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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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活動家、次の作戦

観光客に人気のストリートフード、ムーンバーガーを食べ終えると、男はポケットから小さな箱状のものを取り出す。箱の小さなスイッチをスライドさせると、ハンバーガーの包み紙で覆いゴミ箱に放り込む。


男はポケットからスマートデバイスを取り出しスタートボタンを押す。ディスプレイの数字がカウントダウンを始める。


「50分」


そうつぶやくと、男は水色のカバンを肩にかけなおし通りを歩き始める。

ゴミの自動回収は約1時間後。観光客も多く、50分後には燃える物も増えていることだろう。今度は煙だけではない。


☆  ☆  ☆


公園通りに並ぶ屋台。

友人が1年契約で屋台をやっているのだが、時々手伝っている。

今日は火曜日。中古ショップは平日の月曜、火曜を休みにしている。3時間だけ手伝ってほしいといわれ快諾(かいだく)したデレク・コーエンは公園通りを歩いている。昼前だが観光客はそれなりにいる。いつもは爆発しているように広がっている髪だが、今日は食品を扱う屋台ということもあり、後ろでまとめ(ひも)で結んでいる。


「おう、商売は順調か?」

目的の屋台が見えてきた。デレクは屋台の男に声をかける。

「悪いな、休みの日に」

客の相手をしていた男はデレクの方をちらっと見る。

「3時間くらいどうってことはない」


「はい、熱いから気を付けて。ありがとうございまーす」

客に出来立てのタコ焼きを渡す男。

「すまないが、今から頼めるかな? はい、どうぞ、ありがとうございまーす」

時計を見ると、約束の時間の10分前だ。

「ああ、問題ない」

デレクは手にした飲み物のストローに口を付け音を立てて残りを飲み干す。そのあと、ふたを開けてカップから氷をひとつ口に流し込むと、カップを近くのごみ箱に放り込む。


ゴミ箱に放り込まれた容器はひっくり返り、残っていた氷が転げ落ちる。そのうちの一つが積み重なるゴミの隙間を転がり、丸められたムーンバーガーの包みが少し広がったところに滑り込み落下が止まる。溶けた氷の水が流れ落ち、防水処理されていない小さな箱の中に流れ込んでいく。


「すまないな」

「いいってことよ」

「今度そっちの店も手伝うから」

そういうと、タコ焼き屋の男はエプロンを急いで外し通りを小走りでかけていく。


☆  ☆  ☆


噴水広場を囲む広場の一番後ろ、壁にもたれかかりスマートデバイスの画面を見る男。

カウントダウンのカウントは残り10秒。


残り3秒、2秒、1秒、0秒。


ほくそ笑む男。

まだ何も起きないが、地球で試した際には1分後には包み紙が燃え広がり煙があがった。もう少しだ。

新たなタイマーを設定。時間は60秒。カウントダウンが始まっている。


60秒経過。

通りを見るが、何も起きない。


「くそっ」

男は小さな声でつぶやく。作動しなかったのか? まだ火が小さいのか? もう少し待つか。

それから5分待つが何も起きない。失敗だ。回収して調べたいがそういうわけにもいかない。

まあいい。今回はあきらめるか。

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