第19話「自信の伝染」
実戦試験は学校のグラウンドが分割されてできるいくつかのフィールドの上で行われる。
対戦相手のピアスが現れた。
「本当にピアスしてるのか・・・。」
5歳でピアスはマズイだろ。
知らんけど。
俺たち二人が構え始めったとき、見学している受験生たちの中にアイリスがいるのが見えた。
絶対に合格してみせる。
試験監督が開始の合図を告げた。
その瞬間、ピアスは両手の指を銃の形に構える。
バチッ――。
指先から放たれた雷撃が一直線に駆け抜ける。
「なるほど。魔法系、それも雷を操るのか。」
俺は一歩踏み込む。
「《脚力強化》」
地面を蹴った瞬間、景色が流れる。
一瞬で懐へ入り込み――
「《閃連》」
一撃。
二撃。
三撃。
拳は嵐となり、止まることなく叩き込まれる。
10、20、50――。
100を超えた頃には、ピアスの身体は防御すら許されず、連撃の渦に飲み込まれていた。
「そこまで!」
試験監督の声が闘技場に響く。
俺は拳を下ろし、小さく息を吐いた。
「・・・思ったより、あっけなかったな。」
そう思ったのも束の間、地面が大きく揺れ始めた。
「なんだ?」
困惑している受験生が多く、中には既に悲鳴をあげている人もいた。
分かる。
これは地震じゃない。
次の瞬間、地面が割れ、揺れの正体が明らかになった。
地中から這い上がって出てきたのは、巨大な四足獣だった。
ピアスが震えながら言う。
「な、なんでコイツがここに・・・?」
出てきたのは危険度――S。
「暴喰王ベヒモス」だった。
学校の教職員たちは、受験生に避難誘導を出しつつ、援護を要請している。
次々と人が減っていく。ただ、その中で全く動くつもりがないようにも思われる人がいた。
アイリスだ。
「やるのか?」
「当たり前よ。笑わせないで。」
一昨日のことが嘘だったかのような自信を持っている。
「あの魔法の練習台にちょうどいいわね。」
正気か?コイツ。
でも、そんなアイリスを見ていると俺まで自信が湧いてきた。
そして、俺たちはベヒモスの方向へ走っていった。
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