チームワークがさっぱり
「パス! こっち! パースッ!」
パスを要求する中山の声を無視し強引にシュートまで持ち込む永江。
「くそっ、おしい」
ディフェンダーに阻まれシュート失敗。さらにボールを奪われる。
「おい、今のはパスだろ!」
先に着地した中山が、不満そうに永江に向かっていう。
「はずしたけど、今のはひとりでいけるやつだよ」
永江が反論する。
「スタンドプレーはダメだ。おまえはブランク長いんだから成功率が低い」
「いやいや、だから練習してるんだろ」
「今はパスでつないでシュートまでもってく練習やってるんだよ」
「俺もそのつもりだが」
「じゃあ、パスまわせよ」
「だから、パスをつないできて最後のシュートを決めようとしたんだよ」
「ディフェンダーの動き見てなかっただろ」
「見てたよ。で、いけると思ったからシュート打ったんだ」
「はあ? あのタイミングでいけるわけないからパスなんだよ」
譲らない中山と永江。
「パスをエレガントにまわしてシュート決めたいよね」
これは柚子山。二人のいい合いを眺めている。
「お前はちょっとパスまわしすぎだけどな」
中山が柚子山を見る。
「その意見には賛成できないな。ムーンバスケットボールの魅力は、華麗なパスをまわす空中戦だよ」
柚子山も譲らない。
「空中戦はぶつかってなんぼだろ」
永江が主張する。
空中戦が多いムーンバスケットボールでは、動きを制御できない滞空中の衝突はファールを取られにくい。もちろん意図的なのはだめだが。
「じゃあぶつかって突破しろよ。ブロックされたら意味ないだろ」
柚子山の発言の途中で中山が割り込む。
中山と永江が正面で向き合い怒鳴りあっている。柚子山はマイペースで意見を挟んでいるが、ちょっと離れたところにいるからか、あまり相手にはされていない。
「さっきのは、ぶつかりそうになったからあわててシュート打ったって感じでエレガントじゃないね」
二人を眺めながらつぶやく柚子山。
「おまえら、落ち着け」
クレイグが中山と永江の間にはいる。
「まあ、ちょっと強く言い過ぎたかもしれんが、さっきのはパスだ」
中山は譲らない。
「パスが重要なのは知ってるよ。ただ、今のような場合で突破する練習は必要だ」
永江も譲らない。
「それは分かってる。い、ま、は、パス回しの練習なんだよ!」
中山もやはり譲らない。これではさっきと同じだ。
「わかったから、もう一回落ち着け」
永江が反論しようとしたところでクレイグが再度間に入る。
浅井も何か発言しようかと思ったが、さらに面倒なことになりそうなので黙っておくことにする。
それにしても、こうチームワークがさっぱりだとやばいな。このチームで予選突破できるんだろうか。




