猫じゃらし伝
本日2話目投稿です!
僕の名前は猫じゃらし。
田んぼの道で生まれて、田んぼの道で育った。
どこにでもある普通の猫じゃらしだ。少し大きいけど、それは個性ってやつらしい。
隣には幼馴染の猫じゃらしがいる。
同じ日に生まれて、同じ風に揺れて、同じ場所で時間を過ごしてきた。
それがずっと続くものだと思っていた。
けれど、ある日から空気が変わった。
最初に感じたのは、足音だった。
いや、正確には「地面が少しだけ違う方向に揺れる感じ」。
何かが近づいてくる。
そのあと、声がした。
「なんかこれ、振りたいね」
僕は振られた。
世界が一気に回転した。
空と地面が入れ替わる感覚。
幼馴染もすぐ近くで同じように揺れていた。
「すごいね」
何がすごいのかは分からないけど、そういうことになった。
そこからは忙しかった。
走るものがいる。
止めようとする声がある。
でも僕にはどれも区別がつかない。
ただ、揺れる。
風じゃない揺れが続く。
時々、世界が変な方向に進む。
道のない場所へ行ったり、
急に高い場所へ持ち上げられたりした。
木の葉っぱが目の前に来たりもした。
でも不思議と怖くはなかった。
幼馴染も近くにいたからだ。
山の中では、揺れがもっと激しくなった。
斜面の近くで止まったと思ったら、
また違う方向へ運ばれる。
「こっち行った方が早くない?」
そんな声が聞こえた気がした。
でも僕には、どっちが“こっち”なのか分からない。
そもそも“道”というものがよく分からない。
ただ、揺れているだけだった。
しばらくすると、揺れは少し落ち着いた。
空気が変わる。
今までよりも静かで、同じ場所にいる感じがする。
気づいたら、周りに人が増えていた。
さっきまでの揺れの原因たちだと思う。
でも彼らは楽しそうだった。
忙しそうに動いて、笑っている。
僕にはその理由は分からない。
しばらく移動した。
もう終わりらしい。
今までとは違う、上がすごく近い場所。
気づいたら、僕は持ち上げられていた。
幼馴染も一緒だった。
見たことのない場所。
でもどこか落ち着く揺れ方だった。
そして置かれた場所は、透明な壁の中。
花瓶というらしい。
隣には、ずっと一緒だった幼馴染がいた。
近くでは、似た雰囲気の声がまだ騒がしく動いている。
でもここは静かだ。
揺れない。
ただ、少しだけ光が当たっている。
僕は思う。
これはたぶん、旅だったのかもしれない。僕を連れ回した人間は、『らいふろーど』といっているらしい。
理由は分からないけど、そういうことにしておく。
もし次に風が吹いたら、
また少しだけ揺れるだろう。
それでいい気がする。
私達の『らいふろーど』の猫じゃらし視点を書いてみました!
誤字などがあったらコメント(感想?)にお願いします!
次回は遥菜ちゃん視点です☆




