第12話
はじめに、なんの報告もなく2週間も連載が止まってしまい、申し訳ありません!
家の事情でバタバタしたり、自分が体調を崩したりと、状況が厳しくなってしまい、連載が止まっていました。
今後は問題なく連載を再開できると思いますので、今度とも何卒よろしくお願いいたします。
また、今回から文章の書き方が変わっていたり、今までのようなテンポ感は無くなっているかもしれません。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
その後翠の病室に戻った五人は、医者から翠の病状について説明を受けていた。
「検査結果は変わらず過労で間違いないかと。」
医者は落ち着いた表情で話していて、先程までの暗い表情はどこかに消えていた。
「そうですか。」
四人は相槌を打ちながら、医者の話を真剣に聞いている。
「えー、じゃあ任務も行けないの??こんなに動けるのに?」
翠はマッチョポーズをしながら医者をみた。
「はい、1週間は本邸で療養していただき、その後様子をみて任務に復帰していただく方向で、厳さんとも話を進めております。」
「そっかぁ、残念だけどお父さんの言うことじゃ仕方ないね。」
翠はがっかりした様子で病室のベッドにボフっと座り込んだ。
「先生も翠ちゃんの体のこと考えて言ってるんだから、ちゃんと休養してね。」
優雅は困ったように笑いながら、翠のことを宥めるように言った。
「まぁ、そうなんだけどね。それはわかってるんだけど、やっぱみんなで任務行くの楽しかったから。」
「それは嬉しいけど、今回はゆっくり休んでよ。」
湊は翠の顔を覗き込み、心配そうに眉を下げた。
「そうだな、お前は少し休んだほうがいい。」
魁斗は翠の顔を掴み、むぎゅむぎゅした。
「あぁ、ゆっくり休め。」
黎は翠の頭にゆっくりと手を置き、優しく撫でた。
翠は少しだけ頬を膨らませた。
けれど、すぐにその表情から力が抜け、どこか寂しそうに目を伏せる。
「それでは失礼いたします。」
医者は深々とお辞儀をし、翠の病室から出て行った。
「あ、翠ちゃんこれ。一旦2日分持ってきたから、明日残りの5日分も持ってくるね。他に必要なものあったら言ってね。」
翠は湊からカバンを受け取り、中身を確認した。
「あー、ごめん。ありがとう。……うわ。」
だが、中身を見ていた翠の動きがぴたりと止まった。
みるみるうちに頬が赤く染まっていく。
「翠ちゃんどうしたの?熱?」
優雅が翠の顔の赤さに気づき、翠の額に自分の額をくっつけた。
「おい、翠は病人だぞ?イチャイチャすんじゃねぇよ!」
魁斗は頬を赤らめながら、翠から優雅を引き剥がした。
「魁斗はいつもイチャイチャするなっていうけど、僕はいつだって翠ちゃんとくっついてたいんだよ?別にいいじゃない。それに今は翠ちゃんの熱を測っているだけで、別にイチャイチャしていたわけじゃないからね。……とは言っても翠ちゃん熱いよ?やっぱ熱じゃない?」
「……チッ、ずりぃな。」
魁斗は不貞腐れながら、病室のベッドに座る翠の足元に横になった。
「いや、違う、そうじゃなくて、ちょっ、ちょっとびっくりしちゃっただけだから、気にしないで……。」
翠は真っ赤になったまま上を向き、ぱたぱたと手で頬を仰いだ。
「おい、なんだよ。気になるじゃねぇかよ。」
魁斗は頬杖をついて翠を見た。
「あ、僕の手冷たいから、貸してあげる。」
優雅は自分の手を翠の頬に添え、満足そうに目を細めた。
「お前なぁ、隙あらば、そうやってくっつきやがって。」
魁斗は不満そうな顔をしながら布団からはみ出た翠の足をつついている。
「それで?僕は気になるから聞くけど、翠ちゃんはなんでそんな顔真っ赤なの?」
湊はいたずらっぽい笑みを浮かべながら、翠に詰め寄った。
黎は壁に寄りかかり、少しだけ呆れたようにため息をつきながら、四人を傍観していた。
「いやぁ、さぁ、うーん、あー、……うん。」
翠は落ち着かない様子で視線をあちこちへ彷徨わせる。
ようやく引き始めていた頬の赤みが、再び一気に戻ってくる。
翠は気まずそうに視線を逸らしながら、ぼそぼそと呟いた。
「……これ、入れたの……誰?」
「え?」
魁斗と優雅は、何のことか分からず翠を見る。
「ふふっ。」
湊がニコニコと笑みを浮かべながら翠を見ている。
犯人が湊だとわかった翠は、恨めしそうな目で湊を見た。
「……みな!!」
翠は顔を真っ赤にしながら、声を荒らげた。
その様子と、湊の妙に楽しそうな顔を見比べていた優雅は、何か事情があるらしいと察したのか、くすくすと笑い始める。
