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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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72/81

クレーターズ戦 その12 試合終了

第4クォーター、一度は6点差まで詰めたが今は8点差。なかなか差が縮まらない。それに点差が1桁になってからどっちのチームもプレイが荒れてきた。


相手のチームファウルは4つになったが、直後にホイッスルが鳴り、永江(ながえ)がこの試合4つ目のファウルを取られた。こっちもこのクォーターのチームファウルは4つ目だ。永江はいったんベンチに下がる。


ゲーム再開直後、柚子山(ゆずやま)が相手のパスをインターセプト、スリーポイントラインの外で高くジャンプしたクレイグにボールが渡る。狙いを定め放(はな)たれたシュートはゴールリングに吸い込まれる。5点差。


相手の攻撃。これを防ぎたいが、あっさりと2点返され7点差。すぐに攻撃に移り柚子山がボールを運びセンターラインを越えたあたりで高くジャンプ、長い滞空時間の間にパスする相手を探している。浅井はボールもらおうとゴールに向かって走り込もうとしたが、ディフェンダーに妨害される。チームファウルが5つになることが頭をよぎり、中途半端な位置で低いジャンプをしてしまう。


ボールは黒田に向かうが奪われてしまう。スリーポイントラインのあたりで高い位置にいるやつにボールが渡りシュートを打たれるが、ボールはゴールリングにぶつかり大きく跳ね上がる。リバウンドを取ろうとジャンプする両チームの選手。クレイグがリバウンドを奪い取る。


「よしっ!」

速攻だ!

浅井はゴールに向かって走り始める。

コートの反対側を浅井と並走する中山がジャンプしパスを要求。中山をマークしていた敵ディフェンダーも慌ててジャンプするが間に合わない。身長ほどの高さに達した中山にパスが通る。


浅井は中山に合図しつつ、スリーポイントラインのあたりで思いっきり床を蹴りジャンプ。ゴールリングに向かって上昇、中山からのパスをキャッチ。ボールを頭の上に持ち上げた浅井はゴールリングにボールを押し込む。


ゴールリングを掴んだ手を離し、ゆっくり落下しながら浅井はタイマーの方を見る。第4クォーター、残り時間3分。5点差まで追いついた。


ここで相手チームがタイムアウト。


「5点差で残り3分。なんとかなりそうな気がしてきたな」

ベンチでメンバーを迎えた永江がいう。

「まあ、ここまで一度もリードしたことないけどね」

柚子山が指摘する.

確かに。始まってから一度も逆転していない。


「黒田くんは下がって透哉(とうや)、クレイグに代わってミカちゃん出て」

監督の本條莉奈(ほんじょうりな)が指示を出す。

「りょーかい」


「例の技、やってみるか。浅井、中山」

永江はそういうと浅井と中山を交互に見る。

例のやつか。試合ではまだ一度もやってないが。

「おう。俺がボール持ったら配置に付け」

中山がいう。

中山のパス精度は高い。彼に任せれば大丈夫だ。


ゲーム再開。

ミカ・コルホネンが低空でボールを運び、中山にパス。

永江はゴールリングの左側、スリーポイントラインのあたりにいる。浅井はゴールの右側に向かう。中山がジャンプしたのを確認、ディフェンダーの横から浅井はゴールに向かって思いっきりジャンプする。


永江もディフェンダーにフェイントをかけた後、その場でジャンプ、中山から永江に速いパスが送られる。頭の上に向かったパスを永江がトス。そう、バレーボールのトスだ。永江はバレー経験者、セッターをやっていたのだ。

中山の速いパスがトスによって一瞬で向きを変え、浅井に向かってまっすぐ飛んでくる。コースは完璧。浅井はボールをキャッチしリングに押し込む。


この永江のトスによるパスが威力を発揮し、連続してゴールを決めることができた。スポーツに流れというのがあるなら、今はまさにぼくらのチームに流れが来た。試合の終盤になって。


試合終了のホイッスルが体育館に響く。


120:118


勝った。


監督が大喜びでメンバーを迎えている。ハイタッチしているので浅井もその列に並ぶ。練習試合では何度か勝っているが、公式戦はこれが初勝利だ。


「たった2点差かよ」

中山は不満そうだが笑顔を隠しきれていない。

結果を見れば苦戦だったが、逆転勝ちでいい試合だった。


「2勝が必須だからこの勝利は大きいよ。得失点差は次で取り返すしかないね」

これは永江。まあ、その通りだな。


「それじゃあこの後、反省会と次の試合に向けての作戦会議やるからねー」

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