表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
16/57

第15話「努力の成果」

・・・今なら勝てる。

「模擬戦は明日だ。今日は早めに終わりにしようか。」

俺はあえて煽るように笑った。

「怯えて逃げるなよ?」

アイリスは鼻で小さく笑う。

「負け犬ほどよく吠えるものね。あなたの言葉なんて、遠吠えと変わらないわ。」


策が間違いなく必要だ。

俺は市場に出て買い物をしてから帰った。


次の日、アイリスと俺は向かい合うようにして構えていた。

ヴァルドが禁止事項を述べる。

「基本は何をしてもいいが、《万象崩壊(ディスインテグレート)》だけは絶対に使うな。

あとは、殺さなければなんでもいい。」

武器は前回と同じく木刀が1本ずつだ。

既に1月上旬。

二人の間に吹く風は冷たく、風の音がうるさく感じるほど静かだった。

「始め。」


前回とは違う。

今度は俺から先手を仕掛けた。

一気に間合いを詰め、木刀を振り抜く。

だが、アイリスは逃げない。

カウンター狙いか?

そう思った次の瞬間だった。

アイリスは木刀を素手で受け止めた。

鈍い衝撃が響き、その腕がわずかに震える。それでも表情一つ変えず、俺の木刀を握り締めると、そのまま上空へ放り投げた。

しまった。

木刀が落ちてくる前に、確実に追撃が来る。

そう判断して身構えるが、アイリスは動かない。

……何をする気だ?

アイリスは静かに空を見上げた。

つられるように俺も視線を向ける。

そこには、落ちるはずの木刀が空中でぴたりと静止していた。

次の瞬間、その先端がこちらを向く。

マズイ。

木刀が矢のような速度で急降下してくる。

咄嗟に身をひねる。

木刀は頬をかすめ、そのまま地面へ突き刺さった。

間一髪だった。

以前の俺なら、間違いなく避けられていない。

安堵する暇もなかった。

アイリスは自分の木刀もこちらに投げてきた。

「嘘だろ……」

二つの物体を同時に操れるようになっていたのか。

左右に一本ずつ木刀が浮かび、俺を挟み込むように待機する。

そして、二本が同時に襲いかかってきた。

俺は両腕を交差させるように構える。

「《氷華》」

それぞれの手の前に巨大な氷の結晶が咲き誇り、盾となって立ちはだかる。

キィィンッ!!

甲高い衝突音が響き渡る。

どうにか防ぎ切れた。

だが、氷の盾には大きな亀裂が走っている。

次が来れば持たない。

時間の問題か……。

俺は急いで後ろへ飛び退き、懐に手を伸ばした。

取り出したのは、昨日なけなしの金で買った魔力シューター。

「そんなのありなの!?」

アイリスが初めて動揺を見せる。

「最初の説明で、使うなとは言われてないだろ?」

魔力シューターに自分の魔力を流し込む。

出力を限界まで引き上げると、全身に魔力回路が青白く浮かび上がった。

「これなら……!」

バシュンッ!!

圧縮された魔力が一直線にアイリスへと放たれる。

しかし、アイリスは落ち着いたまま地面に手をついた。

「《岩壁》」

轟音とともに地面が隆起し、分厚い岩壁が立ち上がる中級魔法だ。

俺の魔力弾は岩壁に激突し、派手に砕け散った。

防がれた……!

すぐさま二発目を装填する。

だが、その途中で木刀が再び飛来した。

くそっ!

十分に魔力は溜まっていない。

それでも撃つしかない!

放たれた魔力弾と木刀が正面から激突し、互いを弾き飛ばす。

その一瞬だった。

木刀へ意識を向けた俺の視界に、アイリスの姿が飛び込んでくる。

いつの間に……!

木刀を追うように駆け込み、その陰に隠れるように距離を詰めていたのだ。

気づいた時には、もう目の前だった。

アイリスが拳を握り締める。

「《砕拳》」

初級魔法で強化された拳が、俺の顔面を容赦なく打ち抜いた。

衝撃が脳を揺らし、景色が反転する。

避けられなかった。

また、負けたのか……。

意識がゆっくりと闇に沈んでいった。

少しでも面白いと思ったらブックマークや下の評価★★★★★をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