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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す! 第一部 続き分  作者: Zassouyorifumetsu
第9章 天魔躍動す、北海を巡る謀略
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第122話 紙絵法教

それから、私達は集落内を隈なく捜索する。


すると、広い整備された道路と昔の山道らしき道を発見した。


私達は迷わず山道のほうを選択した。


どの道、整備されたほうは島の新規入居者が通ったほうだろう。


私達が今知りたいのは、過去から現状に至るまでの経緯だ。


今なお、この島は通信途絶中。


外部との連絡はつかない。


リゾート疑惑を調べようにも、

道内のほうにある紙絵法教の捜査はできないし、

そんな権限は私達にはない。


どうか、こちらに島民がいますように!


まあ、富裕層じゃないから、

整備されたほうの避難所に行けないというのもまずい話だが。


さて、どうなるか?


その山道は島の漁港から見て右手にある標高は比較的低い山に、

続いているようだった。


登山が始まって40分ほど、人の気配を感じた。


アテナさんが、


「そこの人、待ってくれ!」


と大きな声を上げた。


なるほど、アテナさんの見る方を向くと人の影が見える。


「あんたら、誰だ!」


「あのよそ者と同じか!」


それは良く鍛えられた若い男性だった。


しかし、何か厳しい感じの対応だなあ。


「まあまあ、わたし達は島が孤立していると聞いて、

 調査に来た者です。

 食料は足りていますかぁ。

 今自衛隊の方たちと救援物資を持ってきましたよぉ。」


のんびりした口調の天明さんの言葉に男性は調子を崩されたみたいだ。


「あんた、こんな中で呑気だな。

 さすがにあいつらもこんなのを送ってはこないか、、」


こんなのって何ですかぁ!

とちょっとお怒りの天明さんだったが、男性の気持ちは少し分かる。


「うむ、まあそれは置いておくとして、

 島の人達は無事か?」


とアテナさんが質問する。


すると男性は、


「ああ、何とかな。

 しかし、もう物資は無くなってきた。

 あいつらが島の食料を持っていったからな。」


「俺たちは、何とか山菜やらで食いつないできたんだが、

 さすがに限界だ。」


と答えてきた。


「そうか、なら港の方へ降りてきたほうがいい。

 あそこには、私達が持ってきた救援物資がある。

 2,3週間は耐えられるし。

 自衛隊もいるから、安全も確保できる。」


アテナさんがそう提案するが、


「少し待ってくれ。

 避難した中にはお年寄りも多いんだ。

 俺は都会から3年ほど前に移住してきたんだが、

 そんな有志で何とか支えているんだ。」


「ここの上に元々あった避難所がある。

 ここに逃げろと漁の師匠が言いはってな。」


と男性が答えてくる。


怒っていた天明さんが再び聞き返す。


「何人くらいいるんですかぁ。

 一人で動けない方はいますかぁ。」


その言葉に、


「大体60人くらいだな。

 島にいるのはお年寄りが多いが、

 今のところ、皆ちゃんと動ける人ばかりだ。」


「はあ、まあそれが発端だったんだがな。」


うん?


「この辺りに危ない何かはいますか?」


と私が聞くと、


「いや、あいつらの方がよっぽど危ない。」


と答えてきた。


続けて私は、


「あいつらって、リゾート関係の人ですか?」


と思い切って質問してみる。


「うん、あんたら知っているのか?」


と逆に聞いてくる。


「いえ、詳しくは。

 ただ島に来て、集落に入ったらイメージが全然違ったので。」


私の答えに、


「ああ見たのか?

 あれはこの島に入り込んだ異物だ。

 あれがなきゃこんなことにはならなかったんだ。

 くそっ!」


そんな怒りを見せてくる男性。


とにかく、島の人は見つけた。


それにどうやら救援を待っていたようだ。


あいつら?のしたことにも詳しそうだ。


少し男性と一緒に山道を進むと、

大きな御堂があるお寺があった。


なるほど、確かに島の人が頼るはずだ。


そして、何人かの人が建物から出てきた。


皆、年季の入った感じの男性女性だ。


その中の一人に先程の男性が事情を説明する。


そして、救援が来たという知らせは、お寺の皆に広がっていく。


アテナさんが、


「自衛隊の人を呼んでくるが、

 誰か詳しい人はいるか?

