しもべが金髪だった
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「ミア、ここまでどうやって来たの?外にも護衛が居たはずなんだけど」
おかしいなぁ、と首を傾げる肉泥棒。
おかしいのはこっちだ。
なんでわたしの名前を知ってるの。
王子なんて今が初対面だし、そもそも金髪碧眼の美少年自体が初見だ。
自分でも言うのもなんだけど、わたしは強い。
捕まっても逃げきれる自信もある。だけど、肉泥棒には絶対に力を見せたくない。
なにせ相手は王族。人質を取ったり、権力を傘にわたしを実験体にするに違いないもの。
「あれ?忘れちゃった?ほら、街で一緒に美味しい串肉食べたじゃないかい」
は?何がどうなって、胡散臭い王子とお肉を食べたんだよ!馴れ馴れしいったらありゃしない!キモ!
はっはーん!さてはこのプリチーなわたしを口説き落とそうって魂胆?騙されないんだから!
じりじりと近づいてくる肉泥棒から距離を取ろうと、さらに一歩後退したところで、踵が壁にぶつかった。
やば!わたし、ピンチじゃん!
「…こ…こ…こわぁぃ…の」
瞳を潤ませ、いやいやと首を振る。
怖がるふりをして、相棒たちを探すが、目視できる範囲には誰もいない。
気配探知を広げてみても、反応もない。
あいつら、どこ行った。
でも、今は一抹の不安など邪魔。
まずは、この状況をどうにかせねば。
「今、魔法使った?…まぁいいや。なんでお話してくれないのかな?普通に話せるくらい賢いんだろう?」
肉泥棒の影が頭上に落ちてくる。
なんで知ってるの。どこからバレた?
自問自答しても答えは出ない。
今は一刻を争う。仕方ない。秘技を使う!
「こわぁい…っ…」
わたしは、なるべく声を震わせ、スカートの裾をぎゅっと握る。
そして顔を上げ、さっきから瞬きを止めていた目玉を肉泥棒に向けた。
秘技!雫落とし!
ほ〜ら、雫が頬をつたいますよ〜。
幼児の身体はなんと便利なんでしょう〜。
ミアのコレは、秘技ではない。もちろん魔法でもない。目の渇きによる涙だ。
「ーーッギル様!!!」
声がしたと同時にバンッと勢いよく扉が吹っ飛んだ。
二人で扉の方へ目をやると、柔らかな風がわたしの体に纏いつき、ふわりと体が浮く。
風魔法だ。それもかなり高度で繊細。
脳筋じゃない…だぁれ?
不思議に思うも、わたしはそのまま身を任せ、されるがまま抱きしめられる。
「ケガはない?」
ぎこちなさの残る、腕の主に顔を覗きこまれるが、だれ。金髪の青年に知り合いなどいない。
「……。ないの。」
誰かわからないが、とりあえず返事をしておく。
でも、その時折揺らぐ眼には、どこか見覚えがある。どこだっけ。
じっと見つめていると、青年の頬がだんだんと赤に染まる。
誰かと似てる。誰だっけ。
「……あ!」
思わず声が漏れた。
間違いない。
我が僕だ。
第三王子と護衛のアルトは、髪色と瞳色を変えて、市井に行き、そこでミア(たち)と知り合いました。
詳しくは、過去のエピソード読み返してみてください。
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