23.幼馴染対決勃発・2
あたしはむしろよく今まで我慢していたと思う。
散々止めようと努力はした。でも聞く耳を持たなかったこの二人が絶対いけないと思う。
最初の内は元気に走りまわる子供達が公園で遊んでいたのに今ではあたし達の周りを遠くからビクビクと様子を見ているのが目に入る。
思わずため息を吐いた。
三浦くんと久家くんはあたしが大声を上げたもんだからビックリして目をまん丸くしている。
これ以上恥もかく要因もない事だし、あたしは思っている事を口にする事にした。
「三浦くんも久家くんも少しは落ち着きなさい!子供たちの前でケンカするなんて最低だよ!?」
あたしがそう言うと初めて視界に子供たちがいる事に気がついたのか、罰が悪そうにする久家くんと、だからどうしたと言わんばかりの面をする三浦くん。
あたしは三浦くんの膝に蹴りを一発入れた。
「あいたっ」
「三浦くんも久家くんみたいに少しは反省しなさい!」
「え~。」
「えー、じゃないでしょ!あたしは少なくとも場所も考えず喚き散らす人となんて付き合いたくないね!」
「!」
そう言うと三浦くんはとても困ったように眉尻を下げてあたしの方を見てくる。
この男は本当に反省してなかったようで、「あたし」と言うワードで初めて自分がした事に後悔しているようだ。
「ご、ごめん!もうしないから許して有花…?」
「だーめ。何が悪いか全然分かっていないみたいだから許してなんかあげない。」
プイ、と顔を横に向ければ三浦くんは「そんな~」と情けない声を上げる。
顔は見てないけれどきっと同じように情けない面をしているだろう。
これまで三浦くんにはずっと振り回されてきたのもあり、あたしは今優越感に浸っている。
これは滅多にない機会かもしれない。そう思ったあたしは今のこの状態を最大限活かすことに決めた。
あたしが三浦くんを追い払えば彼はあたしに付きまとってくる。
それをまた追い払う繰り返し。
「神城は柚希を上手く扱えるんだな…。」
ボソッと呟く声にあたしは振り返る。
久家くんが驚いたようにこちらを見ているもんだからあたしは首を傾げる。
「扱える」とはひょっとしてこの事なんだろうか。
だとしたら大きな間違いだ。
あたしはこれまで三浦くんを上手に扱えた事なんて一回もない。これだってどうせ彼の事だ。その気になれば簡単にまた立場がひっくり返るだろう。
だってあたしはいつだって三浦くんに対して困っているのだから。
「久家くん、誤解だよ。あたしが三浦くんを扱っているように見える?」
そうあたしが言えば久家くんは顔に真剣味を帯びんできた。
「そんな事はない。柚希が誰かに言うことを聞こうとした試しはない。勿論全くいない訳ではないが、あの人は例外と言うかなんと言うか…」
「あの人?」
「あー、まぁそれは置いといてだ。とにかく柚希が人の言うことを聞くような出来た人間ではないんだ!それを扱えている神城は柚希にとっては相当の…「待って!!」
人の言うことは最後までちゃんと聞け、と言うがあたしはそんな事お構いなしに彼の発言を遮った。
「待ってよ久家くん。あたしは三浦くんを扱えてないしそれにあたしは三浦くんにそこまで執着される程何かをした覚えなんて全く心当たりがないの。」
「えー?有花はちゃんと俺の事扱えてるよ?」
「三浦くんは黙ってて。」
のん気にあたし達の会話を邪魔する三浦くんに一睨みきかせると彼は面白そうに口端を上げてニンマリ微笑んでいる。
本当に腹の見えない人、と心の中で呟きあたしは本題に話を戻す事にする。
「だからこれからだって三浦くんに対して特別な想いを抱かないし、あたしにどうこうして欲しいと期待するのは止めて。」
「…そう、だよな」
久家くんは決まりが悪そうに苦々しい表情を浮かべる。
こんなシリアスなシーンなのに一人だけクスクス、と笑っている場をぶち壊す奴がいた。
もう紹介するのもバカバカしく思うが一応物語の為でもあるので言っておこう。
三浦柚希、だ。




