第24話「もう1人の転生者」
「君、転生者でしょ?」
そう言って笑った黒髪の少年。
心臓が一瞬止まったような気がした。
――バレた?
いや、落ち着け。
この世界に「転生」という概念はない。下手に認めるほうが危険だ。
「俺は、アレン=ベオウルフ。」
平静を装って名乗る。
「それで……"転生者"って何のことだ?」
少年は小さく肩をすくめた。
「それ、無理があるよ。」
「この世界じゃ珍しい黒髪。それに、さっきから言葉の選び方も反応も、この世界の人とは少し違う。」
鋭い。
黒髪だけじゃないのか。
「自己紹介がまだだったね。」
少年は穏やかに微笑んだ。
「僕はシヴァ=リグレット。」
――ああ。
数学と理科で満点を取ったあのシヴァか。
納得だ。
「安心して。誰かに言うつもりはないよ。」
その一言で、肩の力が少しだけ抜けた。
「……君も、転生者なのか?」
「うん。」
あっさりとうなずく。
「君が初めてだよ。同じ転生者に会ったのは。」
やっぱりか。
「じゃあ、他にもいるかは分からないんだな。」
「少なくとも、僕は会ったことがない。」
俺は少し考えてから尋ねる。
「前世では何をしてた?」
「大学で工学を研究していた。」
工学。
だからあんな点数を取れたのか。
「魔法陣を見ると、つい仕組みを考えちゃうんだ。」
……なるほど。
この世界の人間というより、研究者って感じだ。
「アレン君は?」
来た。
どう答える?
学生?
ニート?
勉強漬け?
どれが一番無難だ?
数秒考え、口を開く。
「高校一年生だった。」
もちろん嘘だ。
「入学して間もない頃に事故に遭ってね。」
シヴァはそれ以上深く聞いてこなかった。
……助かった。
その時、教室の扉が開く。
「席につけ。」
担任らしき教師が教室に入る。
一斉に教室が静まり返った。
「これよりホームルームを始める。」
教師は教卓に立ち、教室を見渡す。
「突然だが、君たちには技能測定を行ってもらう。」
教室がざわつく。
「ちなみに、成績優秀者は全員Sランクまで上がることができる。全力を尽くすように。」
こうして、王立セレスティア魔導学園での生活が始まった。
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