第27話「転生者の天敵。」
「え、これ満点・・・だよな?」
教師が告げる。
「アレン=ベオウルフ、お前は0点だ。」
ハァァァァァァ⁉
意味が分からん。
「な、なんで0点なんですかっ?」
教師は落ち着いた態度で言う。
「まず、我々の警告を無視した。そして、この測定において上級魔法の使用は認められていないからだ。」
「最初の説明にそのような項目はなかったと思いますが?」
「当たり前だ。1年生で上級魔法を使えるような生徒がいるとは思えなかったからな。
説明するまでもない。」
「でも、それはそちらが我々の実力を見誤ったからに過ぎないですよね⁉」
すると、アイリスが俺の腕を握る。
「アレン、これ以上悪目立ちするのはやめて。」
そう言われてハッとした。
再び周囲を見渡すと周りにはたくさんの生徒と他の教師たちがいることに気づいた。
「す、すいませんでした。」
その日、保健室で腕の手当てをしてもらった後のことはもう覚えていない。
ただただ悔しくて、権力に屈することしかできない自分が嫌で仕方がなかった。
次の日、憂鬱なまま、朝の支度をして、扉を開けると目の前には見慣れた人物がいた。
ルカだった。
「久しぶりだね。」
ルカに言われて、久しぶりだと気付いた。
ここ最近でいろいろあったから仕方がない。
「あぁ、久しぶり。」
俺たちは共に登校することになった。
「昨日、びっくりしたよ。
アレン、上級魔法も使えるんだね。」
「ま、まぁな。」
「あの後、学年中で噂になっていたよ。
たかが、技能測定に身を滅ぼしてまで上級魔法を使ったやつがいるって。」
最悪だ・・・。
今まで周りが天才ばかりだったから、普通の基準が分からなかった。
1年生のフロアに上がったとき、ルカとは別れた。
今日はアイリスと約束をしていなかったため、教室に着いたときには既に生徒が半分以上いた。
うわぁ。
絶対今入ったら、視線が集まるよな・・・。
そのまま、しゃがんで廊下の壁に持たれかかる。
全員がグラウンドに向かってから入るか?
いや、遅刻になるのは避けたい。
そんなことを考えていると、今度は見慣れない人物が話しかけてきた。
「ねえねえ。
君、昨日上級魔法を使ってたコでしょ?
えーっと、アレン君?だっけ。」
うわ、名前まで広がってんのかよ。
「・・・誰?」
「私の名前は、セレナ=ノクティス。
Aクラスだよ。」
小柄な少女だった。
身長は俺の肩ほどしかない。
肩まで伸びた淡いプラチナブロンド色の髪が歩くたびに揺れ、紫色の瞳がこちらをじっと見つめている。
整った顔立ちだけを見れば、おとなしく上品なお嬢様にも見える。
――ただ、その口元に浮かぶ笑みだけは別だ。
あれは間違いなく、人をからかう時の笑顔だった。
「で、何の用だ?」
「なーんにもないよ!
仲良くなりたいなーって思っただけ。」
面倒くさいタイプだ。
「そうか。・・・じゃ。」
そう言って、教室に入ろうとすると、思い出した。
今入ったらマズイってことを。
教室に入る直前立ち止まって考える。
その様子をみたセレナが不敵な笑みを浮かべて俺の背後に立ちまわる。
そして、
――ドンッ。
背中を押された俺は教室に足を踏み入れてしまった。
Bクラスの生徒からの視線がすごい。
後ろを振り返ると、ニヤニヤしながら立ち去るセレナがいた。
震える拳を抑えながら、自分の席に向かう。
相変わらず席についてからも、視線が集まっていることに変わりはない。
何とか朝のホームルームを終え、“身体能力”の測定のため、クラスメイトがグラウンドに向かうまでの時間を耐え抜いた。
ほとんどの生徒が教室を出てから遅れて俺も向かう。
すると、背後から背中をつつかれた。
また、セレナか?
振り返ると、全くの別人が立っていた。
陽の光を受けて淡く輝くシャンパンゴールドの髪だった。
前髪は無造作に流されているが、不思議と乱れた印象はない。琥珀色の瞳は自信に満ち、誰を前にしても物怖じしない強い意志を感じさせる。
肌は白く、整った顔立ちは年齢を感じさせないほど端正だ。
細身の体つきながら姿勢は真っ直ぐで、制服も一切着崩していない。
その立ち姿だけで育ちの良さが伝わってくる。
だが、口元に浮かぶ薄い笑みだけは違った。
相手を見下すことに慣れた人間だけが浮かべられる、どこか余裕に満ちた笑みだった。
そして、いきなり話しかけてきたと思ったら、思いもよらない言葉が出てきた。
「へぇ。
実戦だけ高得点の落ちこぼれって君か。」
・・・来た。
転生者の天敵。
テンプレいじめっ子キャラである。
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