クレーターズ戦 その8 第3クォーター
第3クォーター開始早々2本決まる。浅井はスコアボードを見る。54対69、15点差。いい感じだ。
だが、永江が3つ目のファウルを取られた。パーソナルファウルは1試合5つで退場だ。なので、あと1つ取られたらベンチに戻るしかない。永江はシュートも決められるし守備もいい。まだ第3クォーターが始まったばかりなので、この時点でファウルを恐れてプレイが消極的になるときつい。特に逆転に向けて積極的にいきたい今は。浅井は今のところファウルはゼロ。永江の分、もう少し積極的にボールを奪いに行くことにする。
相手チームの攻撃、スリーポイントラインのあたりの中空層、身長より高いが全力では飛び上がっていないくらいの高さでパスを回している。空中には3人、2人はディフェンダーの隙を狙っている。月面の重力は地球の1/6、滞空時間が長いとはいえいつまでも空中にはいられない。常に3人が空中にいられるよう、5人がローテーションで次々にジャンプしながらシュートの機会をうかがっている。
浅井がマークしている相手は床にいる2人の内の1人で、次にジャンプするはずだ。こいつの動きに注目していると、外側に向かって思いっきりジャンプした。スリーポイントラインを超えたところでシュートを放つつもりだろう。浅井から離れる方向に強くジャンプされたのでもう追いつけない。リバウンドに備えることにする。
ムーンバスケットボールでリバウンドを取るのは地球よりも難しい。リングに当たって跳ね返るボールは、結構遠くまで飛んでいくことがあるのだ。浅井は、ボールは大きく上に跳ね上がることに賭けることにした。この場合、ボールはバックボードよりもずっと上まで跳ね上がるので、そのボールの軌道を確認してからジャンプしても十分に間に合うのだ。
マークしていたやつにボールが渡った。ボールを持った右手を額の前に構えシュートのタイミングを計っている。上昇が止まるあたりでシュートが放たれる。ボールは浅井の予想通りゴールリングにぶつかり上に高く跳ね上がる。リバウンドを狙ってジャンプしているやつがいるが、まだ早い。浅井は、ボールが落下し始めてから強くジャンプ、相手チームに浅井より一瞬早いタイミングでジャンプしたやつがいて空中で体がぶつかる。浅井がそのプレイヤーを押し出したような感じなるが、ノーチャージエリアなので問題ない。最も高い地点に到達したところでボールをキャッチ。
浅井は落下しながら味方の動きを見る。中山がセンターラインの上、中空層を飛行しているので狙ってパス。つい習慣でちょっと上を狙って投げてしまった。低重力なのでボールはまっすぐ進んだが、中山は頭の上でうまくキャッチする。
中山と反対側をゴールに向かって長距離ジャンプで走っていた永江がペイントエリア手前で強く踏切ジャンプする。中山からパスが通り、永江がダンクを決める。よし。3本連続でシュートが決まった。56対69、13点差。この調子ならもうすぐ差を一桁台にもっていけそうだ。




