表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
36/57

第35話「《アークバンド》」

「・・・ん。

寝てた・・・のか。」


今何時だ。

時計を見る。


10時。


え、10時?


もう一度時計を見る。

やっぱり10時だ。


遅刻だ。

「ヤッバ!」

急いで机に突っ伏していた体を起こす。


制服に着替え、いつものバッグを手に取る。


ドアの鍵をかけ、急いで寮の階段を下っていく。

寮を出て、校舎への道を走る。

「《脚力強化ハイギア》!」

慣れない足の速さに終始転びそうになりながらも、教室まで走る。


勢いよく教室の扉を開ける。

ガラガラガラッ‼


「すみません!遅刻しました!」

「あなたは確か・・・。」

「1年Bクラス。

アレン=ベオウルフです!」

「わかりました。

早く席に着きなさい。」


お咎め無し!

助かった・・・。


ふと、周りを見る。

クラス全員の視線が俺に刺さる。

全然助かってなかった。


授業の合間の休憩時間。

アイリスが駆け寄ってくる。

「あなた、どれだけ悪目立ちすれば気が済むのかしら?」

「ごめんて。」


アイリスに呆れた顔をされる。

「まぁいいわ。

あなたに会いたいという人がいるの。

放課後、体育館に来てほしいそうよ。」


会いたい人?

俺に?


心当たりがないな。

誰だろう。


4限目が終わり、約束通り体育館に向かう。


金属製の少し重い扉を開ける。


真ん中に一人に少年が立っていた。


「アレン=ベオウルフだな?」

「そうだが。」


少しずつ歩いていく。

少年との距離が10mくらいになったとき、思い出した。


ピアス=ケインボルトだ。

技能測定学年5位。

会うのは入試以来だった。


「お前には入試の時の借りがあっただろう?

それを、今ここで返させてもらう。」


根に持つタイプか。

めんどくさいな。


技能測定で俺より点数が高くて、調子に乗ってるんだろうな。


「悪いがお前と違って暇じゃないんだ。

じゃあな。」

そう言って去ろうとした瞬間。

何者かが扉の隙間から覗いていることに気づいた。


その瞬間――


バチィッ‼


ピアスの放った電撃が俺の頬をかすめる。


逃がすつもりはないらしい。


「俺もお人好しじゃないんだけどな。」


そう言って振り返る。

すると、ピアスの姿が消えた。


「なっ――。」


次の瞬間には目の前。

電気をまとった拳が腹へめり込む。


ドゴッ‼


息が一瞬で止まり、そのまま壁まで吹き飛ばされた。

「がはっ・・・!」


床へ倒れる暇も与えられない。


ピアスは雷をまといながら一直線に踏み込み、追撃してくる。


「遅い。」


拳。

蹴り。

肘打ち。


一撃ごとに青白い電流が走り、体中へ痛みが広がっていく。

防御すら間に合わない。


速い。


速すぎる。


「どうした?

入試で俺を抜いた実力はそんなものか?」


拳が頬を打ち抜く。

視界が揺れる。


立とうとしても、その前に次の一撃が飛んでくる。


完全に戦いの主導権を握られていた。


・・・痛え。

俺、こんなに弱かったのか。


もう・・・意識が・・・。

次の瞬間、警報音が鳴る。


ビー‼

ビー‼

ビー‼


甲高い警報音が体育館へ響く。

手首の《アークバンド》が赤く点滅し始める。


『生命反応低下を確認。

緊急防衛モードを起動。』


機械音声が流れた瞬間、俺の周囲へ半透明の結界が展開される。

さらに、全身へ強烈な電流が走った。


筋肉という筋肉が勝手に収縮し、体がひとりでに立ち上がる。


視界は真っ暗なまま。

なのに体だけが動いている。


まるで誰かに操られているようだった。


その後の記憶はない。

「・・・。」

ゆっくりと瞼を開く。


最初に視界へ飛び込んできたのは、ひび割れた体育館の床だった。

壁には無数の亀裂が走り、あちこちが黒く焦げている。


まるで嵐でも通り過ぎた後のようだった。


十数メートル先。

ピアスが片膝をつき、何度も血を吐いていた。


制服は破れ、雷をまとっていた右腕は力なく垂れ下がっている。


「・・・俺が、やったのか?」


右手を見る。

震えている。

何も覚えていない。


その時だった。

パキッ。

手首の《アークバンド》に亀裂が走る。


次の瞬間、

バチッ‼

火花を散らしながら完全に沈黙した。


それを見届けるように、

ピアスの体も前のめりに倒れ込んだ。

ドサッ――。


体育館には静寂だけが残った。


すると、体育館の扉が開く。

アイリスとシヴァだった。


「「大丈夫⁉」」

血まみれになった俺を見た2人が駆け寄ってくる。


「何があったの?」

シヴァが聞く。

「分からない。

いきなり殴られて、反撃できずに気を失ってたら・・・こうなってた。」


シヴァがホッと息をする。

「《アークバンド》だ。

君の生命が危険な状態になると、自動で防衛モードへ切り替わる。

全身に魔力と微弱な電流を流して筋肉の出力を限界まで引き上げるんだ。」


すご。

いや、違う違う。

危なくないか、それ?


「それで、もし負けていたら危ないじゃない!」

アイリスも同じことを考えていたようだ。


「いや、まぁ。

その時はその時というか・・・。

その、えーと・・・。」


リスクヘッジをしろ‼

都合よく実験台にされていたのか。


俺が問う。

「2人はなんでここに?」

「ずっと食堂に来ないから、心配になって来たのよ。」


なるほど。

だとすると、ピアスに襲われる前に覗いていた人は別の人物か。


「せっかく作った《アークバンド》が・・・。」

《アークバンド》が壊れたことに悲しむシヴァを横目にピアスのもとへ向かう。


「なぜ俺を殴った?」

「俺は命令されただけだ。

逆らったら次は俺が潰される。」


なるほど。


命令したと思われる人物に心当たりがある。


・・・カイル=アルディス。

この前、自分は戦わないみたいなこと言っていたな。


手下ってのはコイツのことだったのかもしれない。


その後、俺とアイリス、シヴァの3人で食堂へ向かい、その日は解散した。


寮に戻る。

「まだ顔の傷が痛むな・・・。」

カイルの殴られた箇所を手で触る。

一応手当はした。


机に向かう。


今日の戦いで確信した。


今の俺では足りない。


もっと強くならなければならない。

白紙の設計図を一枚開く。

そこへ、静かに名前を書き込んだ。

――――――――――

オリジンコード002

――――――――――


「――完成させてやる。」


少しでも面白いと思ったらブックマークや下の評価★★★★★をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