一方、何のことかさっぱり分かっていない魁斗だけは、ぽかんと翠たちを見ていた。
「翠ちゃん、入院してる時暇かなぁ〜って思ったから。」
湊は翠の反応を嬉しそうに見ながら意地悪っぽく返す。
「……そうだけど、そうかもだけど!なんでこれあるの知ってるの!!」
翠は誰にも見せまいと、カバンを強く抱き抱えている。
「まぁ、荷物の支度してる時にたまたま出てきてさ。でもなんでそんなに焦ってるの?……僕的にはそれ嬉しかったけどな。」
湊はちょっと照れるように呟いた。
「おい、なんなんだよ。お前だけずりぃぞ。」
「だめだってば!!」
魁斗はムッとしながら翠のバックを見ようとするが、翠は全力で抱き抱えたまま微動だにしない。
「うーん。魁斗もうやめてあげて。それ以上やったら、翠ちゃんに嫌われちゃうよ。」
魁斗は手を伸ばしたまま停止した。
”嫌われる”という言葉がよほど効いたらしく、その場にへにゃへにゃと座り込んだ。
「あ、え、これ大丈夫?魂抜けてない?っていうか、そろそろ任務じゃないの?」
「そうだね。じゃあそろそろ出ようか。翠ちゃん今度気が向いたら見せてね。」
優雅は翠の手の甲にキスをしたあと、魁斗を担いで病室を出ていった。
続いて湊も翠の頭を撫でながら、また明日来るねと言って病室を出ていった。
最後に黎は翠に近づき、翠の顎を持ち上げ、自分の視線へと合わせたあと、少し顔を赤くしながらかがみ込み、キスをした。
「……ゆっくり休めよ。」
そう言い頭を雑に撫でたあと、黎は病室を後にした。
優雅side
四人は西園寺の本邸を出て車に乗り込み、現場へと向かっていた。
「黎、お前最後なのをいいことに、翠にキスしただろ?」
黎は”キス”と言う言葉に反応して、軽く咳払いをした。
「あぁ。」
「……俺もしとけばよかった。」
いよいよトドメが刺さったのか、魁斗は反撃する余力もなくしょぼくれた。
「ところで黎くん。さっきどうしたの?ずっと黙りこくってたけど。」
「あぁ、医者の言ってたことがおかしかったからな。医者は過労で間違いないと言っていたが、過労は病名ではない。何か原因が故に過労と診断されるものだろう。だが過労で間違いないと言っていたから、何か隠しているんじゃないか。」
「うーん、確かに。翠ちゃんは少し特殊だから、詳しく言い表せられる病名がないとか?」
黎と湊の意見を聞いて、優雅は窓の外を眺めながら少し考え込んだ。
「……でもどっちにしたって何か隠してるよね。翠ちゃんが何を隠してるかわからないけど、一旦は翠ちゃんが無事に退院してから様子を見るしかないかもね。」
「そうだな。」
「……俺も早く翠を抱きしめてぇ。」
「魁斗くん、いい加減元気になりなよ。明日も会えるんだからさ。それにしても階段で翠ちゃんを見つけた時、すごい厳さん慌ててたよ。特別関わりが長いわけじゃないけど、あそこまで焦ってる厳さん初めて見た。」
魁斗は湊の言葉に反応して少しだけ体を起こした。
「そうだな、俺らも焦ってたけど、厳さんは尋常じゃなかったな。」
「それだけ翠ちゃんのことが大事ってことなんじゃないかな?それに僕たちも西園寺に拾ってもらって、離れるときも学校に通えって中学までの学費を負担してくれてたし、高校の分までお金送られてきてたぐらいだからね。流石にそれは申し訳ないから返したけど。」
優雅の言葉にすかさず湊が返した。
「送られてきた時はびっくりしたよ。小さい頃、任された任務を無事に遂行できなかった僕たちに、そこまで恩をかける必要ないだろうに。」
「そうだね。それでも厳さんは名前の通り厳しいけど、情が深い人だから翠ちゃんを娘にしたんだろうな。」
「あぁ、すげぇよ、あの人は。」
黎は運転をしながら、三人の会話を聞いていた。
優雅はそんな黎の横顔を眺めながら、昔のことを思い返す。
(そうだ、厳さんはすごい。僕たちが辞めたにも関わらず、あそこまで世話を焼いてくれていた。それだけじゃない、今は完全に政府から存在を認められて、公式に幼稚園から大学までの学校の運営、一般人が利用できる総合病院の経営、身寄りのない子を受け入れる児童養護施設まで作っている。本来なら一般社会に受け入れられるなんて到底無理だろうけど、市民の安全を守ったり、災害などが起きた際にも積極的にお金や物資の寄付をしてきたと聞いている。その積み重ねで裏社会の存在、ましてや昔からこの国を裏で牛耳る二大勢力の一つである西園寺が人々に受け入れられたんだろう。名のある家に生まれたからこそ持ち得た財力と権力を利用して、そこまで成し遂げている。当時の僕たちには理解が足りてなかったけど、今になってすごい人だってことが身に染みるほど実感させられる。)