 着いて来てもらえると助かるのだが?」


そう言って、行動しようとする。


しかし、この場合、魔境やこういう現象に詳しい、

アテナさんと天明さんに残ってもらって、

話を聞き取りしてもらったほうがいいだろう。


アテナさんに、私が自衛隊の方に行くというと、


「ふふ、まあこれも経験だ。

 七果と天明で調査を進めてくれ。

 それに、七果は自衛隊から人を派遣してもらえるよう、

 説得する自信はあるのか?」


そう言われるとぐうの音も出ない。


確かに、漁港やら海保の船やらを今は探査中だった。


如月さんはともかく、足平さんが安全の確保に手を抜くとは思えない。


その場合、結構時間がかかってしまう。


お寺からの移動準備が始まっている。


ううむ、仕方ない。


私はさっきの男性を見つけて、


「すみません、ちょっとお伺いしたいのですが、

 紙絵法教って何か知っていますか?」


と聞いてみた。


天明さんも横に付いている。


「ああ、それなら例のリゾート開発で手腕を振るっている奴だろ。

 何回か俺たちのところにも来ていた。」


はあ、やっぱりリゾートなのか、、


しかし、天明さんは違う切り口から質問をする。


「ここのリゾートって成功しているんですか?

 他のところでは、こういう計画は結構頓挫しているみたいですが?」


すると、男性は、


「ああ、そうだな。

 俺も東京から来た組だからな、最初はそう思った。」


やっぱり、


だが、男性の話はまだ続いた


「ただ、ここの場合、ちょっと変な噂が入ってるんだ。

 なんでも、どんな病であっても、死を迎えることはなく、

 例え、水や食べ物が無くても生きていける永遠を齎す奇跡の島ってな。」


はああ!

なんだそれ、、


「なんか、この島の伝承が有名らしくてな。

 ええと、あっちで休んでいる爺さんがいるだろ。

 結構年くってるが、しっかりしてるから、

 詳しい話を聞けるんじゃないか?」


男性にお礼を言って、


お爺さんの方へ向かう私と天明さん。


「お休みのところ、申し訳ありません。

 リゾートと紙絵法教について聞きたいのですが、

 今大丈夫でしょうか?」


私がそう言うと、


「何じゃ、嬢ちゃんか?

 今時の子でも紙芝居に興味があるんか?」


お爺さんはそんなことを言い出した。


「紙芝居?」


聞き返す私に、


「そうじゃ、もともと紙絵法教というのは、

 紙芝居を元にしてるんじゃ。

 ちょっと前に代替わりして、挨拶に来たからのう。」


と答えてくれる。


「えっと、それって柱葉っていう男性ですか?」


私が再び質問すると、


「いや、鳥矢さんというまだ年若い女性だったはずだぞ。」


へっ、なんで?

いや、確かいざこざで失脚したとかなんとか。


「それじゃ、その紙芝居ってどんな話なんですか?」


一旦、スルーして、その紙芝居について聞くことにした私。


「ああ、それなら子供の頃からしつこく聞かされたな。

 確か、この島に移り住んだ開拓団が冬の嵐が続き、

 漁で魚が獲れなくなって、食べ物が無くなったんだと。

 まあこんな島だしな。

 昔は適当な作物もなかったんだろうな。」


「そうする内に、一人また一人と力尽きていった。

 この北の地で冬は長いからな。

 そして、最後の一人も動けなくなり、眠りに落ちた。

 その頃になると、凍えるような寒さがこの島を襲っていた。」


「で、普通はこれで終わるんだがな、

 この話には続きがあってな。

 その最後の一人が再び目覚めるんだよ。

 起きた一人を皆が囲んでてな」


「その中には大分前に力尽きたはずの友もいてな。

 結局何が起こったのかは分からないんだけど、

 島の皆は無事、春を迎えられたんだと。」


「そんな話が何時の頃からか、この島に伝わっててな。

 それが、昭和になって飢餓が発生してな。」


「島なんだから、漁すればいいって思うんだが、

 どうにもその頃は、それも出来なかったらしい。

 それで、まあ、同じことが起きたんだ。」


うん?

首を傾げた私を見ながら、


「うん、まあ、ただの紙芝居と思っていたんだがなあ。

 それで、この島にお偉いお坊さんがきてな。

 当時、この寺にいた一人の少年を見てな。

 それはもう、島では大騒ぎになったらしい。

 その後、成人した少年が鳥矢という苗字だったんだ。

 それが紙絵法教の始まりだ。」


「って、昔訪ねてきた子は言ってたな。」


はあ?


「俺たち島の漁師が外の事なんてそんなに知るわけないだろう。

 まあ、その紙絵法教とやらはともかく、

 島に伝わる紙芝居の伝承はそんなものだ。

 あと昭和の件は本当らしい。」


「じゃが、まさかそんなことを信じてこの島にリゾート建設するとは、

 俺たちでも予想できんわな。」


ううん、何か魔境の影響があるのかな?


確か右藤住職のところで暴走した収蔵品があったけど、

あの時も数日、住職たちは飲食できていなかったし。


お爺さんにお礼を言って、少し考えを変えてみよう。

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