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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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62/65

クレーターズ戦 その4 第2クォーター開始

「いい感じ、調子出てきたよー」

監督の本條莉奈(ほんじょうりな)が戻ってきたメンバーを鼓舞(こぶ)する。


最初の失点から立て続けに点を取られたが、第1クォーターの最後の数分は確かにいい感じだった。3分で10得点はできたんじゃないかな。今はまだダブルスコアだが、この調子でいけば追いつけるし逆転もできるはずだ。浅井はゴールリングを見上げる。希望が見えてきた。


「第2クォーターは逆転に向けて積極的に交代するからね!」

第1クォーターは誰も交代していない。中山はたぶん最後まで交代しないつもりだろうが、浅井は何度か交代したいと考えている。


「いちおう、わかってるとは思うが念のため。俺は交代しないからな」

中山はそういうと監督の方を見る。

「わかってるって」

笑顔で答える監督。

満足そうに笑みを浮かべる中山。


「チームファウルは3つ。内2つは透哉(とうや)でチャージング取られてるね」

「どっちも長距離ジャンプの後なんだから大目に見て欲しいよね」

監督の指摘に永江透哉(ながえとうや)はそういうと肩をすくめる。

着地したところに敵ディフェンダーがいて体当たりしたやつだな。着地直後の1歩目でぶつかってたように思うが。

「まあ、そういうのを取る審判だってことで気を付けるよ」

永江の言葉にうなずく監督。


「引き続きボールは(けい)ちゃんに集めて」

監督の指示にみんなうなずく。

「低空層でのパス回しを中心に、時々中空、高空層も入れてって。あと、17番と20番は引き続き注意して」

コーチの藍崎華瑠奈(あいざきかるな)がいう。

「任せとけ」

永江(ながえ)が即反応する。


インターバルの2分はあっという間に過ぎ第2クォーターが始まる。

「第2クォーターもこの調子でいくよー!」

監督の言葉を背にコートに戻る5人。


第2クォーターでは、できれば点差一桁までは追いつきたい。


こっちが17番をマークし始めたことは当然相手も気づいていて、17番にボールが回る頻度が下がってきたように思う。

だが、17番の代わりに別のやつが20番にボールをまわすようになった。永江が20番についているが、ペースは落ちたとはいえ相変わらずスリーポイントを決められる。くそ、また決められた。


彼らはスリーポイントシュートを重視しているようだ。ムーンバスケットボールではスリーポイントシュートも高くジャンプしてから放つが、リングの高さは7.7メートルなので、ボールはそれより上、8~9メートルの高さまで上昇し落下する放物線を描く必要がある。スリーポイントラインの距離からこのような放物線のシュートを決めるには、リングに落ちるまで2秒以上かかるようなゆっくりとしたシュートを放つ必要がある。地球の感覚でシュートを打つと落下せずにまっすぐ進んでバックボードに当たる。浅井も慣れるのに時間がかかった。


そして、ディフェンダーがこのシュートをブロックするには、シューターがジャンプしてから1秒程度でジャンプしないと間に合わない。もちろんすぐ近くでだ。ジャンプしてから最高到達点までは2秒ちょっと。位置取りとジャンプのタイミングが合えば、放たれた遅いボールが放物線の頂点に達するまでにブロックできる。だが、地球のバスケで3ポイントシュートを防ぐのが難しいように、ここでも防ぐのは難しい。


スローインされたボールを柚子山(ゆずやま)が運ぶ。ドリブルの二歩目でセンターラインを低い高度で越えようとしている。中山はスリーポイントラインの外側で軽くジャンプしている。


身長ほどの高さにいる中山に柚子山からパスが通る。永江がスリーポイントラインの外側で強くジャンプ、体が上昇していく。中山から永江にパスが通る。浅井はリバウンドを想定し、ペイントエリアに向かって駆けこみゴールに向かって思いっきりジャンプ。浅井に永江がパス、浅井は永江がシュートを打つと思っていたので一瞬驚くが、ボールをキャッチしそのままゴールリングにボールを押し込む。パスの空中リレーがうまくいき、アリウープ成功。


「ナイッシューッ!」

チームベンチから声が聞こえる。

柚子山、中山、永江、浅井、の間で高い位置で素早く空中パスが回り、シュートが決まった。いい感じだ。


浅井はスコアボードを見る。


27対47


20対40のダブルスコアよりはましに見えるが、両チームとも7点追加で相変わらず20点差だ。

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