第42話「続く強敵」
「《オリジンコード002:全力掌握》」
次の瞬間、落下していた俺の体はまるで何事もなかったかのように落下を止めた。
落下速度がないなら、着地したときの衝撃もないので、無事に地面に降りることができた。
「…うまくいって、良かった。」
今使った魔法は、この前構築したばかりの魔法だ。
《オリジンコード002:全力掌握》は、自身に干渉しているあらゆるエネルギーをコントロールできる魔法だ。
当然、デメリットもある。
あまりにも大きなエネルギーをコントロールしようとすると、つまり、処理限界を超えると肉体が崩壊する…はず。
たぶん。
やったことないからわからんけど。
「とにかく、皆を探さないと。」
そう言って顔を上げる。
すると、目の前に人がいたことに気づく。
男だ。
それも身長が高い。
その男は漆黒のロングコートを纏っていた。
漆黒のコートには刺繍も紋章もない。ただ黒一色。
だが、だからこそ分かる。
光を鈍く吸い込む上質な生地と、寸分の狂いもない仕立てが、飾りなど不要と言わんばかりの存在感を放っていた。
細身で無駄のない体躯。鍛え上げられた戦士の威圧感ではない。
しかし、その均整の取れた立ち姿には、一歩たりとも揺るがぬ自信が滲んでいる。
艶のある漆黒の長髪は首元で緩く束ねられ、肩口へ静かに流れていた。
そして何より、人の目を奪うのはその瞳だった。
磨き抜かれた黄金の瞳。
その視線を向けられた瞬間、胸の奥がざわつく。
敵意を向けられているわけではない。
殺気を放っているわけでもない。
それでも、まるで自分という存在の価値を秤に載せられ、隅々まで測られているような錯覚に陥る。
右手には純白の手袋。
その指先では、銀色の懐中時計が静かに回されている。
蓋を開く。
一瞥する。
そして、乾いた音とともに閉じる。
――カチリ。
目の前に立っているのは、一人の魔術師ではない。
まるで世界の理そのものが、人の姿を借りて現れたかのような存在だった。
そんなことを考えていると、話しかけられてしまった。
「君は…アレン君、だったかな?」
その瞬間、本能が警鐘を鳴らした。
なぜ俺の名前を…?
…もしかして、
「お前、黒環結社だな?」
俺の問いを聞くなり、その男は鼻で笑った。
「あんな雑魚どもと一緒にするな。」
雑魚じゃないだろ…。
男が続ける。
「とはいえ、肩書きだけは伝えておこう。
黒環結社第4席、クロード=ヴェルナーだ。」




