に向けて軽い練習を行った。
「ムーンロケッツ対ルナリアンズは、150対82でムーンロケッツが圧勝してるんだよねー」
練習後の打ち合わせで監督の本条莉奈が他チームの試合結果を見ながらいう。圧勝したムーンロケッツは我々の最終戦の相手だ。
「得失点差は、68かよ。地球人なのに適応力すげーな。2戦目とかだったら200点は取ってるかもな」
永江が感心している。
「滞在経験者もいるからね。それに元NBAはここに来てもすごいってことなんだろうね」
柚子山はそういうと手に持ったボールを指の上で回転させる。
ここでムーンバスケットボールを経験した者の中にはプレイ体験が忘れられず、大会の時だけこっちに来るやつも少なくないのだ。浅井も将来は地球に戻る予定だが、機会があればここに来てプレイしたいと考えている。
「最終戦で当たるぼくらはついてなかったかな」
浅井もコメントする。150点は大量得点に見えるが、ゴールリングは遠いがプレイ空間が広いムーンバスケットボールは攻撃側が有利で得点が決まりやすい。なので、200点ゲームなんてのも珍しくはない。
「まあ、ムーンロケッツが次も圧勝してくれれば、最終戦は主力メンバーが出てこない可能性はあるね」
柚子山が指摘する。確かにその可能性はある。
「ルナリアンズは去年の主力メンバーが2人いないのも効いたな。そのあたりもあるかもな、大差の原因は」
これは中山。地元の同好会チームのこともよく知っているのだな。浅井はちょっと感心する。
「まあ、ルナリアンズは地元同好会の中年のおっさんが中心のチームで予選突破の実績もないから」
これはクレイグ。
「主力が抜けたおっさんチームとはいえ、いちおう地元のチームなんだけどな」
永江も端末を見ながら発言する。
「とにかく、次のルナリアンズ戦は大差で勝つ」
そういうと中山がボールを軽く放り上げる。
「私達のチームは得失点差がプラス2点、最低プラス15を目指しているから、最終戦を考えると少なくとも30点、いや40点差はつけて勝ちたいね」
監督が手元の端末を見ながらいう。
「次は大差で勝って最終戦も勝ちにく。仮に最終戦で負けても僅差なら問題ねえ」
中山は強気だが、最終戦は負ける可能性が高いのでぼくらのチームはグループ2位を目指している。そして全グループの2位の内、上位2位以内に入って予選突破するのが目標だ。過去の実績では、上位2チームに入るには得失点差15点以上が必要だ。
最終戦のムーンロケッツには大差で負ける可能性があるので、次の7thブロック・ルナリアンズ戦は絶対に勝たないといけないのはもちろんだが、大差をつけて勝たないとまずい。とはいえ、次の試合を30点差で勝っても最終戦で30点差で負ける可能性もある。今の得失点差が2点しかないのはなかなか厳しい。




