第4話「円環術式──《アルカナ・サークル》」
教会に入っていったヴァルドの後を追っていく。
火ってこんなに熱いのか。
教会に入るとヴァルドとローブ姿の人たちが、対峙していた。
ローブ側には、1,2・・・少なくとも10人程いるようだ。
ヴァルドは木刀1本のみ。勝つのは極めて困難だろう。
シャンデリアが軋むように揺れ、ジャラララッとクリスタルが震えた。次の瞬間、ガシャーン!という轟音とともに無数のガラス片が床へ降り注いだ。
割れる音と共に先手を仕掛けたのはローブ側の1人だった。
相手は大剣使い。
振り下ろされる大剣。
ヴァルドは避けるそぶりすら見せない。
甲高い金属音がホールに響き渡った。
だが、大剣が床を砕いたその瞬間、剣先にヴァルドの姿はなかった。
「どこだ……!」
大剣使いが周囲を見回す。
次の瞬間、後方で悲鳴が上がった。
ローブ姿の男が一人、また一人と音もなく崩れ落ちる。
誰もヴァルドの姿を捉えられない。ただ、一瞬だけ翻る黒い影だけが視界の端をよぎる。
――速すぎる。
偉そうな態度から只者ではないとは思っていた。だが、ここまで圧倒的だとは想像もしていなかった。
バタッ。
また一人。
バタッ。
さらに一人。
瞬く間にローブの集団は全滅した。
立っているのは、色違いのローブをまとった呪術師らしき男と、大剣使いだけ。
静寂がホールを支配する。
そのとき、俺の目の前の空間が揺らぎ、ヴァルドが何事もなかったかのように姿を現した。
まるで最初からそこに立っていたかのように。
次の瞬間、色違いローブは人を使ってきた。
女の子だった。
あの子は確か「スキルの授与」で俺のことを見下してきた女の子だ。
「嫌だ!離して!」
必死の抵抗も所詮ガキの抵抗に過ぎない。
こうなるとヴァルドも思うように動けない。
あれ、大剣使いはどこに行ったんだ?
「アレン!逃げろ!」
ヴァルドが叫ぶ。
後ろを振り返るとさっきの大剣使いが回り込んでいた。
漏れなく俺も人質の1人になったようだ。
ここで無駄に暴れても体力を消耗するだけだ。
2度目の人生、思ったより短かったな・・・。
次の人生は努力なしで、最強スキルで、勇者パーティに入って、ダンジョンで無双して、ハーレムを築いて・・・。
次の人生の要望をしっかり神様的存在に伝えていると、ヴァルドが木刀を地面に突き立て、何かを唱え始めていた。
うわ!なんだあれ!かっこよ!
ヴァルドを中心に円形の魔法陣が形成されていく。
これ、光るんだ・・・。今度、教えてもらおう。
今度?ああ、そうか。
ヴァルドが助けてくれるってもう身体が感じているのか。
そして、ヴァルド言い放つ。
「円環術式──《アルカナ・サークル》」




