シュッ!キリッ!スッ!〜ジンSIDE〜
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『口は禍の門』
ここ数ヶ月、毎日院長から口酸っぱく言われて、覚えた言葉だ。
ちなみに訳は覚えていない。
何度かは聞いたよ?でもやっぱり覚えられなくて。
長い溜め息をつく院長に要約をしてもらって、約束をした。
それは、ミアの異質さと俺らのレベルを他所で絶対に話さない、だ。
ミアが来てから院は随分と裕福になった。
食事も家も、以前と比べ物にならない。
あと、魔法レベルもうんと上がった。
だから俺は、ミアは神様の使いだと思っている。
まず、見た目が可愛い。言動もとにかく可愛い。
つまり、すべてが可愛い。
それでいて、3才とは思えない博識。
きっと魔法レベルは、俺の想像を超える。
悪い貴族に目をつけられた日には、ミアが奪い取られることは明確だ。
だから俺は絶対に話さない。
たとえ拷問されても。
♢
俺は、商店街までの道のりを当たり障りのない話をして、なんとか時間をかせぐ。
話すことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。
だけど、あの誓いを破るようなヒントを口にしてはならない。
相手は貴族。油断は禁物だ。
ギル様は、時折りふんふんと頷くが、心ここにあらず、上の空の様子。
9才と言うが、造られた笑顔がなんだか可哀想に感じる。
俺が思うよりずっと厳しい教育があるのだろう。
今日は楽しんで欲しいと言いたいところだが、何分怒りの沸点がわからない。
さっきより激しいオーラ出されたら、次は違うものをチビる自信がある。それだけは避けたい。
その横で護衛だというアルト様は、三白眼から漂う色気?みたいな何かが出ていて、目が合うだけでヤバい。
俺でこの感覚だ。相手が女なら一目で堕ちるだろう。
聞けば、俺と同じ風属性だと言う。
ただ違うのは、魔法の使い方。
剣技が得意なんだって!剣に魔法を纏わせるとか、カッコいい!
ダメもとでお願いしたら、構えだけだって見せてくれた。
剣だけじゃなく、周りの空気まで魔法が纏わりついているのが分かった。
音で例えれば、シュッとしてキリッとしてスッ!
シュッ!キリッ!スッ!だ!
カッコいいー!アニキ!漢の中の漢!男前!
って思わず叫んだ。
もちろん心の中で。
うん?あれ、なんだっけ?
ちらりと見えた柄に、どこかで見た紋章。
…どこで見たっけ?
帰ったらテオに聞こう。
柄に彫られた紋章は言わずもがな、王族の印。
第三王子の護衛にと、特別に王から賜わった剣だった。
大事なこと以外、無関心なジンは、それが何なのか思い出せなかった。
ここに院長かベル、またはテオが居合わせたら気づいただろう。
ジンの性格を知らなかったとはいえ、ギルとアルトにとって、まぎれもなく僥倖だった。
ジンSIDEまだ続きます〜。
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