第30話「【次元歩行】」
「異名は“星を断つ剣”。第一聖剣、《アストレア》。
そして、異名は“焔王の剣”第二聖剣、《イグニス》だ。
好きな方を選べ。」
ど、ど、どうしよう。
世界に3本しかないレア物をこんなに簡単に手に入れてしまっていいのだろうか・・・。
ひとまず、アイリスの様子を見ようとアイリスに目を向けると、
今までで見たことがないレベルでニッコニコだった。
まぁ、そうなるよな。
ふと、シヴァの方にも目を向けると、うらやましそうに2本の聖剣を眺めていた。
そんなシヴァを見てガルドが再び裏の倉庫に戻っていった。
ガルドが倉庫から戻ってくる前にアイリスに話しかけられた。
「私は、《イグニス》を選ぶけど大丈夫かしら?」
俺は、《アストレア》を選ぼうと思っていたところだった。
「あぁ。問題ない。」
そういって、《アストレア》を持ち上げる。
俺が柄を握った瞬間だった。
刀身に刻まれた青白い紋様が淡く輝き始める。
工房の空気が静まり返る。
その時、一切れの紙が床に落ちた。
「何だろう?」
その紙には、おそらくヴァルドが書いたであろう《アストレア》の詳細が書かれていた。
――――――――――
第一聖剣 《アストレア》
全長は約120cmの純白の両刃剣。
刀身には星空のような青白い紋様が浮かんでおり、夜になると淡く輝く。
能力
•あらゆる魔力を斬る。
•結界・魔法・魔力障壁を無効化できる。
――――――――――
・・・強すぎじゃない?
これ、本当に人間が扱っていい代物か?
続いてアイリスが聖剣を握る。
深紅の刀身から熱気が溢れる。
周囲の温度が一瞬だけ上昇した。
アイリスも紙の存在に気づいたようで、じっくりと読んでいるところだった。
すると、倉庫からガルドが戻ってきた。
ガルドはシヴァを見て言う。
「羨ましいか。」
シヴァは少し照れながら答える。
「……まあ。」
するとガルドは倉庫から持ってきた小さな箱を出す。
「お前は剣より、こっちの方が似合う。」
箱の中には、青白く輝く《神代級魔導核》。
シヴァの目が見開かれる。
「え……これ、本物?」
「前にお前が作った《魔導外骨格》、見せてもらった。
あの出来なら、お前に預けても惜しくねぇ。」
シヴァはしばらく固まったあと、深々と頭を下げる。
「……ありがとうございます。」
《神代級魔導核》?
知らないことはまだまだ多いな。
あとで、本人に聞いてみるか。
そして、《イグニス》の詳細を読み終えたアイリスが目を輝かせてこちらを見る。
「どんな剣なんだ?」
俺がそう聞くと、笑顔で詳細の書き込まれた紙を見せてきた。
――――――――――
第二聖剣 《イグニス》
深紅の刀身を持つ片手剣。
振るうだけで周囲の温度が上昇する。
能力
•使用者の上限魔力量を5倍に増幅。
•魔力をもとに一振りであたり一帯を焼き払う炎を生む。
――――――――――
こっちも強すぎだろ・・・。
特に、上限魔力量の増幅がアイリスにとってはかなり嬉しいところだな。
俺たちは、ガルドにお礼を伝え、工房を後にした。
すると、すぐにシヴァがいろいろ聞いてくる。
ヴァルドってどんな人なの?とか黒環結社って何なの?とか。
ここまで話が聞かれてしまったなら今までの出来事全てを話しても構わないだろう。
アイリスと少し相談して、そう結論付けた。
俺たち3人はシヴァの部屋に入った。
相変わらずと工具やら魔法陣の書かれた紙やらが散らかっている。
アイリスが思わず呟く。
「うわぁ。」
それはかなり失礼では?
シヴァはその反応に慣れているかのように笑って流していた。
きっと前世もこんな部屋だったんだろうな・・・。
俺とアイリスは、湯気の立つマグカップを受け取り、たった今無理やり片づけられた机を囲むようにして座る。
全てを話した。
ヴァルドとどんなふうに出会ったのか、アイリスのスキルについてや俺のスキルについて。
この前使った上級魔法のことから入試のベヒモスやノクスのことまで。
「この世界にもいろいろあるんだね。」
思わず頷いてしまった。
すると、アイリスが不思議そうに聞く。
「この世界・・・にも?」
・・・しまった。
完全に口が滑った。
俺と同じように焦ったシヴァは、話をすり替え、自信のスキルについて語りだした。
「僕のスキルは、【次元歩行】。
自分の座標を少しずらすことで、短い距離でのワープができるんだ。」
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