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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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6人目

放課後。

今日は市民体育館を2時間借りている。

予約時間の15分前には着替えて体育館に入り、壁際でストレッチする。本條莉奈(ほんじょうりな)藍崎華瑠奈(あいざきかるな)も含めみんな来ている。いや、中山がいないな。たぶん6人目と一緒に来るのだろう。


それから、本條を監督、藍崎をコーチとしてエントリーする件はメンバー全員が賛成だった。実際は賛成どころか大賛成だった。まあ、そうなるだろうとは浅井も予想はしていたが、実際そうなってほっとした。


☆  ☆  ☆


その日の昼休み。

浅井と藍崎が一緒に食堂で食事をとっていると、中山と本條がテーブルにやってきた。中山はサンドイッチ、本條はパスタとサラダを手にしている。


「6人目見つけたよ」

隣の席に着いたと同時に発言する本條。

「早いね」

すでに目を付けていたやつがいたのだろうか、と浅井は想像する。

「放課後の練習で紹介するわ」

中山は大きめのサンドイッチに食らいつく。

「今日は市民体育館だったよな」

「おう」


「どんなやつ? バスケ部のやつ?」

浅井はどんな奴なのか気になったので聞いてみる。

「まあ、それも放課後にな」

じらすなあ。もしかしたらすごいやつなんだろうか。中山のようなレギュラーの現役部員を引き抜いたとか。


「なるほど。じゃあ、期待してるわ」

楽しみだ。

「ちなみに、人選は(けい)ちゃんだからね」

本條が手に持ったフォークで中山の方を指す。

ん? 気になるいい回しだな。


☆  ☆  ☆


「お待たせ」

中山の声に振り返る。

身長190センチは軽く超えてそうな痩せたスキンヘッドの大男が中山の隣に立っている。こいつが6人目か。

「紹介するわ。6人目、マルコム・ホークショー」

「ども、よろしく」

片言の日本語だが、発音の感じからするとアメリカ人か。NBAにいそうな感じのアフリカ系だ。もしかしたらすごい戦力になるかもしれない。これは期待大だな。浅井は今後の戦略について考え始める。


「こいつ、見た目はNBAだが、バスケは素人だ」

「え?」

「は?」

「はあ?」

中山の紹介にみんな驚く。浅井も驚いた。練習用の服装に着替えてないのはそういうことか。


「何のための6人目だよ」

これは永江(ながえ)

「エントリーするために決まってるだろ」

中山が平然と答える。

「それはそうだろうけどさー」

永江はあきれ顔だ。


「よりによってNBAプレイヤーみたいなのってのは、なにかの冗談なのかな?」

これは柚子山(ゆずやま)

確かに。人数合わせならだれでもいいはずだ。

「まあ、はったりも効くかもだしな。こいつがベンチにいれば」

「はあ?」

これにはあきれるしかない4人。


「はったり? そんなもん通用するかよ」

これは永江。浅井もその意見には賛成だ。試合に出ないってのはすぐにばれる。

肩をすくめる中山。


「そもそも、全員全試合フル出場なんて無理だからな。試合数も多いんだし」

これはクレイグ。予選ラウンドとグループリーグを突破して決勝トーナメントに出る、というのが、中山が決めたこのチームの目標だ。試合数は結構ある。

「5人じゃあ、勝てる試合も勝てなくなる」

浅井も意見してみる。

「まともにプレイできるやつが後2人、いや、3人は最低限必要だ」

永江が落ち着いた口調で主張する。


「わかったわかった。まずはエントリーが目的なんだよ。はったりってのは冗談だ。スカウトは続けてるから心配すんな」

6人目はエントリー目的で誰でもいいから誘ったってことか。まあ、笑えない冗談だったが、メンバーが増える予定ならまあいいだろう。浅井も少し安心する。


「俺も声かけてみるわ」

これは永江。不満いってるだけではだめと思ったのかもしれない。浅井はここに知り合いはほとんどいないので、勧誘はちょっと難しというのが正直なところだ。

「バスケ部から誘えないかな」

これは柚子山。現実的にはそのあたりだろう。クラスにバスケ部のやつが確か何人かいたので、聞いてみようかと考える浅井。

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