第三王子ギルバード
護衛の名前を、ゼインからアルトに変更しました。
僕はこの国の第三王子ギルバード、9才。
王位継承権はあるけれど、母が踊り子だったから何の後ろ盾もない、名ばかりの王子だ。
腹違いの兄上達、つまり王妃の子達が亡くならない限り、王になることはない。
まあ、王になりたいだなんて欠片も思わないけど。
勢力争いなど馬鹿馬鹿しいことこの上ない。
だから、成人したら放棄して、どこかの領主をやると公言している。
おかげで、領地経営を学ぶことになって、数ヶ月先までスケジュールがパンパンだ。
息が詰まる日々だけど、今日は街のギルドに初めて行くんだ!
一応王族だからほとんど外出できないんだけど、ギルドにまで行けるなんて楽しみで仕方ない!
あぁ、これは決して高待遇じゃないよ!
9才で、水魔法レベル4を取得して、王族最速記録を塗り替えた褒美に、父上から許可をもらったんだ!
相当努力したからね。血反吐を吐く思いをしたからね。
魔力暴走させて師匠に何度怒鳴られたことか…。
コン、コン。
「ギルバード様、ご用意はできましたか?」
「あぁ、今行くよ。」
どこで刺客があるかわからない。
僕は緩む顔を引き締めた。
あれは何だろう!あれも見たことない!
あ!あれ食べてみたいな!
護衛のアルトに何度注意されてもキョロキョロしてしまう。
すまないが、今日は大目に見てほしい。
あんなに努力したんだ、実りのある時間にしたい。
しばらく歩くと、先導するアルトの足が止まった。
どうやらここがギルドらしい。
厚い扉を開けてもらうと、軋む音と共に、カランカランと派手な音が鳴った。
臭くてむさくて酒場みたいな雰囲気を想像していたのだが、中は意外とこざっぱりしていて、人も少ない。
変装はしているが、万が一もある。
正午前にして正解だったな。
アルトに目で合図して、受付と書かれたカウンターへと向かった。
「ご依頼は街の案内、Eランク以上の孤児院の子限定で、希望日は今日ですか…」
「あぁ、今日お願いしたいんだ。」
「タイミング次第ですので、なんとも…。」
「なんとかならないだろうか。報酬はこれで。」
そう言って、銀貨2枚を出す。
「こ、こんなに…!ジンという少年がイチオシですよ。たしか今日来るはずです。来たらお声がけしますね!」
「ありがとう、助かるよ。」
僕は、王子用のスマイルで礼を言った。
銀貨2枚は破格だっただろうか、まぁいい。
このギルドは、孤児院の子供を優遇していると聞いた。
有能な子がいると、僕の予感が告げる。
ジンか。どんな子かわからないけれど、今日必ず出会ってみせる。
できたら、王子であることは隠したい。
恥ずかしながら、9才にして友と呼べる人がいない。
身分を抜きにして友になって欲しいな、それで些細なことで笑い合って、一緒にご飯を食べたりーー。
この後、僕は忘れもしない1日になるとは思ってもみなかった。
銀貨=1000ジェニー=1000円くらいです。
予告、ギルバードはジンに会えます!
お楽しみに!!




