さあ!お仕置きに行くよ!
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リアカーに乗ることおよそ三十分。
正門から続く壁をつたって、ようやく壁の向こうに、離宮と思われる真っ白い建物が見えてきた。
タマネギのような丸い屋根に、高い尖塔が囲うかのように設置された宮は、タージマハルを彷彿とさせる。
ほぇ〜。これが離宮?大っきいねぇ。
いったい何部屋あるんだろう。お掃除が大変そう。
前世は庶民、今世は孤児のミアにとって、気になるところは実用面だけである。
ーで、第三王子をどうやって見つけるんだ?
ーはいは〜い!ここからは、美少女妖精ビーちゃんにお任せあれ〜!
あっ!と思ったのも束の間、ビーちゃんが元気に挙手をする。
聞けば、院長の仕事先について行ったところに、たまたま視察に来ていた第三王子を見かけたらしい。
一度覚えたオーラを辿るのは、朝メシ前なの!と、ビーちゃんが自信満々に胸を張る。
ただ、辿るには範囲が限られているらしい。
凄い!さすが!世界一の美少女妖精!と褒め、その頭をなでてあげた。
さて、お次は、どうやって行くかだなぁ。
壁は10メートルはありそうな高さ。
うーーーん。さすがに登れないなぁ。
腕組みして唸っていると、しっぽがヌッと目の前に現れた。
ー俺様が大きくなってお前を乗せて飛ぶ。そこの妖精、姿を見えにくくする魔法をかけろ。
ーそれが人に頼む態度?お願いします、美少女妖精さまって言ったら考えてあげてもいいよ!
ーお前は人じゃないだろうが。
ーむきー!むかつくーー!
また喧嘩が始まった。
もう、良い加減おしまいにして。お肉がかかってるんだから。
二人とも今回の作戦の要なんだよー。おーい。
仲裁に入ろうとしたところで、リアカーが止まった。
どうやら裏門前に着いたらしい。
「お前たちいつの間に!?止まれ!ここから先は通さん!愚民共、散れ!」
言うが早いか、騎士服を着た四人組から、長剣を向けられた。
……ねぇ、愚民ってわたしたちのこと?
愚民って「おろかで無知な民」って意味だけど、わかって言ってる?
ー俺様に剣を向けるとはいい度胸だ。おまえらの四肢を千切って、胴は串刺しにしてやる
ービーちゃん達が愚民に見えるのなら目が腐ってるねぇ〜。でも安心していいよ〜。ビーちゃんがその不要な目を取ってあげる〜
我が頼れる相棒達が、なんとも怖いことを言うが、いささか賛成だ。
「……。元聖女のエリザ一向に向かっての言動で間違いないかしら…?」
「っえ?!も、も、元聖女様でございましたか!?申し訳ございません!只今、来訪の確認を致します!」
途端に青白い顔になった一人の騎士が、急ぎ足で連絡用の門へと走っていく。
(さぁ、今のうちよ)
眉間に大渓谷が浮かんでいる院長から背中を押され、わたしはビーちゃんに急ぎ魔法をかけてもらい、その後ろ姿を追った。
ミア、クロ、ビーちゃん以外は、門前で待機です。
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