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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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36/51

チームの危機

放課後、市民体育館。


「どこ投げてんだよ!」

永江(ながえ)が中山に投げたパスが大きく外れる。中山はいつにもまして不機嫌だ。


「パス回せっていうから回したのに取れないのかよ」

永江が反論する。

「取れるわけないだろ、今のは!」

中山がいいかえす。

「ジャンプしろよ。ジャンプしてれば取れるんだよ」

「ジャンプするってアピールしてないだろ」

「上の方を指さしてなかったっけ?」

「指してねえよ! 片手をあげて走ってる方向を指してただろ」

中山はそういうと右手を上げた後、走っていた方向に倒すしぐさをする。

「そうだっけ?」

永江の返事にため息をつく中山。


練習試合はこれまでに3戦やって全敗。3連敗だ。

初試合はぼろ負け、その後の2戦も最初よりはましとはいえひどかった。今日の練習も似たようなひどさだ。みんな経験者だから決して下手ではないんだが、このチームワークと連携のひどさは致命的だ。雰囲気も悪く、こんな調子だとチームをやめるやつも出てきかねない。


中山はポイントガード、司令塔でいいんだが、他のやつらはシュートを急ぎすぎる。スモールフォワード、パワーフォワードとかのポジションがどうこうっていうんじゃなく、とにかくボールを持ったらシュートを打ちたがる。まるで初心者のバスケのような感じだ。これだと、ふつうにチームプレイしている相手には勝てない。


「ぼくはセンター的な役割の方がいいかな」

浅井は中山に提案してみる。

センターはゴール下でボールを奪い攻撃につなぐ役割だ。ジャンプ力には自信があるからリバウンドもいける。シュートしたい奴にちゃんとしたパスをまわせれば決めてくれるんじゃないかと考えた。


「いや。お前のジャンプ力は攻撃の方で生かしたい...」

即座に返答する中山。だが、悩んでいるような感じだ。


「みんなー、練習見に来たよー」

声がする方を見ると、本條莉奈(ほんじょうりな)が体育館の入口のところに立っている。


「あ、莉奈ちゃん!」

練習していた3人が本條の方にかけていく。

「ようこそー」

「待ってたよー」

「やっと見に来てくれたんだー」

「差し入れ持ってきたけど、練習終わってからね」

手に持っている袋には飲み物が入っているようだ。


「おいお前ら、練習中だぞ!」

中山が呼びかけるが聞く気はなさそうだ。

「時間ねえんだぞ!」

いらつく中山。今日、ここは1時間半借りているが、掃除しないといけないからフルには使えない。


「いま真剣に練習してるところだから、ちょっと待っててね」

「かっこいいとこ見せるから」

「中山! ボール!」

永江が中山に向かって叫ぶ。

「ったく、なんなんだよ...」

中山が不満そうにボールを投げる。


「動機はさておき、ちゃんと練習できそうじゃないか」

浅井は不機嫌な様子の中山に話しかける。

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