↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宿敵と運が繋がっても、王冠はひとつ  作者: 綴木 灯
第四章「一位は一人」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/20

最初の一位

準決勝第一試合。


白線の向こうに、セラ・ノーグがいる。


今季最初に自分を三対一で負かした相手。


カイを三対二で負かした相手。


最終順位、一位。


リゼは笑った。


「やっと」


「何が」


「ここまで来た」


「私が?」


「私が」


セラは首を傾げるだけだった。


「今日は三枚取る」


「前も聞いた」


「今日は取る」


「じゃあ、どうぞ」


三枚ずつの護印が灯る。


金色が沈む。


鐘が鳴った。



最初の光面は左前。


次が右後ろ。


中央は空いている。


初戦と似ている。


けれど、セラはもう一本まで道を削らない。


二つ残す。


リゼは中央へ出た。


右側へ新しい一枚が立つ。左が広い。


行かず、正面へ撃つ。


セラが半歩ずれる。


今度は光面へ一発。


薄い面が砕け、左が大きく開いた。


そこで初めて入る。


セラも動いた。


開いた出口へ先回りする。


「知ってる!」


防壁で光を逸らし、そのまま前へ押す。


セラが横へ一枚置いた。進路が細くなる。


リゼは押し切った。


二人の光が交差する。


胸元に熱が走り、先にリゼの護印が砕けた。


ゼロ対一。


「知ってても入るんだ」


「入らないと取れないでしょ」


「そう」


セラはもう次の面を置いている。


その返事が気に入った。



一枚目を返したのは、正面からだった。


左右へ置かれた二枚の光面へ、リゼは交互に光を当てる。


壊すのではない。


セラに、どちらを直すか選ばせる。


右手が右の面へ向いた瞬間、中央を一気に抜けた。


短い光。


一対一。


観客席が跳ねる。


「面を壊しに来ると思った」


「思わせた」


「そう」


セラの口元も、少しだけ上がった。



次は同じ手をセラが返した。


リゼが光面を狙う。


今度は直さない。


壊させる。


面が砕け、リゼの腕が伸びきった一拍へセラが入る。


二枚目。


一対二。


「同じの二回はないよ」


「私も」


リゼは歯を見せた。


息が少し速くなっている。


セラも同じだ。


変えれば変える。


その変更まで見て、次を変える。



残り一枚。


セラは二枚。


光面が三枚、左後ろ、右前、中央の奥。


使える場所が狭くなる。


待つほど減る。


リゼは前へ出た。


一歩。


右前の面がずれる。


二歩。


中央が細くなる。


そこへ入る。


セラが出口へ先回りした。


初戦なら、そのまま出口まで走って取られていた。


リゼは途中で止まる。


セラの身体だけが先に流れた。


真横の光面を撃ち砕く。


出口が横へ開く。


足元に推進。


身体を滑らせる。


振り向いたセラが半拍遅い。


二枚目。


二対二。


観客席が立ち上がる。


リゼは大きく息を吸った。


あと一枚。



セラは、もう面を三枚置かなかった。


左と右に二枚だけ。


中央を大きく空ける。


分かりやすい。


だから、たぶん分かりやすくない。


リゼは中央へ出る。


一歩。


セラが下がる。


二歩。


左右の面が少しずつ内へ寄り、中央が細くなる。


三歩目。


リゼが右手を上げた。


右の光面を狙う。


セラの視線がそこへ落ち、右手もわずかに動く。


壊した瞬間を待っている。


リゼの手に光が集まる。


撃たない。


そのまま腕を下げ、床を蹴った。


セラの目が開く。


面はまだある。


狭い。


肩を入れれば通れる。


リゼは光面の間へ身体をねじ込んだ。


セラが置こうとしていた腕を戻す。


遅い。


距離が消える。


セラも撃つ。


リゼも撃つ。


胸元へ熱が走った。


ほとんど同時。


違う。


目の前で、セラの護印がほんの少し先に割れた。


鐘。


『勝者――リゼ・オルディア!』


一瞬だけ、競技場の音が遠くなる。


次に全部戻ってきた。


「っしゃあ!」


両腕を上げる。


喉が痛くなるくらい叫ぶ。


今季最初に負けた相手へ、やっと返した。



セラは消えた護印を見てから、リゼを見る。


「三対二」


「私の勝ち」


「一枚足りなかった」


「私が一枚多かった」


「同じこと」


「違うでしょ」


セラは大掲示板へ目を向けた。


準決勝第一試合、敗退。


数秒だけ見て、息を吐く。


悔しさを隠す顔ではなかった。


「次は」


「何」


「ユースじゃないところで返す」


リゼは笑う。


「受ける」


「その前に王冠、取れば」


「取る」


「じゃあ次は王冠持ちを倒す」


「私が持ってる前提なんだ」


「あなたもそうだったでしょ」


セラは先に礼をした。


リゼも返す。


白線を出ると金色が戻る。


次の準決勝はカイ。


リゼは給水台へ寄るより先に、観客席へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。