俺は愛されている〜ジンSIDE〜
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「依頼主を置いてきぼりにしたの?!信じられない!」
「ミアの姿が見えたから、つい…」
「ついじゃない!言い訳しないの!」
「ごめんベル…」
「謝る相手が違うでしょ!」
俺は今、叱られている。
だが、実はこの時間が堪らなく好きだったりする。
ベルに叱られると、愛されていることを実感するんだ。
考えてみてくれ。
ベルの真剣な双眸に映るのは誰か。
ベルの感情を揺さぶっているのは誰か。
ベルのこの時間を独り占めしているのは誰か。
そう、すべて俺だ。
俺は、にやける口元を隠し天を仰ぐ。
あぁ、幸せだ。
生きててよかった。
ジンはこの愛が欲しくて、叱られたいがあまりバカしたことが多々あった。
例えるならば、男子小学生が好きな女子に構って欲しくていじめる感覚に近い。
だが、違うことがひとつある。
それは「ジンはベルに叱られると嬉しくて震える」のだ。それも小刻みにふるふると。
「ジン?もしかして泣いてるの?」
俺の服の裾を引っ張るベルを一瞥すると、八の字眉でほんのり瞳が潤んでいる。
それはまるで、強く言い過ぎちゃったかな、と言っているようだった。
なにこれ。なにこれなにこれ。誘ってんの?誘われてんの?
「抱き締めていい?」
「なんで今そんな話しになるのよ!」
「ベルは怒った顔も可愛いなぁ」
「────ジンのバカ!!」
そっぽを向かれたが、ベルの耳が赤いのが見てわかる。
すげーなギルマス!
あの長〜いギルマスの惚気…じゃない恋愛指南聞いておいてよかったー!
そうだ!お礼に結婚式に呼ぼう!カンナさん達も一緒に!そうしようそうしよう!
うんうんと頷き、俺は幸せを噛み締めたのだった。
♢
俺は魔法でそよ風を放ち、声を拾って、ギル様達を見つけた。
可愛い幼女を抱いてるおかげか、可愛い恋人を連れているおかげか、ギル様に怒っている様子はない。
ただ、アルト様が歯をギリギリして、じっとりと見られてる気がする。
うん、気のせいではないな…。
ジンが怯えているなどつゆ知らず、社交的なベルはギルに同行する許可をもらい、アルトに挨拶を交わす。
そのときだった。
「ジンにいと、ベルねえは、すきなひとが、いるの!」
ミアがとんでもない爆弾を投下した。
俺はあまりの衝撃に全身が脱力し、抱っこしていたミアがゆっくりと滑り落ちる。
今なんて?ベルに好きな人がいるって言った?俺は、俺は、、フラれ、たのか?
俺の人生から、ベルが、いなく、なる、のか…?
ムリ。普通に、ムリ…。
そうだ。いっそどこかに閉じ込めて鎖をつけよう。
逃げるようなら足の腱を切り、文句を言うものならその口をふさごう。
俺を見ないならその眼をほじくりだして、俺を抱きしめないなら両の腕も切り落と…
いや、だめだ。
どんな形でも手に入ればいいわけじゃないんだ…。俺は、ベルに幸せでいて欲しい。笑っていて欲しい。
幸せにしたいんだ。
誰かじゃなくて、俺が。
そいつのことは好きでいていい。
だけど、俺の側にいてくれ。俺を選んでくれ。
ジンは己の願望が入り乱れる嵐の中を彷徨うのだった。
ジンサイドは次で終わりです!お楽しみに!
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