この感情の名は
更新が遅くなってすみません。
大ファンのつば○郎(の担当者さん)が突然旅立ってしまって、悲しみに暮れていました。
今も気持ちの整理が追い付きません。。
まただ。
いちゃいちゃする二人を見ると、心がドロドロと濁る。
僕以外の唇にミアの指が触れた時と、僕以外の手の甲にミアがキスした時は、もっと胸が痛く苦しかった。
何か重い病だと心配していたのだけど、侍医からは病気ではないと言われ、未だ腑に落ちていない。
この機に解明するか。
僕は、この感情の名を探るため、精神に潜ることにした。
♢
っあはは!あはあはは!今日は記念日だ!
僕は、初恋をしていた!
このドロドロは、恋からくる『嫉妬』や『羨望』だったんだ!
恋とはなんて素晴らしいんだろう!
当分ないものだと、もしかしたら生涯ないかもしれないと踏んでいた恋を実感して、ギルバードは歓喜に満ちていた。
初恋相手は3才。僕は9才だから、6才差か!
なに、10年もすれば大差ないさ!
ギルバードは知らない。
ミアが転生者で中身は18歳であることを。
年齢はまったく問題ないね。身分はーー
トランティス王国には、『長男は、侯爵家または公爵家の娘を嫁に、二男以降の王子は、位の高い貴族または隣国に婿入りする』というしきたりがある。
これは、王族に生まれた者の義務であり、役目であり、逃れられない使命だった。
ギルバードは、母が平民出だが、れっきとした王子。
よって、ギルバードもいずれ家庭を持ち、この血を後世に残さねばならなかった。
ミアの身分は、孤児。
貴族でもなんでもなければ、最下層である。
父上ありがとう!母上と出会ってくれてありがとう!
ギルバードは自分勝手な父に、生まれて初めて礼を言った。
なぜなら、彼らが関係しているものだったからだ。
それは、10年程前に遡る。
王妃が流行病で亡くなり、後妻を探していたところ、国王が庶民の踊り子に一目惚れをしたことから始まる。
国王は、どうしても彼女を娶りたく、『偉業を成せば身分関係なく夫婦になれる』という法を造った。
そして自ら危険な森に入り、最強生物を見事持ち帰ったのだ。
偉業などなんとかなる。
ドラゴンであることの指定はないんだから。
僕も愛する人と一緒になりたいと、切に願っていたんだよね。
ギルバードのひとり妄想は止まらない。
奇遇にも、僕はまだ婚約者はいない。
初恋相手も孤児だから、婚約者などいないはず。
これは運命だ!よし、性急に秘密裏に進めよう!
初恋相手は神童だ。
自他ともに神童と認識していた僕が認める。
最近偶然知ったのだが、ミアは畑を作って、収穫物を売り、順調に収入を得ているらしい。
3才で、これだ。
恐らくすでに魔法レベルも高いだろう。
そこらの貴族令嬢は、より良い縁を結ぶため、日々新しいドレスや、流行りのアクセサリーに身を包み、お茶会で社交の術を勉強すると聞く。
ただの金食い虫の間違いだろう?と、アルトは全否定するが、僕も正直、金食い虫は嫌いだ。
だって、そのお金は、国民が必死に働いて納めてくれたものだから。
それに、初恋相手にはキレイな世界しか見せたくない。
塵貴族から標的にされないよう守らなくては。
変な虫がつかないうちに、早く囲ってあげなくては。
可愛い初恋相手のためだ。
孤児院のある北二番街を僕の領地としよう。
父上に話をつければ、簡単さ。
僕はこの王都から去ることができて、初恋相手は生家を守れる。
……僕にも初恋相手にもメリットしかないじゃないか!素晴らしいね!
おっと、忘れていた。
僕も愛されたいから、惚れさせなくちゃ。
ギルバードは口端を上げ、溢れ沸く感情を胸に、初恋相手の後頭部を穴が開くほど見つめ続けたのだった。
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