第41話「最悪の目覚め」
ドォォォン‼
「な、何だ⁉」
俺は急いで体を起こした。
そこは、シヴァの部屋のベッドの上だった。
シヴァの部屋に来た覚えはない。
さっきまで自分が何をしていたのか記憶をたどる。
「俺は確か、朝走っていて……、あ!」
そうだ、疲労に体が負けて気を失っていたんだ。
どれほどの時間が経ったのだろうか。
部屋の時計を見る。
時計の針は、6時を指している。
とりあえず、シヴァに助けてもらったお礼を言わなければ。
「それにしても、どうしてこんなに朝早く俺が倒れていることに気づけたんだ……?」
呟きながら、リビングへの扉を開ける。
「ッ……⁉」
言葉を…失った…。
俺の体が膝から崩れ落ちる。
疲労のせいじゃない。
俺はただ、目の前の光景が信じられずにいた。
視界に映るシヴァの部屋は、もはや部屋とは呼べなかった。
何か大きな爆発でも起きたのか、家具は消え、隣の人の部屋だけではなく一番奥の部屋までの壁が貫通していた。
窓があったはずの壁がない。
そこから見える空は、暗かった。
「まさか、6時じゃなくて18時……⁉」
息を呑む。
俺が寝ている間に何があったのか、想像もできない。
シヴァはどこ?
ルカは何をしている?
アイリスは…無事?
俺の頭の中で数多の疑問が駆け巡る。
「……移動しよう。」
俺は、玄関の扉を開ける。
足が動かない。
かつて目の前にあった通路が――ない。
俺は踵を返し、窓から飛び降りることにした。
ここは4階。
普通に飛び降りたら当然、死ぬ。
「こんなところで使うとはな…。」
俺は、詠唱を始める。
「天地に満ちる万象の力よ。」
続いて、飛び降りる。
結構、怖い。
「熱よ、光よ、雷よ、風よ、命を巡る鼓動よ。
形ある力も、形なき力も、そのすべては一つの理に還る。」
落下しながらも詠唱を続ける。
残念ながらまだこの魔法の無詠唱は身に着けていない。
かなり速度が上がってきて、空気抵抗を感じる。
「今、その理を我が身に刻み、流転する力の支配権をここに宣言する――。」
いよいよ地面だ。
うまくいくかはわからない。
失敗した時の光景が脳裏に浮かぶ。
でも、これまでの自分の努力だけは信じられる。
――時として、努力は無慈悲にも我々を裏切ることがある。
俺の場合、努力を信じられない時ほど報われないことが多い。
そういう時は、大体自分の努力を信じられるまで努力を積み重ねられていないからだと思う。
だから、本当に報われたい時は、自分が信じられるまで努力をするようにしてきた。
そして今、俺は自分の努力を信じることができている。
「決まってくれよ――。」
小さく祈りながら、衝突寸前に告げる。
「《オリジンコード002:全力掌握》」




