第36話「第一進化」
今日は、日曜日。
「1日中、術式構築できるな。」
そう意気込んで作業に取り掛かる。
・・・6時間ぐらい経ったのか。
ついに2つの術式が完成した。
「でも、完成しただけなんだよな・・・。」
術式ができても使えなければ意味がないのだ。
俺は、2つの術式が書かれた紙をもってグラウンドに向かった。
やけに静かだな。
そんな事を考えながらグラウンドに入る。
その時、今まで軽快だった足が止まる。
大きくひび割れた地面に倒れる一人の少女。
――アイリスだった。
そして、その奥にもう1人。
ノクスだ。
彼の背後には地面に突き刺さる《イグニス》があった。
「アイリス!!」
《脚力強化》で強化した足がアイリスの元へ向かう。
「アイリス、大丈夫か?」
「アレン、後ろ・・・。」
次の瞬間、背中に重りのような物を感じる。
ノクスのスキルだ。
背中に乗った重圧は、ただ重いだけではなかった。
地面に押し付けられているのではない。
空間そのものが、俺を拒絶している。
かつて、1度感じたことなある殺気。
――押し潰されそうだ。
続いて、右腕にも重さを感じ始める。
このままだと、2人とも殺される・・・。
必死の抵抗も虚しく、右腕が悲鳴を上げる。
・・・折れたか。
頼む。
誰か、助けに・・・。
誰か?
ここで新しく人が来ても、今の俺のように殺されかけるだけだ。
・・・俺がやるしかない。
そう覚悟すると、まだ動かせる左腕に《アストレア》を構える。
ノクスが冷たく告げる。
「・・・まだ抵抗するか。」
その瞬間、左腕に重さを感じる。
マズイ。
両腕を破壊されたら勝ち目はない。
クソ!!
「俺にもっと使えるスキルがあれば・・・!」
俺が叫んだ瞬間、久しく見ていなかったステータス画面が勝手に開く。
スキル:【積層】
やはり何も変わっていない。
――いや、変わってる!?
いつからだ?
第一進化が完了していた。
ただ、現状は変わらない。
左腕がきしむ。
時間がない。
急いで進化内容を見る。
〈第一進化内容〉
・努力による成長効率が通常の3倍。
・「努力の前借り」が可能
「努力の前借り」?
詳細を開く。
〈「努力の前借り」について〉
「努力の前借り」とは、一時的に全ての身体能力を飛躍的に向上させることができる能力のことである。
代償として、一定期間内に指定された努力量をこなさなければならない。
例:全ての身体能力を現在の1.5倍に上昇。
代償内容→1週間以内に150kmのラン。
なるほど・・・。
代償があるが、仕方がない。
現状を打開出来るのはコイツしかない。
俺は前借りシステムの選択画面を開く。
現在の身体能力の100倍を入力する。
エラーが出た。
〈上限を超えています。〉
上限があるのか。
今度は50倍に設定する。
50倍なら可能のようだ。
俺は迷わず決定ボタンを押した。
〈努力の前借りを開始します。〉




