第12話「十三賢者」
村に帰ってくるなり、ルカが出迎えてくれた。
「アレン、その・・・両腕の怪我はどうしたの?」
心配したようにルカが駆け寄ってくる。
「実は、王立セレスティア魔導学園の合格を目指して、訓練していたんだ。」
ルカが驚きつつも、予想もしないようなことを口にする。
「僕も、目指しているんだ。」
驚いたのは俺だけではないはずだ。きっと、アイリスも驚いているはず。
「さすがに一人で訓練しているわけじゃないよな?」
王立セレスティア魔導学園は、独学だけで入れるほど簡単な学校ではない。
「もちろん、稽古をつけてくれる人を見つけて訓練しているよ。」
そうか。半年後、ライバルとして戦うのかもしれないのか・・・。
その日、帰ると腕の怪我を両親に心配されたが、何とか誤魔化せた。
と、片づけてしまうのが転生ものでは普通だが、現実はそうはいかない。
明日、ヴァルドに合わせろと父に言われてしまった。
非常に面倒くさい。
だが、疲れが半端じゃないのでその日は狂ったように寝た。
次の日、ヴァルドの家に父を連れていった。
なぜかヴァルドは特別驚くようなそぶりは見せなかった。
質素な家だ。余計な装飾は一切ない。食卓も椅子も棚も、ごく普通のものに見える。だが、そのすべてが職人の手による逸品だった。見栄のためではなく、長く使うために作られた家具。決して豪華ではない。それでも、この家には「本物」だけが置かれていた。
開口一番、父がとんでもないことを言う。
「あなたには息子の指導を任せられるとは到底思えない。」
帰ってきた俺の姿だけを見たらそう言いたいのも納得できる。
ヴァルドが落ち着いた口調で返答する。
「確かにこの両腕の怪我をさせてしまったのは、私の責任です。
お父様は、彼がセレスティア魔導学園を目指していることはご存じですか?」
父が頷く。
「あの学校は、普通の子が合格できるような学校ではありません。
ましてや、今まで何もしてこなかった子が半年で合格するのは不可能です。」
えぇ・・・。はっきり言い切るじゃん。
「ただ」(確定演出)
「私になら彼を合格させることができます。」
父が反論する。
「自分は強い、と自信を持って言えるんだな。
具体的にどれくらい強いか教えてもらおうじゃないか。」
あ・・・。ここまで上から目線で話してきたのに・・・。
後から恥ずかしくなっちゃうやつじゃん。
「分かりやすく言うなら、元『十三賢者』ってことです。」
父が凍りついた。
『十三賢者』――それは、この世界全体の賢者のうち最も活躍した賢者13人を隣国、グランディア共和国の元首:ロイド=ハーヴェストが5年に一度決める。そして決められた13人が『十三賢者』となるわけだ。
ちなみに、この世界での賢者はスキルを複数個持つ稀な人間の事を指す。
そして、賢者同士が『十三賢者』を目指して競うため、競い合いのレベルが非常に高い。
別に『十三賢者』になったからと言って得られるものは金と名誉だけだが、これによってこの前、二人分の学費ぐらいは払えると言っていた理由が判明した。
あの後、父は「今後とも息子をよろしくお願いします。」とだけ残してそそくさと帰っていった。
ヴァルドと二人でアイリスの家の庭に向かうと、アイリスは既に訓練を始めていた。
やがて、俺たちの存在に気づくと走って近寄ってきて、ヴァルドに告げる。
「あなたは何者なの。あらゆる本を図書館で読み漁ったけど、この前使っていた「円環術式」だけは見つからなかった。」
少しでも面白いと思ったらブックマークや下の評価★★★★★をお願いします!




