15. 続・腹黒姫の憂鬱
「絶対に逃がさない」
その言葉に普通なら恐怖を覚える筈なのに、どことなく冷静ですんなり胸の中に受け入れた気がする。
勿論、恐い気持ちはある。ただ、あぁやっぱり。と言う感じだろうか。どことなく飽きるまで離してくれなさそうな気配が伝わっていたからパニックにならずに今に至るのかもしれない。
あと数センチで唇が重なるところでチャイムが教室に響き渡った。
お互い一歩も動かないし瞬きもしない。
ただ見つめあっているだけ。だけど決してロマンチックなものではなくお互い牽制しあっていると言ったほうが正しい。
どちらが先だったのだろうか、三浦くんが瞬きしたほうが先だったか、あたしの喉が鳴ったのが先だったか。
とにかくそれが合図だった。それまで見つめあう形だったが三浦くんが一歩後ろに下がり、あたしも横に向く。
最後のチャイム音が鳴り終わり静まり返った。
「教室、戻ろうか。」
そう三浦くんが言えばあたしは無言で頷く。
教室を出ようとしたが彼に手を引かれそのまま廊下を進んだ。
不思議と振りほどこうとは思わなかった。どこか諦めがついたのかもしれない。
教室に戻ると先生は既に来ていて「さっさと席につけよ~」と一言注意されるだけで済んだ。
だけど先生もクラスメイトもあたしと三浦くんが手を繋いでるのを見て言わずともニヤニヤしているのが伝わる。
堪らなく恥ずかしかったが、開き直っていたあたしは構わず無視することにした。
授業中、ずっと上の空だった。
何故、三浦くんはこんなにあたしに執着するのだろうか。
遊びのつもりでいるのならさっさと開放してほしいし、もし遊びでなかったらどうすれば良いのだろうか。
彼に問いただしてもきっとさっきみたいにはぐらかされるに決まっている。
それにクラス全員があたし達の事を認めている中、下手に動けば自らの首を絞める羽目になるのが目に見えていて、正に八方塞だった。
結局授業は殆ど聞いていなくて、授業終了のチャイムが鳴ってひどく焦った。
受験生の大事な時期なのに集中出来ない自分とその原因を作った三浦くんに苛つく。
休み時間になっても何もする気が起きず、机の上でボーっとしていた。
だけど離れたところから安藤さん達の甲高い声が聞こえてきて、意識したくないのにそちらに耳を向けた。
「ねぇ久家くん。今日13番で久家くんの番なんだけどね?あの…決まってる、かなぁ?」
13番。それを意味するのは13日の今日、13番の人が告白ゲームをすると言う事。
そういえば出席番号であたしの次の人は久家くんだったな、と思い出した。
久家くんと言えば今朝は楽しかったな、と朝の出来事を思い出して少し微笑む。
話したことは全くなかったけれど、もっと早くに話をしていれば今頃仲良かったかもしれない。
後悔はしないけど、惜しいことをしたかもしれない。
久しぶりに人と話して楽しいと思えたのだから。
そんな事をぼんやり考えてたらまた声が聞こえてきた。
「告白ゲームをやるのは構わないが、どんな相手でも良いのか?」




