第22話「合格発表」
「【空気操作】を持つ、見えぬ死を司る者だ。」
【空気操作】、か。
絶対に強いんですが?
どうやって勝てばいいんですか?
だって、空気を操って呼吸できなくしたら・・・死ぬじゃん。
無理ゲーじゃね?
「お前、「死ぬじゃん」って顔に書いてあるぞ。」
恥ずか死。
「まあ、落ち着け。今は殺さねえよ。」
いつか殺されるのか。
というより、なぜこいつらは俺やアイリスを狙ってくるんだ?
考えても答えの出るはずのない疑問が俺の中で出た時、ノクスがかすかに呟いた。
「本当はベヒモスの封印を解いて、お前たちごと消すつもりだったんだけどな・・・。」
「それってどういう――」
俺が言い終わる前に、ノクスは帰っていった。
間違いなく強敵だろう。
策を練らなければ。
すると、騒ぎが収まったことに気づいた教職員が戻り始めていた。
「この血は一体・・・あれはベヒモス⁉」
この場にいたことがバレると面倒くさそうだ。
逃げるとするか――。
「君たちがやったのかい?」
・・・間に合わなかった。
どう誤魔化すべきか。
アイリスがはっきりと言う。
「はい。」
あー終わった。
グッバイ、俺の平穏な学校生活。
初日から目を付けられるのが容易に想像できる。
そうだ。
まだ、合格してないんだった。
学校の教職員は信じられないだろうが、それを裏付ける根拠がどこにもない。
信じるしかないのだ。
「わかった。このことは上に報告しておきます。」
ちょっとだけ加点とかないかな?
・・・ないか。
こうして俺は波乱の入学試験を終えたのだった。
――7日後。
ヴァルドに黒環結社とノクスのことを話した。
「そうか。ノクスが・・・。」
「やっぱり知っているのね。」
アイリスがすかさず反応する。
「その話は、今はいい。」ヴァルドが話をすり替えた。
俺にはわかる。
この半年間、何か誤魔化したことについて言及してもヴァルドが話したことは一度もない。
だから、問い詰めても無駄だということだ。
「合格発表のほうが大事だろ?」
その通りだった。
王立セレスティア魔導学園の入試結果は、受験者の各家庭に封筒が直接送られる。
――ビリッ
アイリスが先に開けた。
――――――――――
名前:アイリス=フレイヤ
得点
基礎運動能力:82/100
魔法:78/100
数学:112/150
理科:106/150
実戦:90/100
合計:468/600
平均点:348.4/600
合格者最低点:414/600
アイリス=フレイヤ殿
このたび実施された王立セレスティア魔導学園入学試験において、厳正なる審査を行った結果、あなたを本学園の生徒として合格と認めます。
――――――――――
「合・・・格⁉」
なんでアイリスが一番驚いているんだ。
ヴァルドも一安心といったところか。
だが、問題は俺だ。
アイリスの合格でさらなる期待が俺に寄せられる。
言うまでもなく、基礎運動能力試験と魔法試験は0点だ。
恐る恐る封筒を破る。
――――――――――
名前:アレン=ベオウルフ
得点
基礎運動能力:0/100
魔法:0/100
数学:148/150
理科:143/150
実戦:98/100
(加点:25)
合計:414/600
平均点:348.4/600
合格者最低点:414/600
(加点内容は機密)
アレン=ベオウルフ殿
このたび実施された王立セレスティア魔導学園入学試験において、厳正なる審査を行った結果、あなたを本学園の生徒として合格と認めます。
――――――――――
「あ、受かった。」
「「え?」」
ん?
・・・受かった?
受かった・・・受かった
受かっ・・・た⁉
嘘だろ。
初日を欠席だぞ⁉
加点がついていて、合格者最低点⁉
神様ぁぁぁ!
……ありがとう!
初めて感謝したかもしれない。
よく見ると下まで載っているな。
――――――――――
合格者最高点
得点:基礎運動能力:98/100(シリウス=レイン)
魔法:94/100(シリウス=レイン)
数学:150/150(シヴァ=リグレット)
理科:150/150(シヴァ=リグレット)
実戦:98/100(アレン=ベオウルフ)
合計:579/600(シリウス=レイン)
――――――――――
「すごいわ、アレン‼実戦試験の最高得点よ‼」
・・・ピアスに感謝だな。
首席――シリウス=レインか。
この時の俺はまだ知らなかった。
王立セレスティア魔導学園首席、シリウス=レインという"天才"の壁が、どれほど高いのかを。
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