「……恩を返せるように頑張らないとだね。」
優雅が考え込みながらポツリと呟くと、湊が反応して続いた。
「うん!任務をこなすこともきっと大事だけど、今は何があろうと翠ちゃんをちゃんと守らないと!きっとそれが一番厳さんに恩を返せることだからね!」
「あぁ。」
魁斗が三人の言葉を聞いて、少し考えた後、窓の外を向いて話した。
「……それに翠がいねぇと俺が生きてけねぇ。」
(いつもなら顔を真っ赤にして言うようなことを魁斗はさらっと言った。それだけ魁斗にとって翠は大事な存在なのだろう。)
「……ふふっ。そうだね。僕も生きてけないや。」
湊が魁斗の言葉にニコニコしながら答えた。
「そうだな。」
黎はハンドルを少しだけ強く握りしめた。
「うん、そうだね。」
翠side
「はぁーーーーーー。恥ずかしすぎる……。」
一人になった翠は、ベッドで横になり、先ほどまでの出来事を振り返っていた。
「だってだってさ、恥ずかしすぎるってこんなの!!家族に対してこんな感情持ってるなんて恥ずかし過ぎる!!」
広げたアルバムには、写真と共にこれまで翠が誰に何をされてドキドキしたかをメモしてあるノートだった。
(さっきもかいちゃんにほっぺむぎゅむぎゅされたり、ゆうくんにおでこくっつけられた時も、お風呂でのぼせてフラフラしてたときにみなにお姫様抱っこされた時も、訓練中にナイフの扱いが上手くいかなくて苦戦してた時も、抱きしめるみたいにれいれいが教えてくれた時も!なんでこんなドキドキするんだ!大事な家族じゃん!家族って大事な人のことを言うんじゃないの!?だぁーー!!それにただドキドキしたって書いてあるだけならまだしも、またしてほしいなんて書いてあるよ!これが恋なの!?勘弁して〜、みんなは家族なのに、申し訳なさすぎる。……ん?いや待てよ??これはあれじゃないか?推しに対する……ドキドキみたいな??みんながイケメンだからドキドキするだけなんじゃない?だって再会してたった3ヶ月よ?そんな期間で恋なんて落ちるもの?いーや、ありえない!みんながイケメンなのと、今まで経験のなかった、人との触れ合いが増えたからびっくりしてドキドキしてるだけだ!でもこれが巷で言う恋愛感情ってやつじゃないならなんだって言うんだ……。わからぬ、わからぬぞ!!……大丈夫だ、これは今すぐ決めることじゃない。それにあと半年しか生きれないやつに恋愛感情を持たれたって、好きだって言われたってみんなが困るだけでしょ。あー!思い出したらまた心臓がバクバクしてきた!……落ち着け、落ち着け、翠よ。今はそれより考えることがあるだろう。)
「……あと半年でどうやって東條を潰すか考えないと。」
翠は自分が持っている東條の情報を書き出し、現状を把握したあと今後の予定を立て始めた。
1時間後……
「はぁ……現段階での予定は立てられたけど、実際すごいことしてるんだよね。二大勢力の一つを一人で消そうとしてるんだもん。やっぱ化け物なんだろうな、私は。本部に行けば行くほど強い能力者が出てくるだろうけど、嫌でもあのくそ野郎の血を引いてる。ちゃんと落とし前つけないと。」
そう呟いたあと、翠は病室のベッドに横になった。
(あと半年で四人ともお別れか。まだ3ヶ月しか経ってない、けどもう3ヶ月経ったんだよね。その上あと半年しか一緒にいれない。結局のところ一年も一緒にいられなかったな。……まぁでも1年分の記憶なら消すのもそこまで難しくないから、問題ないはずだよね。せっかく私の我儘でまたみんなに会えて、家族になれたんだ。みんなと離れたあと、みんなが嫌な思いしないようにできる限り綺麗に、みんなのところを離れないと。あぁ……そうはわかってるけど。)
「……もっとみんなと一緒にいたかったな。」
今回の話を書いてて思ったんですけど、今までの書き方って結構脚本寄りだったというか、ライトノベルともなんか違うようなって感じの書き方だったな、、と。
今後、自分の絵で漫画にできるように頑張りつつ、文章だけでも作品の解像度が上がるように頑張ります!
恐らく、今後から心情描写が増えたり、人柄が今までよりわかりやすくなるんじゃないかなって思うので、ちょっとだけ楽しみにしていただけますと嬉しいです!
近いうちに、溜め込んでた分を一気に更新できるようにするので、もしかしたら金曜以外に更新することも多くなるかもしれないですが、時々ちらっと覗いていただけますと幸いです!
よろしくお願いいたします!




