22.幼馴染対決勃発
心臓がドキッと大きく音をたてた。
ずっと思っていたけどこの男は本当に心臓に悪い事ばかりしてくる。
今までぼんやり思っていたけど、今日確信に変わった。
あたしは声の人物をギロリ、と睨みつける。
その人物はあたしと目が合えばニコリ、と愛くるしい笑顔を向けてくるが、もう見飽きた。
美人も三日で飽きる、と言うが彼は男だし三日も経っていないけれどあたしはもうこの顔に辟易しているのだ。
「柚希…!お前!何でこんなところに!?」
久家くんはあまりに驚いたのだろう、瞳を最大限に見開かせ、声が上ずっている。
声の主、基三浦くんは可笑しそうにクスクス笑っている。
「だってやっぱりズルイじゃん。有花は俺のなのに葵になんか渡したくないし。」
さも当然、と言った感じで彼は言い切った。
何度もしつこいかもしれないけど、言わせてほしい。あたしは彼のモノになった覚えは一ミリもない。
「神城から聞いたぞ!お前の一方的な勘違いらしいじゃないか!!」
「えー?そうなの?」
不思議そうな顔であたしを見てくる三浦くんにあたしは「事実でしょ。」と冷たく言い放った。
久家くんはほら見たことか、と言わんばかりの面をしている。
だが、三浦くんはそんな事どうでもいいと言う笑みでこちらを見てくるもんだから苦労が耐えないのである。
「別に有花が今俺の事好きじゃなくても関係ないよ。将来的には俺で頭がいっぱいになるくらい夢中にさせるんだから」
「「はぁ!?」」
思いのよらない彼の言葉にあたしと久家くんは声をハモらせた。
なんとも危ない言葉なのだろう。
あたしは何故こんなに三浦くんに好かれてしまったのだろうか。
考えても告白ゲームくらいしか接点がない気がする。
久家くんは心底同情したようにこちらを見てくるもんだからあたしは居た堪れない気持ちになった。
「柚希、それは神城の事を考えれば全く迷惑極まりない行為だぞ…」
「今はね。だから将来的には別に関係ない事なんだって」
「三浦くん、その性格本気でどうにかした方がいいよ…」
「大丈夫だよ、有花の前だけだから」
あたしと久家くんがいくら言ってもニコニコニコニコと、可愛らしい笑顔で応えてくる三浦くん。
彼の態度に久家くんはワナワナと、体を震わせとうとう切れた。
「いい加減にしろ!柚季!何でもかんでも自分が世界の中心と言う態度を改めろ!今のままだと神城に好かれるどころか嫌われるだろ!!」
「あ、あの久家くん…」
「はぁ?有花に言われるならまだしも何で葵にそんな事言われなくちゃいけないの。」
「ちょ、三浦くん…」
「大体常日頃俺は思っていたんだ。お前は人に対する思いやりの心構えが全くないと。」
「落ち着いて、二人とも…」
「思いやり?へぇ?俺にこんな事言ってるのも思いやり精神ってわけ?はっ。勘違いしてんのはどっちだよ。迷惑なのは俺の方だよ」
「や、やめて…」
「なんだと!?聞き捨てならないぞ!柚希!」
「……」
「ならもう一回言ってやろうか?迷惑勘違い野郎な葵くん。」
「…やめんかーーーーー!!!!!」
今にも掴みかかりそうな二人にあたしは大声をあげて制した。
今週はきっとあたしの運勢は最悪だと思う。




