水着の付き合い
俺が異世界の姫の体になって、暗殺者に襲撃された翌日。
「はいっ! 付け終わりました! とっても可愛らしいですよ、姫様!」
「あ、ありがとう……」
真っ白なふわふわしたトップスと、その下にしっかり胸を支えるブラに、下半身はパレオ。布が多いのは日除け。
厚底サンダルが砂浜に深めの溝を作る。
「ふふふ、姫様から海水浴のお誘いなんて……嬉しいですっ!」
リップルは健康的な体をビキニだけで隠して、ほとんど惜しげもなくさらけ出している。結構大きめな胸が俺の目の前で揺れている。
「う、うん。ちょっと思うところがあって」
ここは城の下にある砂浜。
リップルの他にも護衛の兵士たちが周囲にいる。
海面の方を見ればキラキラと輝いていて、愛船“オアシス”が浮いている。いつのまにかあの船は浮かんでいて、乗組員もおはず、オールもないのに海上を進んでいる。
「……あの“オアシス”って妖精がいるんだよね」
「はい! 船の素材である木は陛下が昔から育てていて、そして姫様が大好きだったモノを使っています。だから妖精が宿ったのでしょうね」
「とにかく、泳ごっか」
「ですね。でもまずは準備体操からですよ」
リップルと二人で準備体操をする。彼女に手伝ってもらって、体を反らせる運動をすると、自分の胸元で胸が柔らかく弾んだ。
「おおー! 流石姫様!」
いざ泳いでみると面白いようにスイスイ泳げた。本来、元の俺の体でもここまでは動けない。
まるでイルカになった気分だった。
クロールも、背泳ぎも、平泳ぎも、バタフライだって出来てしまう。
「す、すごい……この体……でも今日は」
リップルが潜っている隙に、俺は“オアシス”の方に泳いで行く。
リップルだって泳ぎはプロレベルだが、隙をついていれば俺の泳ぎに追いつけない。
後ろから彼女の呼び声が聞こえたが止まらずにオアシスに手を当てる。
「……やあ、昨日はありがとう」
船は何も語らない。当然だ、妖精がいると言っても船はしゃべったりしない。
だから一方的に話しかける。
「でも、リップルがいない今だから聞けるんだけど……」
迷ったけど海に来たのはオアシスと話すためだ。俺とリップルを助けてくれたこの船に、不誠実なことは出来ない。
「……俺はキミの知るイザベルじゃない……わかってる?」
船は何も語らない。
「……これを聞いて、もし嫌になったら、俺のこと拒否して欲しい」
船に乗り込む。
なんの妨害もなくスムーズに乗り込めた。船上で座り、甲板を撫でる。
「いいの? 俺のこと、認めてくれるのか?」
ゆっくりと船が進む。
その先にはリップルがいる。彼女も、そのまま船の上に乗れた。
認めてくれたってことでいいの……かな?
「ありがとう」




